三
店内に入り竹田はまず隆正を見つけた。隆正の頭上には3箱のドル箱があり、足元にもどっさりコインの入った大箱が置いてある。
「よう、すげぇな。タカ。」
「あ、竹田さん。お疲れ様です。」
隆正は大吾とは違い、そうお喋りではなく、先輩に対して礼儀正しい人間である。
「結構どの台も出とんなぁ、やっぱ設定良さそうなのか?」
「そうっすねぇ、俺の台は初あたりが相当いいんで6かもしれないですね。」
「いいなぁ、金太郎の6か。でも6ならもっと出るんじゃねーの?」
「いやー、初あたりはいいんですけど大連チャンが無いんですよ。俺ヒキ弱いですからね。」
それでも隆正はこんなに出したなら十分、といった感じで上機嫌で打っている。竹田は周りを見渡したが大吾の姿が見えなかったので、隆正に聞いてみた。
「大吾はどこでやっとるんだ?あいつも金太郎だろ。」
「あいつなら隣のシマに居ますよ。」
「そっか、ちょっと見てくるわ。」
そう言うと、竹田は隣のシマに向かった。大型店にもなると人気機種は2シマ3シマと幅を取っている。大吾を見つけ背後に立つと、
「真ん中!右!よっしゃぁぁ!シングルボーナス!!」
威勢のいい声が台から聞こえている。液晶に目をやると残り40と表示されている。
「大吾、お前金チャン(金太郎チャンス)100じゃねーか!」
「おお、竹田君。ちょ、今日2回目の金チャン100だよ。マジ熱いって。」
大吾はかなり興奮した様子でドル箱にコインを詰めながら金チャンを消化していた。
「相変わらずだな。お前は一発屋か。ヒキだけで勝つ男だな。」
「何言っとんの、勝ちゃいいんだって。熱い男はサクッと出すもんだって。」
「ははは、そうだな。でも設定はたいしたこと無さそうなんだろ?そのヒキを少しタカにも分けてやれよ。」
竹田は笑いが抑えられなかった、大吾はこんなバカっぽいことをよく口にする。
「あいつはヘタレだからなぁ、俺があの台やっとったら今頃は1万5千枚は出しとるね。」
大吾も笑いながら話をしている。
「竹田君も今日勝ったんでしょ?なんかやったら。」
「そうだな、でもお前らに比べればショボい勝ちだからよ。マイナスになりたくねーからな。」
「竹田君なら勝てるって、熱い男だろ?」
「バカ言うなって、そうそうウマい話があるか。時間もあんまり無いし。でもまぁニューパルでも見てくるかな。」
そう言うと竹田は歩き出し他のシマに向かった。大吾の台からはまだ威勢のいい声と軽快な音楽が聞こえている。




