九
いろいろミスがあり、訂正に追われていましたが、また話を続けていきます。
「じゃあ今度ホントにスロット連れてってよ。」
「ああ、わかってる。・・・じゃあ、またな。」
「うん、頑張ってレポート完成させてね。じゃあ、また明日学校で。」
ばたん、と車のドアを閉め佳奈はいつも待ち合わせ場所にしているコンビニに入っていった。竹田はしばらく佳奈の様子を眺めてから、コンビニの駐車場を後にした。裏道を少し走り広い幹線道路に出る交差点で停まった時、ケータイをポケットから出し山本に電話をした。
「もしもし。」
山本の軽快な声が受話器の向こうから聞こえてくる。
「いやいや、マージャンの様子はどうですか?誰が勝っていますか?」
「いやいや、俺が勝ってますよ。」
山本は少し笑いながら、そして含みのある答え方をした。
「いやー、軽快な人だ。」
竹田の喋り方も先ほどまでの、佳奈と話をしていた時とはうってかわって明るくなっている。
「それよりどうしたん、竹やん。今日は忙しかったんじゃないの?」
「いやいや、さっきまで立て込んでましたが強引に終わらせました。今から行ってもいいですか?」
もちろん竹田はマージャンに行くために佳奈と遊ぶのを『レポート』などと言って切り上げた。確かにレポートはやらなければならないが、もともと明日1日でやるつもりだったし、それほど真剣に書く気もなかった。
「あんたもキチガイやなぁ。別にええよ。でも多分今日はそう遅くまでやらんと思うよ。」
山本は少し呆れた様子で答えた。山本は今まで竹田が何をしていたかうすうす感づいている。
「じゃあ急いで行きます。って言うかもう既に向かっています。」
「ホントにキチガイです、あなたは。」
二人とも笑いを堪えながら話をしている。不意に受話器の奥で「リーチ!」という声が聞こえてきた。
「いやいや、これ以上邪魔しちゃ悪いですね。じゃあ今すぐ行きますので、振り込まないように気をつけてください。」
「はい、じゃあ待ってます。」
電話を終えるとなぜだか気分が高揚してきたので、竹田はカーステレオのボリュームを大きくし、アクセルをグイっと踏み込んだ。エンジンが低速ギアに入り大きな唸りを上げる。走りが売りの車ではないので一気にスピードが出るわけではないが、それでも一般の車より数段速いスピードで、竹田の車は幹線道路を駆け抜けて行った。
この日竹田が山本の家でのマージャンを終えて自宅に帰ってくる頃には、日付は当然変わっており、東の空も少し白んできた頃であった。




