↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIOライト  作者: 栗木下
4章:左角山

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

202/621

202:42-5-D5

【AIOライト 42日目 13:05 (1/6・雨) 『呪詛招く草原の図書館』】


「それじゃあ探索開始だな」

「はい」

「……!」

 準備が完了した所で、俺たちは第二階層を始めるべく、小部屋の外に繋がる扉を開ける。


「さて……」

 部屋の外に出た俺たちが最初に見たのは?

 第一階層と殆ど変わらない風景だ。

 微妙に波打っている草原に、小部屋代わりの建物、岩代わりの本棚、小雨を振らせる灰色の雲と、背後の部屋に上り階段が無ければ、第一階層と間違えたかと思う程度には変化がない。


「とりあえずアレと戦うのは避けるべきだな」

「ですね」

 だが変化がないのは風景だけであり、モンスターには遠目に見ても分かるような変化が起きていた。

 まずカースオストリッチとカースゴブリンたちがPTを組み、一緒に行動するようになっていた。

 具体的な編成はPTごとに異なるが、だいたいカースオストリッチ1体につきカースゴブリンが2から3体付き、中にはカースオストリッチの背中に乗っているカースゴブリンも居るようだった。

 これはもしかしなくても、組織だった攻撃を仕掛けてくる可能性もあるかもしれない。


「アレとやり合うのは無理があると思います」

「そもそもどうやって戦えばいいかの想像もつかないしな」

 そしてカースオストリッチのものでもなければ、カースゴブリンのものでもない新しい姿もある。

 それも遠目から見ても何処に居るかがよく分かるものが。


「トロール種。で、いいんですよね?」

「たぶんそうだと思う」

 ソイツは身長が5メートルは間違いなくあった。

 肌の色は灰色で、見るからに硬そうな髪の毛は石のように黒い。

 衣服の類は腰巻だけで、他は装飾品を少し身に付けているだけだ。

 で、その手には本人のサイズからすれば手斧に思えるが、俺たち人間からすれば持ち上げる事も難しいような大斧が握られている。

 うん、掲示板の情報と合致する部分も多いし、あれはトロールでいいな。

 たぶん、カーストロールだ。


「アレとやり合うなら、最低でも次の階層に降りる階段を見つけてからだな」

「そうですね。そうするべきだと思います」

 カーストロールのステータスや戦い方は分からない。

 だが恐らくは俺のほぼ上位互換。

 見た目からして防御力が低めで生命力が高めであろうし、状態異常:カースとの相性もかなり良いだろう。

 そして、その巨体が有するリーチと破壊力を考えるならば、後衛であるシアが攻撃に巻き込まれる事も普通に有り得る。

 つまり、出来る限り戦うべきでない相手だ。

 そんなわけで、俺たちは出来るだけカーストロールの視界に入らないように気をつけつつ、第二階層の探索を始める事にした。



----------



【AIOライト 42日目 16:47 (1/6・雨) 『呪詛招く草原の図書館』】


 そう、出来る限り視界に入らないように気を付けてはいた。


「フシュルルル……」

「見つかったか」

「しょうがないと思います。階段がありそうな建物の近くを縄張りにされていましたから」

 だが、今俺たちの前には斧を手に持ったカーストロールLv.19が、俺たちの事を見下ろす形で立っている。

 そしてその背後には、まだ探索していない建物がある。

 他の建物は粗方探し尽くしたので、下り階段があるならばあの建物の中と言う事になるだろう。

 つまり、戦いは不可避である。


「ガアアアァァァ!」

「戦闘開始!」

「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』!」

 カーストロールが大きな声を上げながら、俺に向かって斧を振り下ろしてくる。

 対する俺は特性:バーサークを発動しつつ短剣と斧を頭上に掲げ、ネクタールもそれに追従。

 シアは支援魔法を使いながら、可能な限り後退する。


「ぐっ……」

 カーストロールの斧とこちらの防御がぶつかり合う。

 今までに感じた事のない重圧が俺の身にかかり、HPバーも目に見えて減る。

 なるほど、どうやら見た目通りの破壊力を有しているらしい。


「ブジュルルル……」

「ははっ……」

 カーストロールが俺を押し潰すべく、斧を押し込んでくる。

 だから俺は小さく笑い声を上げると、防いだ衝撃で少し沈んでいた顔を上げる。


「あははははっ!」

「!?」

 そして突っ込む。

 斧の刃が背後の地面に流れるように、カーストロールの斧の間合いの内側へと。


「やってやろうじゃねえか!」

 そうして振り抜く。

 前に少しつんのめったカーストロールの胸元を切り裂くように、乗せられるだけの勢いと力を乗せた斧を。


「ドロッ!?」

「ハハッ」

 傷口から赤い光が噴き出し、カーストロールのHPが目に見えて減少する。

 それと同時に、赤い光に触れた俺に状態異常:カースがかかる。

 どうやら見た目通りにカーストロールの防御力は低いようだ。

 で、特性:カースの影響はカーストロールの血に出ているらしい。


「フシュルルルル……」

「さて、とりあえずは……」

 カーストロールは少し離れた場所まで転がって移動し、そこでゆっくりと立ち上がろうとする。

 対する俺は武器を何時でも振れるように構えつつ、少し前傾姿勢を取る。


「お前を倒す事だけを考えていくとしよう」

 そして俺はカーストロールが姿勢を整え切るよりも早く、駆け出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。