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アウトライアー ~汎人類惑星奪還記~  作者: あろくす
第二章 人類躍進計画
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第二十六話 鍛えて戦い、鍛えて戦う。

|人類躍進計画 十五日目 午前四時|


『―――』


「ギャ―――」


「―――」


 人類躍進計画、十五日目。観測基地到達まで残り六日。


 夜の見張りをしていた職員は次の朝、休憩時間が二時間ほど与えられる。つまり午前六時まで寝ていられる、というわけだ。

 しかし、輸送車にはほとんど防音設備がなく、外部で災害生物と戦闘している音やエンジン音、鳴き声が当然のように聞こえる。こんなのじゃ寝られやしない。まあ休憩時間という名目なので特に間違っているわけではないが。


「『放雷(スパーク)』!」


「ギャアアアアッ!!!」


 ギルベルトやその他先輩方の戦闘音がここまで聞こえてくる。そしてギルベルトは雷を体に纏わせるだけではなく放電する方法を覚えたようだ。てか実際多分必ずおそらく体に纏わせるのもいいが、そっちの使い方の方がメインだ。それにあの異能は体に纏った場合、自らの体が若干痺れ、ダメージがあるそうだ。

 だがそれでも強い異能には変わ、りない。


 そして俺は今、威の操作練習をしている。


 昨日、ヴォルターさんに〝威〟を応用した技術を教えてもらった。


 〝威鎧(アーマー)〟、〝出威(ホウシュツ)〟、〝溜威(タンク)〟。


 俺は〝出威(ホウシュツ)〟に関係した異能であり、威を出すことに優れている。


 濃い濃度の〝威〟をホウシュツすることで、異能を使わずに実質的な攻撃も可能。そして〝出威(ホウシュツ)〟はすべての異能の内基本中の基本。


 〝出威(ホウシュツ)〟ができなければあとの二つを極めることなど夢のまた夢。


 そして図書館で借りた〈威の鍛え方〉を開き、実戦する。


 トレーニング方法。

 蛇口を捻る感覚で威を少しずつ出し、その状態を保つ。その状態でまず十分。これを①

 そして出す、出さないをできる限り早く十分ほど繰り返す。そしてこれを②

 この①、②のペアを一回とする。

 このペアを何回も何回も、疲れるまで続ける。




***




|人類躍進計画 四日目 五時|


「ハァ……ハァ……ヒィ………」


 その二種類のトレーニングを一回として、三回行った後、俺は感じたことのない疲労感に包まれていた。


「なんで最後急に疲れたんだ……?」


 三回目のトレーニングの終わる前までは思ったり楽だと思っていた。しかし、三回目のトレーニングが終わったとたん、疲労が一気に襲い掛かってきた。本によると、この状態になると威が切れた、とのことだ。


 そして本の中にある大体の威の目安を見る


 =====


 ~威の量の目安~


 半ペアもできなかった! ゴミ! 生きる価値無し!

 半ペア以上はできたけど、一ペアできなかった! 才能ナシ! 職員をやめろ!

 一ペアしかできなかった! 下級職員レベル! 雑魚! 励め! 

 一ペアと半ペアしかできなかった! まだ下級職員! 雑魚!

 二ペアしかできなかった! 中級職員レベル! 平凡! 凡人!

 二ペアと半ペアしかできなかった! 上級職員レベルはあるな! だが調子に乗んな! ここからむずかしくなるぞ!

 三ペアしかできなかった! 上級職員の上澄みくらいはあるな! 能力の練度がなきゃ宝の持ち腐れだ!

 三ペアと半ペアしかできなかった! 最上級職員くらいはあるな! だが特級には及ばない! 所詮お前は次点!


 五ペア以上もできた! 今まで申し訳ございませんでした。命だけはご勘ッ……

 =====




 俺の威の総量はかなり多いらしいな。上級職員レベルとは。


 ちなみにこの本はMPEで一番人気のある本だ。まあ、著者の人がそういう人なんだろうな。そしてこの名もなき殺されたであろう人に黙祷し、俺は戦闘に備えて休む。




***




「右部隊! 引ケ!」


「「「ハッ!」」」


 午前九時。災害生物が最も盛んに活動をする時間帯。もうじき観測基地に着く。この樹海は、中心部に行くほど災害生物が強くなり、いまや単独行動では対処できない。前衛、後衛に分かれている。なお、俺は後衛だ。


「異能を解放セヨ!!! 攻撃!!!」


「『|光機関弾《ヴァ―ルロス・フォトン》』!」


 ヴォルターさんの合図とともに、自分含め後衛の職員たちが異能を開放し、攻撃を行う。目前には炎、エネルギー弾、爆発などによって滅多打ちにされる災害生物たち。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛……!」

「ギイイィィイイイ!!!」

「ガッ……ガ……」


 ランクⅢ、そしてランクⅡの災害生物を殲滅し、少しずつ、しかし着実に奥へ奥へ、観測基地の方へと近づいていく。


 ここは海も近い。潮のにおいがする。観測基地に着いたら海を見に行くくらいは許されるだろうか。






「……」





 その時。


 ブオオォォォオオオンンン!!!という風を切る音が鳴り、前衛が吹き飛ばされる。


「……え?」



 目の前に大きな、大きな木があった。




 その木の地面にひび割れが入った。





 バキバキバキ……という音をたて、地面が割れ、周りの木より、一回り、いや二回り……それ以上に大きな木が地面から現れる。






 黒に極めて近いほど濃い茶色の幹をした、大きさ五十メートルはあるだろう巨大な木、その木の幹に、目と口のような穴が開いていた。




「………………総員、下ガレ。移動系の異能を持っている奴ハ遠征部隊隊長を呼ニイケ」



 そう、ヴォルターさんは静かに告げる。









 超巨大な、シンプルな。シンプル故に強い災害生物。



 ランクⅣ 巨大樹木型災害生物 グローサー・バウム。






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