215:44-2-D2
「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』!」
「ーーーーー!」
シアの魔法によって俺が強化され、それと同時にネクタールのヘイトコントロールが始まる。
「うおらああぁぁ!」
俺は斧と短剣を構え、アブソーブランサーたちに向かって真っ直ぐに駆ける。
「「カカッ」」
「フシュル……」
そんな俺たちの動きに対して二体のアブソーブスケルトンと、その二体の間に立つアブソーブランサーは三人揃って両手で槍を地面と水平に持ち、腰を僅かに落とす。
「ハアッ!」
「喰らうか!」
アブソーブランサーたちの狙いは読めていた。
そして、俺の読み通り、アブソーブランサーたちは柵か何かのように、俺に向かって一斉に槍を突き出す。
「ふっ!」
「カラッ!?」
だから俺は槍が突き出されると同時に姿勢を低くしつつ横回転。
槍の下に入り込むと、右手に持った斧で俺の右手側に居たアブソーブスケルトンの足を払い、転倒させる。
「ぐっ!?」
「フシュル……」
俺は回転を続け、そこから更にアブソーブランサーの足も払おうとする。
だが硬い上に重い。
金属製の防具を身に付けている上に、中身が入っているからなのか、俺の一撃を受けてもアブソーブランサーはびくともしない。
「ハアァ!」
「させるか!」
アブソーブランサーが突き出した槍を振り下ろす事で、俺に攻撃を加えようとする。
だから俺も短剣を頭上に掲げる事で、槍を振り下ろせないようにする。
「ぐっ……」
だが拙い。
アブソーブランサーの動きは俺を攻撃する動きではなく、俺を押さえつける為の動きだった。
そして、俺が動けなくなっている隙に、倒れたアブソーブスケルトンは立ち上がろうとし、倒れていないアブソーブスケルトンは槍を再び突き出す為に穂先を引き始めている。
この連携の巧みさ……これがレア度:3の自動生成ダンジョンか!
「ネクタール!」
「ーーー!」
「ヒシュッ!?」
「カカッ!?」
感心している場合ではない。
この窮地は直ぐに脱する必要がある。
だから俺はネクタールを操って、槍を抑えるための短剣を追加。
そして短剣の角度を調整した上で全身のバネを一斉に動かす事で、アブソーブランサーの槍を逸らす。
それも俺を抑え込むために体重をかけていたアブソーブランサーの身体が、槍を突き出そうとしているアブソーブスケルトンの前に来るように。
「カカッ!?」
「ブジュ!?」
アブソーブスケルトンの動きが止まる。
アブソーブランサーも倒れはしなかったが、姿勢が崩れる。
これで隙が生まれた。
「ふんっ!」
「カッ……ガッ!?」
「ガガッ!?」
だから俺はアブソーブランサーの横をすり抜けると、立ち上がろうとしていたアブソーブスケルトンの頭蓋を踏みつける。
そして踏みつけた足を軸に回転して方向転換。
アブソーブランサーの背後を抜けるように移動すると、もう一体のアブソーブスケルトンの頭蓋に向けて斧を振り下ろす。
これでダメージは……踏みつけた方は5%程度で、斧で殴った方は多く見積もって20%と言う所か。
特性:バーサークの分を勘定に入れても、ダメージが大きい気もするな。
もしかしたら、シアのミアゾーイ・ミメシス、それの特性:キルデッドの影響が出ているのかもしれない。
「いずれにせよ好都合!」
「フシュルアァ!」
斧で殴った方のアブソーブスケルトンが倒れるのに合わせるように、アブソーブランサーが振り返りながら槍で薙いでくる。
だから俺は短剣と斧で直撃を防ぎつつ、後方に跳躍。
倒れていたアブソーブスケルトンが立ち上がるよりも早く、三体のモンスターたちの間合い外にまで退避する。
「マスター!大丈夫ですか!?」
「問題ない!」
俺の残りHPは80%以上残っている。
これならば、直ぐに回復するだろう。
「それよりもシア!陽の光がある場所に居るようにしろ!」
「は、はい!」
俺は体勢を整えつつ、シアに指示を出す。
これはスケルトン種……と言うより、アンデッド共通の特徴として、陽の光を嫌い、万が一にも浴びてしまえばダメージあるいはペナルティを受けてしまうというのがあるからだ。
流石にLv.25を超えるアンデッドならば即死するようなことはないだろうが……それでもわざわざ好き好んで陽の光がこれでもかと射し込んでいる場所に突入したりはしない。
そう判断しての指示である。
「フシュルルル……」
「カラカラカラ……」
勿論、アブソーブランサーには関係ない話だ。
だが、今アブソーブランサーたちが戦闘開始時と同じような体勢を再びとっている事から分かるように、アブソーブランサーは集団行動……いや、規律だった行動を好んでいるようだ。
これならば、俺が日陰である回廊の中に居るにもかかわらず、俺を無視してアブソーブスケルトンたちが付いてこない陽の光の中に突っ込むような事はないだろう。
つまり、これでシアの安全は確保され、ある程度の戦線は確保出来たことになる。
「さて、後はどう攻めきるかだな」
俺のHPは既に90%を超えている。
アブソーブスケルトンたちのHPに目に見える変化はないが、槍を構えた状態で少しずつこちらに詰め寄って来ている。
「ま、格上相手なんだ。じっくりやらせてもらうとしよう!」
「フシュラアァッ!」
そしてアブソーブランサーたちの間合いに入る直前。
俺は再び動き出した。
12/21誤字訂正




