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婚約破棄?結構です。では国家運営は自己責任で ~辺境が黒字化したら王都が困り始めました~  作者: 雪乃フィオナ
第2部 無王の海

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第24話 演算塔の警告

 エルディア港の陥落報告は、南港区に重くのしかかった。


 広場のざわめきは消え、誰もが掲示塔を見つめている。


 数字が変わる。


 信用指数。


 航路安定度。


 保険料。


 すべてが揺れている。


 リシェルは演算塔の端末に向かった。


 指先が素早く動く。


 数式が走る。


 光が塔の内部で反射する。


「予測を更新する」


 彼女は低く言った。


 掲示塔に新しい演算結果が表示される。


『契約ネットワーク安定度 低下』


『分裂リスク 上昇』


『持続可能性 不明』


 広場が静まり返る。


 誰もが理解した。


 これは一時的な問題ではない。


 構造の問題だ。


 アレクシスが聞く。


「どれくらい持つ」


 リシェルは答えない。


 さらに計算する。


 そして静かに言った。


「長期的には崩れます」


 その言葉は、重かった。


 ダリオが眉をひそめる。


「何を根拠に」


「契約の連鎖です」


 リシェルは掲示塔を指す。


「この構造は、信頼で繋がっている」


「一部が崩れると、全体に波及する」


 エルディア港。


 契約変更。


 税率上昇。


 それは一つの点。


 だがその影響は広がる。


「他の港も動く」


 セリアが言う。


「資本は逃げる」


 すでに動いている。


 掲示塔の資金流動が変化していた。


 南港区への投資が増え。


 他の港から資金が引き上げられている。


「勝者と敗者が分かれる」


 セリアは淡々と続ける。


「市場は残酷よ」


 ダリオが言う。


「それが自由だ」


 リシェルは首を振る。


「これは自由ではない」


「不安定です」


 沈黙。


 彼女はアレクシスを見る。


「あなたの連合は安定している」


「ですが遅い」


 そして続ける。


「自由圏は速い」


「ですが壊れやすい」


 その言葉は、第一部の対比と同じ構造だった。


 恐怖と機能。


 今は自由と管理。


 アレクシスは静かに言う。


「両方が必要だ」


 リシェルは頷く。


「ですが、その均衡は難しい」


 掲示塔の警告が点滅する。


『契約崩壊連鎖 発生確率 上昇』


 広場がざわめく。


 ダリオが笑う。


「崩れるなら崩れろ」


「それも自由だ」


 だがその笑みは、以前より弱い。


 エルディアの現実を見たからだ。


 アレクシスは海を見た。


 静かな海。


 だがその下で、流れが変わっている。


 セリアが小さく言う。


「これは始まりよ」


 リシェルが続ける。


「はい」


「構造が試されている」


 秤は止まらない。


 今度は戦争ではなく。


 構造そのものが揺れている。


 そして誰もが気づき始めていた。


 この問題は。


 まだ序章にすぎないと。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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