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婚約破棄?結構です。では国家運営は自己責任で ~辺境が黒字化したら王都が困り始めました~  作者: 雪乃フィオナ
第1部 秤の王国

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第55話 鎮圧

 帝国南部属州アグレス。


 夜明け前。


 鎮圧軍が都市へ進軍した。


 太鼓が鳴る。


 軍靴の音が石畳を打つ。


「倉庫を開け」


 指揮官が命じる。


 商人たちは武器を持たない。


 ただ扉を閉ざす。


 沈黙の抵抗。


 それが最も帝国を苛立たせた。


「力を示せ」


 命令は短い。


 扉が破られる。


 悲鳴。


 刃が抜かれる。


 血が石畳を濡らす。


 商人ギルド長が倒れる。


 群衆が崩れる。


 鎮圧は一刻で終わった。


 だが終わらなかった。


 翌日、噂が広がる。


『無抵抗の商人が処刑された』


 帝都は沈黙する。


 だが市場は沈黙しない。


 ――


 ルミナス評議会。


「映像記録確認」


 顧問の声が低い。


 血に染まる石畳。


 軍の剣。


 アルヴィンは目を閉じる。


「恐怖は、投資に向かない」


 短い一言。


「王国債の追加購入を」


 決定。


 さらに。


「南部商人を保護対象とする」


 これは事実上の政治的介入。


 秤が、大きく動いた。


 ――


 帝都。


「外資が南部に流入」


 報告が上がる。


 皇帝は怒りに震える。


「将軍!」


 レオニードは静かに跪く。


「恐怖は秩序を生む」


「だが恐怖は市場を失う」


 視線が交わる。


 帝国は今、二正面。


 北は王国。

 南は属州。


 軍を割く。


 戦線が薄くなる。


 ――


 王城。


「ルミナス、追加購入決定」


 ミレーヌの声に、久々に力が戻る。


 王国債、反発。


 市場が息を吹き返す。


 アレクシスは静かに言う。


「恐怖は短期」


「機能は長期」


 南西戦線。


 帝国軍の一部が南へ移動。


 補給線が伸びる。


 ヴィクトルを失った丘。


 王国軍が再び観測を始める。


「戦線が薄い」


 新司令官が言う。


 カイルはまだ寝台にいる。


 だが意識は明瞭。


「攻めるな」


 彼は言う。


「削れ」


 焦らない。


 時間を味方に。


 帝国は恐怖で抑えた。


 だがその血は、秤を動かした。


 大陸は見ている。


 恐怖国家。

 機能国家。


 どちらが持続するか。


 戦争は今、


 文明の選択になった。

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