第48話 公開の刃
王都大議場は、異様な熱気に包まれていた。
通常の審議ではない。
公開審査。
改革派帝国資金疑惑の、全記録公開。
傍聴席には貴族だけでなく、商人、記者、そしてルミナス同盟代表団の姿もある。
逃げ道はない。
王太子カイルが立ち上がる。
「本件は、国家の信用に関わる」
静まり返る。
「ゆえに、全てを公開する」
ざわめき。
アレクシスが資料を広げる。
「送金経路は三段階の偽装」
図が掲示される。
「帝国商社を装った第三者口座」
「そこから地方貴族名義へ分散」
「最終的に、側近口座へ」
エリアスの顔は青い。
だが目は逸らさない。
「本人への直接入金はありません」
ミレーヌが補足する。
「側近は帝国商社と接触していた」
証拠も提示される。
逃げ場はない。
侯爵が口を開く。
「では管理不行き届きだな」
静かな圧力。
アレクシスは即座に答える。
「その通りです」
ざわめき。
「制度の不備です」
「何?」
「監査網が一段不足していた」
責任を他に押し付けない。
「本日より、海外資金監査を追加します」
具体策を示す。
逃げない。
隠さない。
責任を認め、即座に改善する。
議場の空気が変わる。
セシリアが静かに言う。
「これが機能です」
侯爵は目を細める。
攻撃が、空振る。
王太子が前に出る。
「エリアス・ノルデン議員」
「は、はい」
「あなたは軽率だった」
会場が息を呑む。
「だが裏切り者ではない」
明確な線引き。
「責任は負え」
「……はい」
「だが国家は、透明性で守る」
拍手が一部から起こる。
やがて広がる。
市場は即座に反応した。
王国債、反発。
小幅上昇。
ルミナス評議会。
「公開審査を行ったか」
顧問が驚く。
「通常は隠す」
アルヴィンが静かに言う。
「隠さない国家は、長期で強い」
秤が、さらにわずかに動く。
だが。
その瞬間、急報。
「帝国軍、国境南西部へ正式展開!」
限定侵攻。
今度は威嚇ではない。
兵站規模が違う。
王城。
会議室が凍る。
ヴィクトルが地図を広げる。
「三個旅団規模」
重い数字。
カイルは静かに言う。
「迎撃する」
迷いはない。
「国家総動員体制へ移行」
その言葉は、戦時宣言に等しい。
恐怖国家は力を見せる。
機能国家は耐えられるか。
大陸の秤は、
今、決定的に揺れている。
本話もお読みいただき、ありがとうございました!
少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、
ブックマーク や 評価 をお願いします。
応援が励みになります!
これからもどうぞよろしくお願いします!




