第十六話 解放阻止のために
|反人類者収容所付近林|
《準備は出来たな。やるぞ》
「了解。では」
そう言った瞬間。収容所一階入り口で爆発が起こり、正門が見事に破壊される。
「全看守! 戦闘準備! 戦闘準備!」
「第一陣! 打て!」
そういい、看守たちは反人類連合 第八番 階級名シュモーネに向けて銃玉が放たれるが、シュモーネは避けもせず、弾がひとりでにシュモーネを避けていく。
「看守長! 当たらないです!」
「異能使用許可を所長に求めた! 少し待……」
言い終わらないうちに、その看守長と呼ばれている、大柄な男の体がバラバラ死体となる。
「うわぁぁぁあああ!!!」
「ひっ……看守長! 看守長!」
「少しうるさいですね」
そういった瞬間。何かの小さな音がし、正門を守っていた看守たちが看守長とおそろいのバラバラ死体となる。
「シェシュ様。反人類者収容所正門を制圧しました」
そういうと、近くの高めの木から細めの男が下りてくる。
「うむ。ではシュモーネ、行くぞ」
「はい」
***
「緊急事態です!」
ドンッ!という音をたて、地下第三層の所長室の扉が開かれる。
「……」
「無礼者! ノックをしろ! そして用件は何だ!」
「申し訳ないです! 用件なんですが! その……反人類連合の幹部陣らしきフード姿の二人が出現し! 正門が破られました! 看守長、他看守数名死亡!」
「なにぃ?!」
「……」
……攻めてくるのは予想通りだった。しかし、まさかここまで早いとは。警戒レベル、セキュリティレベルをⅣにする直前のタイミングだった。そう考え、ロッヘンは足早に歩きだす。
「所長がみずから出陣するのですか?!」
「留守、任」
「り、了解しました! では!」
「案内」
「はい! こちらです!」
そういい、ロッヘンとその看守はエレベーターに乗りこむ。
「(敵の名前はわかるか?)」
「は、はい! 片方はシュモーネ、もう片方はシェシュ、という名前です!」
「……」
そう言われ、ロッヘンは考え込む。シェシュ、シュモーネの二人。六番と八番。下っ端に近い二人だが、この二人の異能は強力だ。特にシュモーネ。シンプルだが、殺傷力が段違いであり、防御、回避は困難だ。
「(助かった。本部に通信を頼む。反人類者収容所の遠隔操作室を守れ、と)」
「了解いたしました!」
そういい、先ほどの看守はエレベーターを降り看守室へと駆けていく。そして、ロッヘンもエレベーターをくぐって降り、看守室の逆側の正面入り口へと行く。
「アガッ……!!」
その時、正門から看守らしき叫び声が聞こえる。
それを聞き、ロッヘンは正面入り口へと駆けているとき、前からヒュゥゥオオオォォオ……という音が鳴り、反射的にロッヘンは体を仰け反る。
「……避けられました」
「特級だからな。不可視だろうが避けられる。なめてかかるな。殺るぞ」
「了解」
そういい、扉の陰から二人、シェシュ、シュモーネが出てくる。
「真能解放――【風の化身】」
「真能解放――【操り人形】」
二人がそう言って、シュモーネは周囲に風を纏い、シェシュは背後から巨大な木製の人形のような手が現れる。
「『身体操作 対象:シュモーネ』」
「受理します」
そういうと、木製の手がシュモーネの上に回り、糸がシュモーネの四肢や頭に着く。シェシュはその手の上に座っている。
「行くぞ」
「はい」
「……」
そしてシュモーネはこちらに少し少し歩いて近づいてくる。
「……権能解放――【闇夜の殺し屋】」
特級戦闘員、ロッヘン。権能を開放し、瞬きのうちに姿を消す。そのことを警戒し、シェシュ、シュモーネは防御に入る。
「『風陣』」
そういい、シュモーネは、周りを風で纏う。先ほど銃弾を受け流した技と同じ技であり、ほとんどの技は受け流される。貫通力が足りないのだ。
「―――『貫手』」
シュモーネの真横。ドゥン!という音をたててロッヘンが右手を槍のように貫こうと、風陣の左から右手を前に突撃する。
ロッヘンの身長は三百五十一センチ、なのに体重は百キロに満たない。人外だ。その体の大きさだと腕もそれ相応に長く、二メートル近く。そしてその細さ。
そしてその右手は風陣を貫通し、シュモーネの横っ腹に向かう。しかし、そのことを予見し、シェシュはあらかじめシュモーネを弧のようにのけ反らせた。それによりその貫手はシュモーネの横っ腹に刺さらず、空を切る。
正直、シェシュはロッヘンがどこから貫手を放つかはわからなかった。前や後ろからくる可能性もあったため、今のは予見とはいうが、ただの運だ。
「……」
「……ッ……」
「大丈夫だ、シュモーネ。慎重になれ」
貫手をはなったあと、ロッへンは距離をとり、もともとの場所に下がる。様子見だ。
様子見の技で殺されかけた。おそらく今の自分たちは勝てない。と、シェシュは考える。しかし、彼らの目的はロッヘンを倒すことではない。
ラディカル・ヘルツ。一番、階級名アハットの解放だ。そのために奥の手を持ってきたのだ。
しかし、その奥の手は本当に最終手段。ここぞというときに使わなければラディカル・ヘルツは助けられない。そう考え、シェシュは自分とシュモーネの連携技の使用を開始する。
特級クラス一名 VS 最上級クラス二名
ちなみに反人類連合の幹部レベルたちはみんなフード姿です




