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AIOライト  作者: 栗木下
4章:左角山

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214/621

214:44-1-D1

【AIOライト 44日目 08:45 (1/6・晴れ) 南の森林】


「ようやく見つかったか」

「本当ですね」

 『呪詛招く樹の王』の亡骸の解体が無事に終わった翌日。

 俺たちはレア度:3の自動生成ダンジョンを求めて南の森林を訪れていた。

 で、一時間ほどの探索の結果、俺たちは一つのダンジョンを見つけた。


【『吸収する岩の神殿』 レア度:3 階層:6 残り時間12:15:07】

 『吸収する岩の神殿』。

 吸収する……確かこれは特性:アブソーブで、この特性を持っている敵はHP吸収攻撃を使ってくるんだったか。

 岩の神殿は……特に注目するところはないな。

 極々普通の自動生成ダンジョンである事を表しているだけだ。


「残り時間は問題なさそうですね」

「そうだな。第一階層の探索に限るなら、半日あれば問題ないと思う」

 自動生成ダンジョンの残り時間は既に24時間どころかおおよそ12時間と言う段階まで来ている。

 この時間で全六階層のダンジョンを攻略するのは不可能だが、素材の回収をするだけならば十分過ぎるくらいだろう。

 尤も……だ。


「一応、突入前に再度確認な」

「はい」

「敵が四体以上なら?」

「逃げます」

「パンプキン種やゴースト種のような攻撃が通らない相手が出たら?」

「逃げます」

「ハウンド種やグローバグ種のような面倒な連中が出たら?」

「戦いつつ後退して、ダンジョン外まで逃げます」

「戦ってみてこれは倒せないと判断できる相手が出たら?」

「マスターの合図とともに逃げます」

「よし、問題なさそうだな」

 レア度:3の自動生成ダンジョンに出てくるモンスターのレベルは最低で25、最大で35。

 数も多く、少人数行動しているモンスターの数も限られているし、単独行動している奴は単独行動している奴で厄介なモンスターである可能性が高い。

 つまり、戦える相手は限られ、マトモにやり合えば大抵の場合、碌な事にならないのが目に見えているのである。

 それを考えると、安全第一で行ったら、アイテム一つ採取する余裕もないかもしれないというのが、実の所である。


「ま、妙なこだわりは持たずに行こうか。死に戻りしないのが一番重要だ」

「分かっています。マスター」

 と言うわけで、俺たちは安全を第一として、自動生成ダンジョン『吸収する岩の神殿』に突入した。



----------



「さて、入口は……特に問題なさそうか」

「気温や湿度も特に変わった感じはしないですね」

 『吸収する岩の神殿』の一部屋目は、特に見どころも何も無い部屋だった。

 ああいや、よく見れば、岩を直接彫り抜いて造られた部屋ではあるようだし、そう言う点では見どころは有るのかもしれない。

 が、それだけだ。

 明り取りであろう天井の窓にも、木製であるらしい扉も、特に奇妙な点は見られないし、家具の類は何も置かれていない。

 シアの言うように、気温や湿度にも特に変わった点は見られない。

 空気や雰囲気でも妙な点は見られない。

 これは……特性:アブソーブはマップに影響を及ぼさない特性と考えるべきか、岩の神殿であるために影響が出なかったのか、微妙に悩ましい所ではあるな。


「じゃ、扉を開けるぞ」

「はい、マスター」

 まあ、悩んでいても仕方がない。

 と言う事で、俺はゆっくりと部屋にある木製の扉を開ける。


「敵影は……無いな」

 扉の向こうには、周囲を岩を彫り抜いて作られた回廊で囲んだ広場があった。

 広場は地肌が剥き出しとなっており、黄色味がかった地面の色と黄ばんだ壁の色はこの神殿が寂れて長い事を感じさせるものだった。

 尤も、実際には誕生してから丸四日ぐらいしか経っていないのだろうが。


「よし、良さそうだ」

「はい」

 俺たちは慎重に扉を抜けると、改めて周囲を見渡す。

 ダンジョンの奥あるいは小部屋に繋がるであろう扉は複数。

 どうやら、一般的な神殿ダンジョンと構造は変わらないらしい。

 そして、敵影は何処にもない。

 油断は出来ないが。


「それではマスター」

「そうだな。採取ポイントを探そう」

 まあ、好き好んで敵を探す意味はないので、俺とシア、ネクタールは探索を始める。

 小部屋を開けて採取ポイントが無いかを探し、日差しが降り注ぐ広場の中にも何も無い事を確かめる。


「此処は何も無いみたいですね」

「だな、それじゃあ、次の部屋に行くか」

 で、何も無い事を確かめたところで、俺たちは次の広場に移動するべく、そちらにつながる扉に手をかける。

 その瞬間だった。


「っつ!?」

 扉の向こう側から、俺を狙って三本の槍が突き出される。


「マスター!?」

「大丈夫だシア!」

 慌てて後方に向かって跳躍し、どうにかかすり傷程度に抑えた俺は、扉の向こう側から現れようとしている者の姿をその目で捉える。


「ちっ、面倒なのが」

「逃げますか?」

「いや、面倒だが、まだ何とかはなると思う」

 扉の向こうから現れたのは三体のモンスター。

 アブソーブスケルトンLv.25とLv26、それにアブソーブランサーLv.27。

 三体とも槍を持っているが、アブソーブスケルトン二体はそれだけで、アブソーブランサーは金属製の防具を全身に身に付けている。

 で、何となくだがアブソーブランサーには呼吸している感じがあるので、横の二体と違って中身はちゃんと生きているらしい。


「「カカカカラ……」」

「フシュルルル……」

「行くぞ、シア、ネクタール」

「はい」

「……」

 その場にいる全員が戦闘の為の構えを取る。

 そして少しの間睨み合ったところで、お互いに動き出し、戦いは始まった。

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