表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄?結構です。では国家運営は自己責任で ~辺境が黒字化したら王都が困り始めました~  作者: 雪乃フィオナ
第1部 秤の王国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/93

第57話 交差点

 帝国軍は進軍を開始した。


 南西占領地から北東へ。


 王都を目指す一直線。


 だが王国軍は迎撃しない。


 退き、退き、退き続ける。


 帝国軍は深く入り込む。


 補給線は伸びる。


 王国は動かない。


 やがて両軍は、中間の平原で対峙した。


 名もなき交差点。


 帝国は陣を敷く。


 王国もまた。


 だが戦闘は始まらない。


 帝国側から、白旗が上がる。


 使者。


 レオニードの書簡。


『交渉を求む』


 王城へ届けられる。


 アレクシスは一瞬だけ目を細めた。


「応じます」


 セシリアが問う。


「罠では」


「罠でも応じます」


 構造の戦いだ。


 言葉を避けては勝てない。


 ――


 中立地帯の天幕。


 重い沈黙。


 初めて対面する。


 レオニード・ヴァルガ将軍。


 そしてアレクシス。


 互いに一礼する。


「恐怖で統治する国家と聞いていた」


 レオニードが言う。


「機能で統治する国家と聞いていました」


 静かな応酬。


「なぜ退く」


「なぜ追わない」


 同時に問う。


 わずかな沈黙。


 レオニードが口を開く。


「あなたは帝国を削ろうとしている」


「あなたは王国を揺らそうとしている」


 視線がぶつかる。


「恐怖は早い」


 将軍が言う。


「機能は遅い」


「だが持続する」


 アレクシスは答える。


「帝国は今、南部と北部で裂けています」


 将軍の目がわずかに動く。


「知っている」


「恐怖は秩序を生みます」


「だが恐怖は信用を生まない」


 沈黙。


 外では兵が睨み合う。


 「帝国を滅ぼす気か」


 将軍の問い。


「いいえ」


 即答。


「変える気です」


 空気が変わる。


 「帝国は変わらない」


「変わらなければ、削れ続ける」


 静かな断言。


 「皇帝は退かぬ」


「ならば、帝国は退くことになる」


 沈黙。


 長い。


 レオニードは初めて、視線を外した。


「……あなたは王にならぬ」


「なりません」


「なぜだ」


「支配は持続しない」


 短い言葉。


「接続は持続する」


 将軍の目に、揺らぎが走る。


 恐怖は支配。


 機能は接続。


 世界観がぶつかる。


 「決戦は避けられぬ」


 将軍が言う。


「ええ」


 アレクシスは頷く。


「ですが、終わりは戦場ではありません」


 意味を理解したのは、将軍だけだった。


 天幕を出る。


 両軍はまだ動かない。


 だが何かが変わった。


 戦争は、勝敗だけでは終わらない。


 将軍の心に、初めて疑問が芽生えた。


 恐怖国家は、無敵ではない。


 機能国家は、弱くない。


 交差点は過ぎた。


 次は、


 決戦だ。

ここまでご覧いただきありがとうございます。


明日からは1日1話の投稿予定です。


ブックマークをして、続きを楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ