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二色の瞳を持つ聖女アリス〜博愛で妖艶なる愛の神官〜  作者: jetts


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17/22

少女の面影残る地サーナ〜少女の記憶〜

 私の作品をお読みいただきありがとうございます。


 2色の瞳を持つ聖女アリスの核心部分がこのサーナ編にて描かれます。全編を通じて今まで以上にアリスの過去の絶望と再生について語られます。


 性的被害、家族の喪失などで深い傷を負ったことのある方は十分にご自分の心の状態を確認していただき、不安定な場合はこの章を飛ばしていただくようお願いします。


 十分に気をつけていますがお伝えする内容自体はとても重い事柄ですのでご配慮お願い致します。


 街道に爽やかな風が吹き、わたくしの髪と法衣の裾がなびきます。


 あれから赤翼亭はソフィアさんのお父さんが復帰した事で売上も戻り、繁盛しているそうです。


 ソフィアさんとアレンさんはお店存続の心配がなくなり無事に結婚され、ご夫婦で正式に赤翼亭を継ぐために励んでいるそうです。


 それとドワーフの方々の「いただきます」と「ごちそうさまでした」という食事の挨拶はドワーフの方々が多く住まう東の大国の神が広めた挨拶との事でした。


 以前から黒き聖典に書かれている事柄と合致するところの多い東の大国…………いつか行ってみたいですね。


 皆さんとテリマヨの事を思い出していると前方に城壁が見えてきます。この大陸で1,2を争う大国『冒険者王国サーナ』の王都『ニューサーナ』です。


 西側に大きな港を擁する大規模な商業都市であり、怪物退治や遺跡探求を生業と冒険者たちの集まる中継基地でもある大都市です。


 巨大な門を行き交う人々、交易をしている都市なので厳しい検問はありません。ですが、入国には身分証明が必要です。


 「ごきげんよう、わたくし冒険者ギルドロイデ支部所属の神官アリスと申しますわ。こちらギルド証です」


 入管局事務の方に優雅に挨拶致します。そして、胸元を少し開いて首に下げたギルド証を手渡しします。


 事務の方は顔を赤らめながら受け取ってくださり確認をしてくれます。


 かわいいですわ、お茶にお誘いしたいところですが入国時にお声がけ等をすると最悪で不正入国を疑われてしまいます。我慢しましょう。


 「し、神官アリス様審査完了致しました。サーナへようこそ」


 声が少し震えていますが、ギルド証を返して頂いたので胸元に戻して身なりを整えお辞儀をして次の方に場所を譲りニューサーナの街に入ります。


 タナトシェルに比べると整えられた街並みで頻繁に警備隊が二人一組で巡回していて女、子どもといった弱い人々も安全に過ごせる街のようで笑顔が溢れています。


 わたくしはこの街に初めて来たのですが、自然と足がある場所に向かいます。


 やはりこの街は避けるべきでしたか…………そろそろ自制できると思ったのですが…………


 サーナ王立魔術学院…………訪れたくないはずなのに自然と向かってしまいます。門を遠くから眺めます。


 門番をしている初老の男性は朝と夕方は寮の入り口にいらっしゃいますがお昼前位は、この学院の正門で警備されています……………何故ですか? わたくし、彼を知らないはず。


 白髪が増えてるわ…………あっ、これは不味いですね。お会いしたことない方を見て涙が出そうです。


 記憶が溢れています、早くここを離れましょう。ここで取り乱してしまっては良くないことが起こります。


 足早に立ち去ろうとした時、おさげ髪で眼鏡の女性がわたくしを見つめていました。


 咄嗟に駆け出して逃げようとするわたくしに飛びついてくる女性。


 「貴女はアリスよね。所作、外見…………私の知っているアリスそのものなの、ありえないの。物語の主人公アリスが目の前に居るの、貴女はアンネ………」


 わたくしは彼女の唇を人差し指で止めてから肩を抱き耳元で囁きます。


 「彼女の名を言わないで下さい。フェルシー…………ごめんなさい、お時間があるのでしたらお話させていただいてよろしいですか?」


 流れてくる膨大な記憶の中から彼女との記憶を一時的に閲覧します。


 正直に言うと、この少女の記憶を全て受け止めると今のわたくしは壊れてしまう可能性があります。


 今ここで弱い姿が出てはいけませんので記憶を調整して、あくまである少女の出来事として記憶を受け取めます。


 「アリス様とお呼びすればいいかしら?」


 おさげ髪の彼女は戸惑いながらもわたくしをじっと見ながら聞いてきます。


 「ふふっ、貴女にそう呼ばれるとくすぐったいわ。いつものようにアリスとお呼びなさい。あの子のことをお話しましょう」


 そう言って、彼女の手を引き街へ繰り出します……………私が初めて救った子羊…………少女のお話しをする為に…………


 

 



 




 


 


 

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