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婚約破棄?結構です。では国家運営は自己責任で ~辺境が黒字化したら王都が困り始めました~  作者: 雪乃フィオナ
第2部 無王の海

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第16話 海の計算

 海の中央で、砲声が鳴り続けていた。


 南港区の七隻は、湾の入口付近で黒潮船団を迎え撃っている。


 砲撃。


 煙。


 破裂する木材。


 波の上に火薬の匂いが広がる。


 老船長の船が旋回した。


「左舷砲撃!」


 轟音。


 砲弾が黒潮船団の一隻に直撃する。


 だが敵は多い。


 三十隻。


 包囲陣形がゆっくりと閉じていく。


 ダリオの船がその隙間を縫う。


「止まるな!」


 彼は笑っている。


「動き続けろ!」


 自由圏の船は小さい。


 だから速い。


 大型の黒潮船を浅瀬へ誘導する。


 だが戦況は均衡していなかった。


 黒潮の一隻が突進する。


 衝突。


 港の船が横転した。


 乗員が海へ投げ出される。


 波が人を飲み込む。


 ダリオの顔から笑みが消えた。


「救助!」


 だが次の砲撃が飛んでくる。


 海戦は慈悲を許さない。


 遠くの海。


 白い帆。


 連合哨戒艦隊は動かない。


 秩序は見守るだけだ。


 これは自由圏の戦い。


 その時。


 水平線のさらに外から、新しい帆が現れた。


 細長い船体。


 巨大な帆。


 そして――


 商船旗。


 戦闘船ではない。


 巨大な交易船だった。


 南港区の船員が叫ぶ。


「商船だ!」


「外洋商船!」


 その船は、戦場のすぐ外で帆を落とした。


 そしてゆっくりと方向を変える。


 まるで戦いを観察しているようだった。


 黒潮旗艦。


 提督カイロンは望遠鏡を覗く。


「ほう」


 彼は低く笑った。


「来たか」


 部下が聞く。


「知っている船ですか」


 カイロンは頷く。


「ああ」


「面倒な連中だ」


 商船の甲板。


 一人の女が立っていた。


 金色の髪。


 海風に揺れる長いコート。


 手には金属製の計算板。


 彼女は戦場を静かに見ている。


 そして小さく呟いた。


「損失率、三十二パーセント」


 隣の秘書が聞く。


「どうしますか」


 女は笑った。


「簡単よ」


「市場を開く」


 彼女は端末を開いた。


 魔導通信が走る。


 その瞬間。


 南港区の契約掲示塔に、新しい契約が表示された。


 広場がざわめく。


『緊急金融契約』


『提供者 ヴェルデ海上銀行』


 戦場の真ん中で。


 新しい秩序が、静かに現れた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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