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婚約破棄?結構です。では国家運営は自己責任で ~辺境が黒字化したら王都が困り始めました~  作者: 雪乃フィオナ
第1部 秤の王国

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第53話 恐怖のひずみ

 帝都。


 石造りの大広間。


 帝国皇帝の御前会議は、静まり返っていた。


「南西丘陵制圧は成功」


 将官が報告する。


「王太子は負傷」


 重臣たちが頷く。


 だが次の報告で空気が変わる。


「軍需支出、予測を超過」


 財務卿が震える声で続ける。


「帝国債、利率上昇に伴い償還負担が拡大」


 沈黙。


 恐怖国家は軍事を優先する。


 だが金は無限ではない。


「徴税強化を」


 強硬派が言う。


「反乱の芽を摘むべきだ」


 財務卿は反論する。


「既に南部属州で不満が高まっています」


 レオニード将軍は黙っていた。


 やがて言う。


「短期決戦が前提だった」


 視線が集まる。


「長期化すれば、帝国は重くなる」


 恐怖は統制を強める。


 だが統制は摩擦を生む。


 皇帝が静かに問う。


「退けと言うのか」


「いいえ」


 将軍は答える。


「構造を変えるべきです」


 軍事一点突破ではない。


 だが皇帝は眉をひそめる。


「帝国は恐怖で統べる」


 その言葉は、揺らがない。


 ――


 王城。


 国家戦略会議室。


「帝国債、利率急騰」


 ミレーヌが言う。


「徴税強化の報告も」


 アレクシスは静かに頷く。


「ひずみが出ています」


 恐怖国家は強い。


 だが持続性は低い。


「南部属州の商人に接触します」


「帝国領へ?」


 セシリアが問う。


「はい」


 ざわめき。


「戦場は国境だけではありません」


 市場。

 属州。

 不満層。


 機能国家は接続を武器にする。


「反乱を煽るのか」


 カイルが寝台から問う。


「煽りません」


 アレクシスは即答する。


「選択肢を示します」


 恐怖以外の統治モデルを。


 ――


 帝国南部属州。


 商人ギルド会館。


「王国は透明性を持つ」


 密使が低く言う。


「連合に参加すれば、属州も市場へ直接接続できる」


 商人たちがざわめく。


 帝国は命令する。


 王国は提案する。


 その違い。


 ――


 帝都。


「南部で王国との接触確認」


 報告が入る。


 重臣が怒鳴る。


「裏切りだ!」


 レオニードは静かに言う。


「恐怖は忠誠を保証しない」


 皇帝の目が冷える。


「将軍、弱気か」


「現実です」


 沈黙。


 帝国は初めて、内部に揺れを感じる。


 ――


 王城。


 アレクシスは地図を見る。


 赤線はまだ王国領内。


 だが帝国南部に、小さな点が灯る。


 火種。


「戦争の形が変わります」


 セシリアが言う。


「ええ」


 恐怖国家を、持続戦に引き込む。


 軍事だけではない。


 構造の摩耗。


 帝国はまだ強い。


 だが無傷ではない。


 秤は再び、わずかに揺れる。


 文明を決める戦いは、


 今や国境を越えた。

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