第60話 選択
帝都。
中央軍総監が新たな総攻撃命令を下した。
「王都へ直進せよ」
補給線は限界。
南部は不安定。
だが強行。
恐怖は退かない。
北部戦線。
帝国軍は再び進軍する。
無理を承知で。
兵の顔は硬い。
士気は高くない。
だが命令は絶対だ。
――
王城。
「帝国、総攻勢」
報告。
アレクシスは静かに言う。
「予定通りです」
帝国は焦る。
持続を無視する。
「迎撃は?」
カイルが問う。
「包囲しません」
「?」
「退路を残します」
セシリアが目を細める。
「潰さない」
「潰せば、帝国は崩壊します」
崩壊は混乱を生む。
難民。
内戦。
市場崩壊。
「選択肢を残します」
連合案を、現実にするため。
――
帝国軍陣営。
無理な進軍。
補給が遅れる。
兵が疲弊する。
若い将校が呟く。
「なぜ退かぬ」
命令だから。
その答えが、虚しくなる。
その夜。
レオニードの元へ密使が来る。
「王国は退路を開けている」
地図が広げられる。
包囲は完成していない。
逃げ道がある。
「罠では?」
「可能性はある」
沈黙。
王国は壊しに来ていない。
削り、選ばせている。
レオニードは決断する。
「中央軍総監に進言する」
――
戦場。
帝国中央軍が前進する。
王国軍は受け、退き、削る。
だが包囲は閉じない。
その時。
帝国中央軍総監が叫ぶ。
「突撃!」
無理な突破。
側面が崩れる。
混乱。
その瞬間。
「撤退!」
別の声。
レオニード。
彼は独断で命令を上書きした。
「退路を確保せよ!」
兵が動く。
混乱の中、整然と後退。
王国軍は追わない。
戦場に、奇妙な静けさが落ちる。
――
帝都。
「将軍が命令違反」
怒号が飛ぶ。
皇帝は震える。
「反逆か」
だが南部蜂起は拡大。
財政は限界。
軍の信頼は、レオニードにある。
処罰すれば、軍が割れる。
沈黙。
玉座は揺れる。
――
王城。
「帝国軍、撤退完了」
報告。
カイルは静かに息を吐く。
「勝ったか」
「いいえ」
アレクシスは言う。
「選択肢を残しました」
翌日。
帝都に正式書簡が届く。
『大陸機能連合設立会議の提案』
『帝国を滅ぼす意思はない』
『参加するか否かは帝国の選択』
恐怖国家は、初めて選ばされる。
レオニードは玉座の前に立つ。
「皇帝陛下」
静かな声。
「帝国を残す道があります」
恐怖で支配する帝国。
機能で接続する連合。
文明は今、選択の時を迎えた。
本話もお読みいただき、ありがとうございました!
少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、
ブックマーク や 評価 をお願いします。
応援が励みになります!
これからもどうぞよろしくお願いします!




