表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄?結構です。では国家運営は自己責任で ~辺境が黒字化したら王都が困り始めました~  作者: 雪乃フィオナ
第1部 秤の王国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/93

第42話 国家設計

 暗殺未遂の翌朝。


 王城は静まり返っていた。


 騎士団の巡回は倍。

 門の検問も厳格化。


 だが王太子カイルは、いつも通り執務室にいた。


「犯人は帝国工作員ではありません」


 報告する近衛隊長。


「商人の息子。穀物高騰で破産寸前」


 沈黙。


 恐怖は外から来る。

 だが刃を握ったのは、王国の民だ。


「……恐怖は連鎖する」


 カイルは静かに言う。


 同時刻。


 軍・財務・内政の合同会議が開かれた。


 出席者は限られている。


 カイル

 セシリア

 ヴィクトル

 ミレーヌ

 そしてアレクシス。


「帝国は段階を上げる」


 ヴィクトルが地図を広げる。


「補給線圧迫は継続。次は局地的侵入の可能性」


「財政は逼迫する」


 ミレーヌが数字を示す。


「穀物補填、鉱山再稼働、防衛強化……三ヶ月が限界です」


 空気が重くなる。


 その時、カイルが言った。


「設計しろ」


 視線がアレクシスに集まる。


「国家全体の対応を」


 短い言葉。


 だが意味は重い。


 アレクシスは数秒沈黙した。


 ここまでは部分最適。


 だが今は違う。


「……三層構造で対応します」


「三層?」


 セシリアが問う。


「第一層、即応」


 地図に線を引く。


「補給一本化を維持しつつ、偽装路を複数設置」


「囮か」


「はい」


 ヴィクトルが頷く。


「可能だ」


「第二層、経済緩衝」


 ミレーヌを見る。


「穀物価格は段階放出と補助金で安定化」


「財源は」


「軍需特別債を発行」


 ざわめき。


「国債か」


「期限付き。三年償還」


 短期集中。


「第三層」


 アレクシスはゆっくり言う。


「外交」


 沈黙。


「中立商業国家との緊急通商協定」


「帝国の包囲を緩める」


 カイルが目を細める。


「可能か」


「可能にします」


 その声に、迷いはなかった。


 国家は部分で戦ってはいけない。


 全体で設計する。


 沈黙の後。


 王太子が言う。


「採用する」


 短く。


 明確に。


「本日より、国家戦略会議を常設する」


 その宣言は、事実上の昇格だった。


 アレクシスは、単なる顧問ではない。


 国家設計者。


 同じ頃。


 帝国北部要塞。


「王国は債券を発行した模様」


 副官が報告する。


 レオニード将軍はわずかに眉を動かす。


「戦時体制に近い」


「恐怖で締め付けるつもりでしたが」


「機能で対抗してくるか」


 彼は初めて、笑みを消した。


「ならば試す」


 地図に赤線を引く。


「小規模侵入。補給拠点を直接叩け」


 王国。


 王城の高窓。


 セシリアが隣に立つ。


「あなたは、国家を設計し始めました」


「状況がそれを求めています」


「恐怖ではなく」


「機能で」


 静かな誓い。


 だが帝国は、止まらない。


 数日後。


 国境北西部で、帝国部隊が越境。


 小規模。

 だが明確な侵犯。


 報告が王都に届く。


 カイルは立ち上がる。


「迎撃する」


 初めての軍事決断。


 王国は、後退しない。


 恐怖の国家と、

 機能の国家。


 戦場での証明が、始まる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ