第二十七話 強さ
ランクⅣ 巨大樹木型災害生物 グローサー・バウム。
――――ギャア……ギャア……
体を動かすだけで、付近の災害生物が逃げていく。
「『旋光光線』!」
そういい、ヴォルターさんがロボットアームから光線を放ち、幹の中央に直撃する。しかし、表面は黒く焦げるものの、あまり効いているような気がしない。
「隊長を呼べ! そして上級職員以上、未開放の場合異能を解放せよ! 中級職員以上は近距離以外は下がれ!」
そういわれると同時に、数十人の職員が背後に下がる。
――――ブオオォォォオオン!!!
先ほどと同じ、ツルのような器官が大きく振られ、数十人が吹き飛ぶ。吹き飛んだものは直撃したもの含めて重症のものはいないようだ。
そして前線全職員が異能を開放する―――
「『落石群』!」
「『投擲』!」
「『飛来』!」
そしてグローサー・バウムに向け、様々な攻撃が放たれる。
シュルルルル! という音とともに数十本の触手が幹の前で複雑に結びつき、盾のようになる。
「『火炎放射』」
ボオオォォオ、という音が鳴り、そのツルに向けてヴォルターさんが火炎放射を放つ。ツルについていた葉っぱと一部細い部分は焼けてしまったが、ほとんどの部分は健在だ。
「『狂鳥乱刃』!」
まだ燃え尽きていなかったツルに向けて、刀を持った上級職員が技を放ち、四本五本のツルが切れる。
「畳みかケロ! 前衛、ツルを押サエロ!」
「「「ハッ!!!」」」
グローサー・バウムのまだ切れていないツルをガタイのいい職員や重装備の前衛らしき職員が抑える。先ほど四本ほどのツルが切られ、残りは約五本。
―――シュルルルル!
「なんだ!?」
「おい! あっちを見ろ! ツルが……生えてきてる!」
ツルの付け根、グローサー・バウムの大樹の根本、地面のひび割れの地表に露出した根っこの上部分から芽が生え、爆速で伸び、長いツルになっていく。
「『旋光光線・六本』!」
そういい、六本のロボットアームから先ほどよりエネルギーが濃いように感じるレーザーを放つ。レーザーはツルの根元に当たり、ツルが六本焼失する。
「よし! いけるぞ!」
「おい、油断するな!」
グローサー・バウムの幹、口部分が大きく息を吸う。
――――――オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ … …
ビリビリビリビリ……
グローサー・バウムの幹の口部分から超大音量の不協和音が放たれる。
「グッ……」
「イギィ……」
何名かは耳をふさぐのが間に合わず、ぶっ倒れる。
「『極太光線』!」
その隙を逃さず、ヴォルターさんがグローサー・バウムの口部分に先ほどのレーザーとは比べ物にならない超極太のエネルギービームを放つ。
「畳みカケロ! ツルを切レ!」
ヴォルターさんがそう言うと同時に、職員たちがグローサー・バウムにむけ走り出す。ツルに何人か弾き飛ばされるも、先ほど吹き飛ばされた職員も合わさり、ツルの大部分を押さえつける。
「後衛職員! 異能放テ!!!」
「『碧射』!」
「『退治翠指』!」
「『光大砲弾』!」
駆けつけた職員も加え、先ほどよりも強力な一撃がグローサー・バウムにたたきつけられる。
―――― オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ! ! ! !
先ほどのような不協和音が放たれるが、溜めがない分先ほどより威力が低い。そして、先ほどのエネルギーはグローサー・バウムの顔部分に直撃し、木の皮がはがれ、内部に到達する。
「―――ごめん! 遅れた!」
輸送車の全速力よりも早そうな速度でナサさんが後方から駆けつけ、グローサー・バウムに正面から突撃する。
【権能開放――『破壊王』、覇拳】
ナサさんの両手拳に恐ろしい密度の黒い、威、エネルギーが集まる。
「『破壊の一撃』!!!」
―――オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ! ! ! ! ! ! !
五十メートルはあろう巨大樹、グローサー・バウムを巨大な黒いエネルギーの塊が襲う。
そのエネルギーの塊は、グローサー・バウムの顔面に直撃し、幹に亀裂が入り、あたりの地面がバキバキ、という音をたててひび割れ、地割れができる。
「おい大丈夫か! 地割れに落ちるな!」
「逃げろ逃げろ! 巻き込まれる!」
――――ア ア ア ア ア ア ア … … … … … …
ナサさんの一撃を受けたグローサー・バウムは、その衝撃で根っこが半分近くはがれ、今にも倒れようとしていた。しかし、ランクⅣの災害生物。そう簡単には倒れない。
「………思ったよりもしぶといな」
「当たり前ダロウ、ランクⅣダ。ナサ、お前は舐めスギダ」
「それはそうだ、ごめんよ」
――――ア ア ア ア … … ア ア ア ア ア ア ア … …
しかし、特級職員の一撃をド真ん中に受けたのだ。確実にダメージが入り、幹はひび割れている。
「……ねえ、あれってさ」
「…………回復カッ……」
ランクⅣ災害生物、グローサー・バウム。
そのひび割れた幹、切れたツルは緑色に光っていた。
そして、緑色に光っているヒビ、切れたツルは明らかに修復され、ヒビが直り、ツルは再度生えなおしていた。
―――― オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ
「……完全復活ってか」
「…………前衛! 前二!」
―――オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ … … … …
「作戦は先ホドト同じ! まずはツルダ!」
「指揮は任せた、ヴォルター。私はもう一発ぶちかましてくる」
「…………前衛職員! 下ガレ!」
―――― コ コ コ コ コ コ コ コ コ コ … … … …
海の方向から、少しずつ近づいてくるその巨大な鳴き声。
それに気づいた者はいなかった。




