十二
「ブルルルル、ブルルルル、ブルルルル・・・」
ケータイのバイブの音で大吾は目を覚ました。寝ている時に着信音が鳴らないよう、いつもマナーモードにしてある。普通ならバイブの音で目を覚ますことはないが、この日は珍しく気が付いた。
「うっせぇな、誰だよ。・・・もしもし。」
気だるい体を起こし大吾は電話に出た。
「もしもし、ごめん、寝てた?」
隆正である。
「なんだよ、タカ。寝てるに決まってんだろーが。」
大吾は半分夢の中である。
「ごめんごめん。なんか俺あんまり寝れなくてさ。」
「だからって俺を起こすなよ。で、なんだ?」
本当に機嫌が悪そうである。
「いや、スロットでも行こうかと思って。今日『ヨンキョー』イベントやっとるしさ。」
スロット、という言葉を聞いて大吾の眠気は少し消えていった。
「ああ、そうか。『ヨンキョー』か、確かに行きたいな。因みに今何時だ、タカ?」
「えっと、14時ちょっと過ぎだよ。今日俺らバイト無いから、今からでも十分勝負になるだろ。」
「そうだな、よっしゃ、行くか。じゃあ・・今から30分後に迎えに来てくれ。」
大吾は急にハイテンションになり眠気も完全に吹っ飛んでいった。本当に大吾はスロットが大好きで単純な人間である。隆正は大吾がこういう反応をするだろうとわかっていた。
「あ、そうそうタカ。確か今日竹田君もバイト休みじゃなかったか?一応誘ってみよーぜ。あの人も暇だったら絶対来るぞ。」
「わかった、電話しとくわ。じゃあ30分後にお前の家に行けばいいんだな?」
「おう、待っとるからな。じゃあ。」
大吾は電話を切ると急いで支度を始めた。見るからに表情はウキウキしており、寝起きの機嫌の悪さなどもう完璧に消えていった。




