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AIOライト  作者: 栗木下
4章:左角山

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201/621

201:42-4-D4

【AIOライト 42日目 11:32 (1/6・雨) 『呪詛招く草原の図書館』】


「ようやく見つけたな」

「本当にようやくですね」

 数時間後。

 俺たちは小部屋の一つで下り階段を見つける。

 間違いない、第二階層へ進む道である。


「よし、とりあえず移動するぞ」

「はい」

 俺たちは階段を下り、第二階層に移動する。


「さて……安全そうだな」

「そうですね。敵が出現する事は無さそうです」

 第二階層最初の部屋は、第一階層にあった採取ポイントが有る閲覧室とほぼ同じ部屋だった。

 置かれているのは机と椅子の他には、第一階層に繋がる登り階段だけである。

 尤も、本来なら二階など存在しないはずの小部屋に階段が存在しているというのは、中々にシュールな光景ではあるが。


「では、私は昼食の準備をしていますね」

「ああ、よろしく頼む」

 安全を確保したと判断した俺たちは腰を下ろす。

 そして携帯錬金炉をシアの前に出し、シアは携帯錬金炉に回復力溢れる小麦粉とカースオストリッチの肉を投入して昼食を作り始める。


「さて……」

 シアが昼食を作っている間、俺は掲示板で情報の確認と書き込みを行う。

 と言っても、目新しい情報はない。

 ゴブリンについては既に俺たちも知っている情報しかないし、オストリッチについてはむしろこちらが書き込む側だった。

 具体的に言えば、状態異常関係の特性を持っているオストリッチだと、胴を守る羽毛に状態異常を付与する効果が含まれている点についてだ。

 この情報が今までなかったのは……まあ、状態異常関係の特性を持つ自動生成ダンジョンが好まれていないからだろうな。

 俺だって状態異常:ブライン……暗闇や、状態異常:チャーム……魅了なんかは相手にしたくないし。

 状態異常:カースが問題ないのは俺との相性が悪くないからだしな。


「書き込み終わりましたか?」

「ああ、大丈夫だ」

 と、ここでシアが調理を終えたので、揃って昼食を食べる。

 シアの作った料理の名称はリジェネオストリッチパイ。

 食べるだけで回復力と状態異常:カースに対する耐性が上昇する、このダンジョンの攻略には最適な料理だ。

 そしてそんな効果を抜きにしてもこの料理は素晴らしい。

 オストリッチの肉から溢れ出た肉汁を十分に吸い込んだパイは噛むたびに旨味が生じ、溢れ出た香気がその旨味をさらに増す。

 そうして幸せを与えてくれるパイが胃袋に向かえば、程よい温かさを持ったその身によって、雨具があっても雨で少し冷えていた身体を温めてくれる。

 ああ、おまけにこの料理はシアが作ってくれたものだ。

 本当に、本当に素晴らしい。


「マスター、味わってくれるのは嬉しいですけど、今はダンジョンの探索中ですから、食事は手早くでお願いします。昼食後にどうするかを話し合わないと」

「お、おう」

 と、どうやらゆっくりと味わい過ぎていたらしい。

 気が付けばシアもネクタールも食事を終えてしまっている。

 うん、名残惜しいが、手早く食べるしかないな。

 シアに迷惑はかけられない。


「御馳走様でした」

「お粗末様でした」

 と言うわけで、昼食終了である。


「さて、この後について話し合う前に一つ確認だ」

「はい」

「……」

 で、続けて話し合いの開始である。


「まずシア、ネクタール。二人ともこのダンジョンについてはどうだ?」

「そうですね……現状は問題ないと思います。マスターとネクタールのヘイトコントロール能力のおかげで私の方に攻撃が飛んでくる事はありませんし、マスターの回復も十分に間に合っていますから」

「ふむ」

「それに、この後カースメディブックを作りますよね。それを持たせて貰えれば、安定感は大きく増すと思います」

「なるほど」

 俺の質問にシアは少し悩んだ後、淀みなく答える。

 どうやら後方に居て、俺たち三人のHP管理をしていたシアから見て、これまでの戦闘には特に問題は無かったようだ。


「ネクタールはどうだ?」

「……!」

 俺の言葉にネクタールは生地の端を手の形にした上でOKマークを作り、続けて握り拳を作り、親指を天井に向かって立てるようなポーズを作る。

 加えてその色は心配するなと言わんばかりに明るい色を主体としたものである。

 うん、これは問題ないと言っているな。


「マスターはどうなのですか?」

「俺も問題ないとは思っている。ただ、俺が大丈夫と思っていても、シアたちが大丈夫とは感じない場合もあるからな。先に進むかを考える前にそれは確認しておきたかったんだよ」

「あー、なるほど……」

「……」

 俺の言葉にシアもネクタールも妙に納得したような表情を浮かべている。

 で、それはいいのだが、何故納得した後にどこか微妙そうな表情をシアは浮かべているのだろうか?

 ネクタールも何とも表現しづらい色になっているし、一体どうしたというのだろうか?


「えーと、まあ、二人とも先に進んでも問題はないんだよな」

「はい、問題ないです」

「……」

 まあ気にしないでおこう。

 とりあえず今気にする事は先に進んでも問題ないという点と、先に進む前に幾つかのアイテムを作っておくべきであるという点だ。


「よし、それじゃあ、必要な物を作るから、少し待っていてくれ」

「分かりました」

 と言うわけで、俺はカースメディブックを三冊ほど作成し、それをシアに持ってもらうのだった。

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