二
「いやー今日は軽快やったなぁ。」
山本はそう言うと余りコインで貰ったチョコレートを頬ばり、景品を眺めた。序盤はパッとしなかったが、山本は5千円使ったところで『ドン2』に見切りをつけ『コンチ4X』に移動した。結果的にはこの台移動が功を奏し『コンチ』に一万円投資したところで自力REGからラッシュを連チャンさせ一気に3千枚ものコインを出した。そして竹田はというと、その後も『ドン2』でコンスタントに当りを引き、1,500枚ほど出した。結局、山本は4万1千勝ち、竹田は2万6千勝ちでこの日の勝負を終えた。
交換所で景品を現金に換え、車に向かいながら竹田は何気なく時計を見ると、まだ16時半過ぎである。
「二人ともサクッと勝ったもんで時間空いちまったなぁ。」
竹田のバイトは20時からだ。
「いやいや、じゃあもう一軒行きますか?」
山本はすこぶる上機嫌だったので何でも来いという感じである。そしてもう一つ付け加えるならば短時間のAT連で勝ったことで少し物足りない気持ちがあったのである。竹田もこの日は気持ちよく勝っていたのでかなり悩んだが、バイトという時間制限があるので今日はもう帰ることにした。もしバイトが無ければおそらく二人とも爆裂AT機で大勝負をしていただろう。
「また今度一緒に大勝ちして軽快にキャバクラでも行きましょう!」
竹田の言葉に山本は少し残念そうな態度を示したが、結局二人は『AUTOMATIC』を後にし、大学の駐車場に山本の車が停めてあるので一度学校によって、それぞれ家路についた。
山本と別れた後、車を走らせて竹田は自宅近くのコンビニに来ていた。そこでコーヒーと出たばかりのスロット雑誌を買い車内で一服していた。まだ時刻は18時ちょっと前である。バイトの時間までまだ2時間ほどあるのでマンガ喫茶に行こうと思ったが、ふと出かけ前に入った大吾のメールを思い出し、まだパチンコ屋に居るかもしれないので電話をしてみることにした。なかなか出ないので切ろうとしたその時、
「もしもし!」
と、大きな声が聞こえてきた。もちろん背後はざわざわとうるさい。
「竹田君、今日マジで熱いよ!隆正と一緒に金太郎やっとるけど、俺が5千枚で隆正は7千枚くらい出とるよ。竹田君もこればよかったのに。」
隆正(通称タカ)とは大吾と同じく竹田のバイトの後輩で、大吾とは高校時代からの友人である。
「ほーう、それは熱いな。でも俺も今日軽快に勝ったからな。で、まだやるのか?まだ居るならバイトまで時間空いたからちょっと見に行くけど。」
「うん、まだ金チャン続いとるもんでバイトギリギリまでやるつもりだよ。」
「わかった、行くわ。『ヨンキョー』だったよな?」
「そうそう、待っとるわ。」
時間が惜しいのか大吾は言葉少なに電話を切った。
大吾との電話を終えると竹田は『ヨンキョー』に向かった。『ヨンキョー』は竹田や大吾の地元でも一番の大型店で、イベントともなれば遠方からも来る人がいて大いに賑わいを見せる。この日も駐車場には隙間無く車が並んでおり、なかなか空きが無かったので竹田は立体駐車場の上のほうまで昇り、やっとのことで車を停めた。店内に入りまっすぐ『金太郎』のシマに向かったが、どのシマもびっしりと人で埋め尽くされている。昼間竹田が『ドン2』をやった店とは比べ物にならないくらの人の多さだ。




