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婚約破棄?結構です。では国家運営は自己責任で ~辺境が黒字化したら王都が困り始めました~  作者: 雪乃フィオナ
第1部 秤の王国

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第54話 南部の火種

 帝国南部属州、アグレス。


 穀倉地帯であり、交易都市でもある。


 だが今年、徴税は二度引き上げられた。


「戦費だ」


 役人は短く言う。


 市場はざわつく。


「帝都の戦争のために、なぜ我々が」


 商人たちの不満は、積み上がっていた。


 そこへ広まる噂。


『王国は債券を公開監査している』

『連合構想では属州も市場参加できる』


 誰が流したのかは分からない。


 だが情報は火種だ。


 夜。


 穀物倉庫前で衝突が起きた。


「徴税反対!」


 帝国兵が押し返す。


 石が飛ぶ。


 剣が抜かれる。


 血が流れる。


 翌朝、商人ギルドは閉鎖。


 都市は半日で麻痺した。


 ――


 帝都。


「南部アグレスで暴動」


 重臣が顔を青くする。


「鎮圧を」


 皇帝は即断する。


「見せしめにせよ」


 恐怖は恐怖で抑える。


 レオニード将軍は低く言う。


「過剰鎮圧は反転します」


「帝国は弱くない」


 皇帝の声は硬い。


 命令は下る。


 ――


 王城。


「南部暴動発生」


 報告が届く。


 ミレーヌが息を呑む。


「本当に……動きました」


 アレクシスは静かに言う。


「恐怖のひずみです」


 だが浮かれてはいけない。


「支援はしません」


「?」


「介入すれば帝国をまとめてしまう」


 敵を外から攻撃すると、内部は団結する。


 今は違う。


「選択肢だけを示す」


 ルミナス同盟に書簡が送られる。


『南部属州商人に限定金融支援を』


 市場は境界を越える。


 帝国南部。


 鎮圧軍が到着する。


 だが商人たちは武器を持たない。


 ただ倉庫を閉じる。


 流通が止まる。


 軍需物資の輸送も滞る。


 帝国北部戦線。


「弾薬補充が遅れています」


 副官が報告する。


 レオニードの眉がわずかに動く。


「南部か」


 恐怖で抑えれば流通が止まる。


 抑えなければ反乱が広がる。


 構造が軋む。


 ――


 ルミナス評議会。


「帝国南部不安定」


 顧問が報告する。


「王国は直接介入していない」


 アルヴィンが言う。


「それが強い」


 煽らず、煽らせる。


 市場は動く。


 ルミナス資金が、南部商人へ“融資”として流れる。


 名目は交易安定。


 実質は、帝国中央からの自立。


 ――


 帝都。


「南部商人が外資と接触」


 怒号が飛ぶ。


「裏切りだ!」


 皇帝は立ち上がる。


「将軍」


「はい」


「南部へ軍を」


 レオニードは一瞬だけ沈黙した。


 北部戦線を弱めれば、王国が動く。


 だが皇帝は命じる。


「秩序を示せ」


 恐怖国家は恐怖で応える。


 その瞬間、戦線が薄くなる。


 王城。


 アレクシスは地図を見つめる。


 帝国軍の一部が南へ移動。


 国境防衛がわずかに薄くなる。


「……時間が来ました」


 セシリアが問う。


「攻めますか」


「いいえ」


 首を振る。


「守ります」


 帝国をさらに消耗させる。


 長期戦。


 恐怖は摩耗する。


 機能は積み上がる。


 南部の火は、まだ小さい。


 だが確実に燃えている。


 戦争は今、


 国家対国家を超えた。


 構造対構造の戦いへ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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