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婚約破棄?結構です。では国家運営は自己責任で ~辺境が黒字化したら王都が困り始めました~  作者: 雪乃フィオナ
第1部 秤の王国

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第58話 持続の戦場

 名もなき平原。


 朝霧が薄く流れる。


 帝国軍は重厚な陣形を組んでいた。


 中央突破型。


 短期決戦を狙う布陣。


 一方、王国軍は広く薄く展開する。


 決定打を狙わない。


 削る陣。


 レオニードは丘の上から全体を見渡す。


 「来るぞ」


 太鼓が鳴る。


 帝国軍が前進する。


 重装歩兵が押し出す。


 王国軍は受けない。


 退く。


 帝国は進む。


 さらに退く。


 戦線が伸びる。


 補給が遅れる。


 王国側の伝令は速い。


 帳簿統一。

 即時共有。

 局地的判断。


 小規模包囲。

 即離脱。


 帝国軍は突破できない。


 だが押している。


 夕刻。


 帝国中央が王国右翼を崩す。


 突破。


 兵が歓声を上げる。


 その瞬間。


 側面から王国予備兵が現れる。


 補給線を遮断。


 短期決戦型は、長期展開に弱い。


 戦場が揺らぐ。


 その時。


 帝国後方から伝令。


「南部再び蜂起!」


 レオニードの目がわずかに閉じる。


 恐怖は抑えきれない。


 兵の間に動揺が走る。


「家族は……」


 小さな声。


 恐怖国家は命令で動く。


 だが家族は命令では守れない。


 レオニードは決断する。


「後退」


 副官が驚く。


「まだ戦えます!」


「戦える」


 将軍は言う。


「だが持続しない」


 撤退命令が走る。


 帝国軍は整然と退く。


 壊滅ではない。


 だが勝利でもない。


 平原に沈黙が落ちる。


 王国軍は追わない。


 アレクシスは丘の向こうを見つめる。


 恐怖国家は強い。


 だが、時間に弱い。


 夕陽が沈む。


 戦場は静まる。


 ――


 帝国陣営。


 若い兵が呟く。


「なぜ退く」


 副官が答えない。


 レオニードは一人、地図を見ている。


 王国は勝っていない。


 だが崩れていない。


 恐怖は短期。


 機能は長期。


 その意味を、彼は理解し始めている。


 ――


 王城。


 カイルは傷を押さえながら報告を聞く。


「勝利か」


「いいえ」


 アレクシスは言う。


「持続です」


 王太子はゆっくり頷く。


「それでいい」


 市場が動く。


 王国債、上昇。


 帝国債、さらに利率上昇。


 秤が、明確に動き始める。


 戦争は終わっていない。


 だが文明の流れは、変わり始めた。


 恐怖は押せる。


 だが持続しない。


 機能は遅い。


 だが崩れない。


 決戦は終わった。


 本当の選択は、これからだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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