第七話 最初の朝
二〇二六年 五月十一日 後半の展開を丸ごと変更
二〇二六年 五月十二日 タイトルを変更
二〇二六年五月一五日 一部修正
二〇二六年六月一日 大部分文修正
「おはようございます」
「おう、おはよう」
MPE本部について二日目。朝、俺は一人でMPEを見学していた。
「おいお前、任務失敗したんだって?」
「うるせぇやい! ランクⅢが乱入してきたせいだよ!」
「それにも対処しねえと最上級にはなれないんじゃねえのかい~?」
今はまだ早朝。太陽が昇って一時間もたっていない。そんな朝早くからMPE二階、食堂は賑わっていた。
任務書を持ち、任務内容確認ついでに朝食をとる者や、朝から三人前食う者など、様々だ。
そして食堂で千Gで売っているモーニングセットを食べているとき
「……おはよう、ヴェルト。隣失礼するね……」
「おお、セレーネ。おはよう。ルークは?」
「……まだ寝てる」
セレーネが俺の隣に菓子パンを持って座る。
ルークが寝ていることは予想通りだ。俺は少し苦笑いする。
「あ、そうだ。辞令交付式っていつになったんだ? 新職員は全員来たのか?」
「……明日。もう新規職員が全員そろったから、明日やるんだって……」
「マジ?んじゃ人類躍進計画ももうすぐか。」
人類躍進計画。
今回の新規職員募集は、人類躍進計画のための人員募集のためのものだ。人類躍進計画はその名の通り。
戦闘員を募集し、災害生物領に攻め込む。実にシンプルだ。辞令交付式の二日後、が開始予定日である。
MPE職員の任務にもランクがある。最下級~特級で、重要度や難易度によって決まる。一般的には職員ランクと同じだ。俺たちが昨日受けた任務は下級任務。初任務とはいえ、中級職員二名ならば下級程度はほぼ確実に合格できる。
そして人類躍進計画は特級任務。未知の地に踏み込む任務であり、人類にとっても重要度が高い。
「……ヴェルト」
「ん」
「……昨日の任務での災害生物はランクⅡ。……災害生物領にはあれ以上がいるでしょ……?」
「まあ、確実にそうだったね。」
セレーネからの質問に、口の中の物を飲み込み、答える。
「不安なのか?」
「……少し。昨日の任務でも私は……戦闘に参加できなかった。中級なのに」
「まあ、異能が戦闘向きじゃないからなぁ……」
少し不安がるセレーネを横目に、俺はモーニングセットを口に掻き込む。
「私って……ランクⅡと戦って勝てるのかな……」
「…………勝てるかは知らないが、異能が戦闘向きじゃないんだから、わざわざ戦闘目線で考えることないと思うぞ。
後方指揮官やらやることはある。それにお前の異能は強いと思う。総督も珍しいって言ってたし。」
「…………だよね。……なんでもない。ありがとう、ヴェル」
そういい、セレーネは少し晴れやかな顔になる。
「そんな悩んだって仕方ないさ。悩むなら人見知りを悩め!」
「それはいつも悩んでる……」
「それが直ったら異能も戦闘向きになるだろ。苦手を克服しろ」
「むぅ……」
そういい、俺は食い終わったモーニングセットを持ち、席を立つ。
「そんじゃ、俺は先に戻ってるぞ。じゃあな」
「……うん、わかった」
菓子パンを食べながらセレーネは言う。少し不満げな顔をしていたが、苦手は克服するべきだ。人見知りを直せ。先輩とかは敬語で話すからいける。頑張れば同年代や距離感が近い人もきっと話せるさ。
そのあと、任務を受けに行ったが、もう任務はなかった。人類躍進計画前だ。任務更新はほとんどないだろうな。今日は適当にぶらぶらして時間をつぶそう。
辞令交付式は明日だ。
***
|MPE本部四階 図書室|
俺は今、MPEの図書室に来ていた。
図書室は今まで見たことのないほど大きく、図鑑類、歴史書、物語、神話、伝記……様々な資料の物が山ほどある。
図書館には異能関係の本を探しに来た。無事に見つかったのはいいが、フーゴーさんあたりに聞く前にきたらよかったかもしれない。余計な時間を使わせたかもしれない。
とりあえず何冊か面白そうな本を読もう。どうやら買うこともできるようだが、おそらく買うことはない。
そして俺は何冊か本を本棚から取り出す。
〈神災とはなんなのか〉〈神災偉人伝〉〈人類躍進計画とは〉などなど、の本を取り出す。一冊一冊がかなりのボリュームだ。
人類躍進計画とは、から読んでみよう。中に書いてあることのうち、後々解説されるため、読む必要はないが一応読んでおこう。
災害生物に奪われた領土奪還のため、災害生物領に位置する三つの観測基地に向け、第一寮~第三寮の戦力+第七寮戦力一部を三部隊に分け、派遣。
各部隊を囮として、災害生物を引き寄せ、撃破する。
極めて弱いランクの災害生物は、人間を避ける習性があるため、MPE本部/人類連合から三つの観測基地まで移動することである程度の災害生物を観測基地より外側に追い出す。
引き寄せられたある程度のランクがある災害生物は撃破。
という感じだ。自分たちを囮として強い災害生物は屠り、弱い災害生物は追っ払う。そして災害生物がいなくなったら、それは新たな人類領となる。




