23話
チャイムが鳴ると同時に北東から爆音が響いた。そしてルルたちの頭上を三機の爆撃機が3機のエレメントを組んでローパスしていった。その音に周囲は驚いていたがルルは事前に聞かされていたこともあり驚きはしなかった。しかし、周囲者は反応が異なりその轟音に驚いていたようであったがただ一人その爆撃機の種類に驚いていた。当然担任のフリストフであるのだが、しばし皆その爆撃機に夢中になっていたのだが山に遮れるとふと我を思いたしたようであった。
「ルル上級曹長を除いて校舎に戻れ」
「「「「はい」」」」
そう言われたクラスメイト達は、馬小屋に足取りが重そうであったが向かっていった。
ルルを除いたクラスメイト達が周囲にいないことを確認したフリストフはルルにあの爆撃機に関して問いただしてきた。
「ルル上級曹長、あの爆撃機は何だ」
「有額高等学校入学式式典で飛ばされた爆撃機です」
「それは、知っている」
フリストフは少し興奮しているようであった。
「教官、教官は私に対して何を求めているのですか」
「何をだと」
「はい、本日式典で飛行した機体は、爆撃機が2機と不明機1機の合計に3機です」
ルルはわざと試験機に付いて誤魔化しを行った。この試験機は王都には行っているが今だに正式発表を行っていないそしてこの機体は他家には新型の音速旅客機だと一応誤認させている。
「私は、その不明機に付いて聞いているのだ」
「それは、私に聞いても意味のないことではないですか」
「意味のないことだと」
「はい、意味のないことを聞かれております」
「貴官は、貴官は」
「私は、州の領主の息子とでも言いたいのですか」
「そうだ、貴官はそうだ」
「それならわかっているのではないですか?」
「わかっているだと」
「ええ、試験機であろうと実戦機であろうと発表が無い限り知ることは出来ないと」
フリストフは、少し唸って次の言葉をひねり出した。
「上官命令である、知っていることを言え」
「棄却します」
「なぜだ」
「教官は、機密事項を知る権利を得ていませ、それでは」
そう言ってルルは、馬小屋に歩き出していった。ルルが、フリストフに試験機について詳しく言わなかったのは、フリストフがスパイである可能性があったからであった。ここ数十年連邦王家の力が無くなり各地で小競り合いが続いている。そして本来その小競り合いを止めるべきである王家の力が無くなっているため止めることが出来なくなっている。しかし、その王家が無くなってしまっては困る家が多くいるため上納金という名で王家をギリギリささえている状況であった。そして、このボルムス家には、連邦王国でも有数の軍事会社があるため多くのスパイが入り込んでくるのであった。
ーーー
ルルは、校舎に戻るまで時間が掛かってこともあり既に更衣室には誰も残って居ないと予測して居たのだが予測に反して更衣室にはリリアンが残って居た。
「リリアン下級軍曹どうしたんですか」
「いえ、ルル上級曹長が無事かと思いまして」
「大丈夫ですよ。この学校はいくら軍が管理しているとしてもその軍の上には我が家が居ます。ここで私を無下にすることはできません」
「たしかにそうですが」
「それより、リリアン下級軍曹呼び方を変えませんか」
ルルは、着替えながらリリアンと話をしていた。更衣室の個室の扉の上にはスリット上になっており会話できるようになっていた。本来は換気用に設置されているのであるのだが。
「呼び方ですか」
「ええ、呼び方です」
「いくら私が、上級曹長であるとはいえ同級生であるのは違いありませんから」
「そうですが」
「では、命令しましょうか」
「では、なんとお呼びすればいいですか」
「ルルで良いですよ」
「では、ルルさんとお呼びします」
「さんは無くても良いのですが」
ルルは、個部屋から拳銃をホルスタに入れながら出てきた。
ルルはリリアンの腰にも同様にホルスタが付いていたのだがルルとは異なりリリアンのホルスタからは一本の線が出ておりその線が腰まで続いていた。
「その線は」
ルルは、その線を指さしながら聞いた。するとリリアンは拳銃を取り出しながらその線を伸ばした。
「この線ですか」
「ええ」
「この線は、父から教えてもらったんです」
「アサ県領からか」
「はい」
ルルは自身の拳銃を取り出しながらその拳銃を眺めていた。すると、ルルの腕に付いていたデバイスから時間を知らせる音が鳴った。この音は、ルルがここに戻ってくるまでに運動場に行くまでかかった時間から逆算して設定した時間であった。
「時間か、リリアン戻るぞ」
ルルは拳銃をホルスタに戻してから教室に走り出した。




