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爪痕は世界に刻まれるー熊獣人の生存闘争ー  作者: 北高乃窪地
第1章・冒険の始まり
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8/10

8.訓練


 夕食を終え、寮でぐっすりと寝た翌日。まだ空がグラデーションに彩られている時間帯に、ぼくたちは表にでて体をほぐしていた。


「よし、寝坊したやつはいないな?じゃあ走り込みいくぞ!」


 エレノアさんという猫の女の人が指揮を取り、ぼくたち子供組や何人かの大人ですぐ近くの城壁の上へ移動し、走り込みを始める。

 子供は十二人で昨日より少ないけど、ここでは大体十二歳くらいまでの訓練生とそれ以上の見習い組の二組に分けられるそうだ。訓練生は基礎を固めるため訓練に集中して、十二歳になって見習い組になると冒険家や兵士などなど、将来なりたい職の見習いとして先輩について回るようになるらしい。もちろん十二歳までしか訓練できないなんてことはなく、職についてる大人も時間を見つけて技術を学びにやってくる。ただ一日中道場にいるのはここにいるメンバーになるから、みんなとはぜひとも仲良くなりたい。

 今いるエレノアさんみたいな引率の大人は、マワリーさんのような教官だったり非番とかで道場にいて都合が合う面子がこうして走り込みを一緒にしているんだそうだ。城壁内外はランニングコースとして多くの訓練生や軍人が重宝しているらしい。

 朝日に照らされる町を見ながら肌寒い風を切る感覚は、今までにない爽快感だった。頭が冷えて透き通り気持ちが良い。



「あーねむぅ」

「もっとシャキっとしないとダメだよゲニウス!ふぁぁ」

「ミカも眠そうじゃん」


 そんな中、前を走っている牛の大柄な男の子はあくびをし、猫の女の子が注意していた。だがぼくは内容より、そんな緩い会話しながらもかなりのスピードで走ってることに驚いた。村の大人でもすぐへばるスピードを出してるのに一人もキツそうにしてない。

 そりゃそうか。村と違いここにいるのはみんな獣人。このくらい軽くこなせる人達ばかりなんだ。ネッド達と遊んだ時も楽しかったけど、加減せず走っても隣に人がいるってなんだか楽しい。

 だけど、楽しいんだけど。今まで負けなしで前を走られたことなんてなかったから知らなかったが、誰かの後ろを走るってなんだかムズムズする。抜かしたい。一番が良い。こんな感覚も初めてだ。


「おうアレク、お前ははじめてだが大丈夫か?キツかったら言えよ?」

「全然平気だよ!むしろペース上げてもいいくらい!」

「おっ言うね!じゃあ僕と競争でもしてみるかい?」

「いいとも!」

「な、仲良くね~?」


 カルフ達と軽く言葉を交わし、ぼくたちは更に脚に力を込める。途中で見張り中の兵士さんに頑張れよ~と声をかけてもらったりしながら、ぼくたちは走り込みを続けた。







 その後朝食を昨日と同じ食堂で食べて、ぼくたちはとある教室へ来ていた。中には木を削ってつくられた長机がいくつかと、丸太型の簡単な木のいすが用意されていて、ぼくたち以外の子たちも集まっている。


「うへー、朝からめんどくせぇなぁ」

「だ、だけど、勉強も大事だよ?」


 僕たちも机の一つについた後、カルフが机に突っ伏しながらぼやく。控えめながらもススがたしなめているのを横目に、朝から元気いっぱいなリオンが胸を張って答えた。


「ふっ、強くなるっていうのは体を鍛えるだけじゃないのさ。より完璧な自分になるために、君も真面目に勉強するべきだよ。そう、この僕のように!ねぇアルク?」

「えっ、と、そうだね?」

「んなこたぁ分かってるんだよぉ。あとアルクが困ってんぞ」

「これは失礼!」


 リオンの返答にぼくは一瞬困惑したが、カルフは当然のようにスルーして会話を続けている。この辺りまだまだ馴染めてないなぁ。


「よーし君たち、今日は計算の練習するぞ」


 そうしていると眼鏡をかけた優しげな男の人、、昨日の夕食の時にもいた象の獣人の先生が入ってきて勉強が始まった。




 ここではいつも訓練の前に勉強をしているらしい。ウルスさんの言っていた通り知識とかも重視しているんだな。ぼくは勉強嫌いじゃないし、あって困ることはないんだからこれはありがたい。薄い木の板が配られ、それに計算を書き練習した。内容は、読み書き計算はついていけそうだけど、地理や歴史、戦術、自然の法則等々覚えることが多い。村じゃそんな知識使わなかったしなぁ。これは気合い入れてやらないと追い付けないぞ。

 教えてくれる男の人はここの卒業生らしく、そうやって先輩が後輩に色々教えて、その後輩が大きくなったら更に下の子に教えて、、って回っていってるんだそうだ。






そして太陽も昇り切った頃、休憩を挟んでから再び体を鍛えるターンに。


「おし、いつも通り最初は基礎鍛練からな」


 朝に会った猫の女の人ーーエレノアさんが教師となり訓練が始まる。最初にやるのは走り込みだ。ただし、固定化をフル活用しながら。


「翠気を扱う力を鍛える術は色々あるが、これが一番私達の体に合ってて効果的だ。今はこれで感覚に慣れて翠気を使うスタミナをつけろ」


 エレノアさん曰く、肺活量を鍛えるには走ったり泳いだり色々方法があるのと同じように、翠気も鍛え方がいくつもあるそうだ。まずは全ての基本となる肺活量(翠気を扱う力)を鍛えてから、各々の得意不得意に合わせた動きを練習すればいいと言われた。

 そのための訓練をするためやってきたのは城壁のそば。そこは沼や拳大の杭が沢山地面に打ち付けられていたり障害物が置かれているエリアだった。


「どんな悪路だろうが道なき道だろうが突き進むのが獣人の本領!さぁ走れ!」


 号令を受けぼくたちは一斉に走り出す。点々とある足場に飛び移り、ほぼ壁みたたいな傾斜を固定化を使って乗り越えていく。なんか楽しいなこれ、とすら思っていた時だった。



「最後尾はお前かおら進めぇ!」

「グヘァァッ!?」


 、、なんか後ろから怒号と共に凄い音がして象の男の子、、ドンタが飛んできたんだけど。


「相変わらず厳しいって!」

「そうだそうだぁ!」

「ほう、無駄口叩けるほど元気なヤツがいるな?」

『逃げろぉ!!』


 俺が混乱してる間にも皆は凄いスピードで走っていき気が付くと最後尾になっていた。


「アレクくんっ、見ての通りエレノアのお姉さんに追い付かれると蹴っ飛ばしてでも進まされるから!じゃ、じゃあ頑張ってね!」

「えっちょっ」


 ススが隣にきて教えてくれたが、そのススもすぐさまぼくを抜かしていった。えっみんな朝と様子が違くない!?殺伐としてるというか、、


「おう新入りぃっまだ慣れねぇだろが頑張るこったなおらァ!!」

「グフェァ!?」


 よ、容赦がないねエレノアの姉さん!?


「おん?ちゃんと本気出せやそんなスピードじゃウサギも捕まえられられねぇぞぉ!」

「グホォ!?」


 ぼくを蹴っ飛ばした姉さんは足場をつたい速攻で前に行ってカルフを吹き飛ばした。

 列のどこにいても関係なしですか!?ほ、本気で走らないと吹き飛ばされる!?あと急いだら意外と走りずらいなこのコース!!、、あっ


「ぐふっ」

「なに普通に落ちてんだ獣人の名が泣くぞぉ!」

「すみまsガフェァっ!?」


 まずい思ったより大変だこれ!いつの間にか最後になってるし焦ると余計にミスをしちゃう!おお、落ち着け、立て直すんだ!

  足に意識を集中させ、いつもより丁寧に固定化を使う。前をしっかり見てどの足場を使うか狙いを定め跳び移っていく。足場が小さいなら爪や足先に力を集中させ、広ければ足全体に力を込めて安定感を上げる。


 、、よし、落ち着いてきた。前を見るとお姉さんが皆を追い立てている最中で、ぼくたち以上に身軽に飛び回っている。

 というか、どこまで進むんだろうこれ。悪路とはいえ獣人が本気で走っているのに、ずいぶん長いコースだな。

 なんて思っているとようやく終わりが見えてきた。びっくりしたしすごい疲れた、、ん?


「、、え?」

「頑張れよアレク!」

「まだいけるわ!頑張って!」


 最初に狼や馬の人__ルプスとフェリスといってぼくの2歳上らしい__が前から向かってきて励ましの言葉を置いて去っていき、


「頑張れアレク!君ならやり遂げられるさ!」

「おうもうへばってんのかぁアレク!」

「む、無理しないでね~」


 カルフたちも向かってきて走り去っていった。

 なるほど。、まぁこれで終わりだとは思ってなかったさ。俺だって今までお父さんと狩りをしてたんだ。体力ならまだ____


「足動いてねぇぞぉ!一時間も走ってねぇのに休んでんじゃねぇ!」

「ガファッ!?」

「おめえらも新入りに良いとこ見せろよぉ!サボったやつぁ五周追加だ!」

『ウォォォォ!!』


 、、、ふっ、むしろ望むところだ!これくらいじゃなきゃ強くなれないってもんさやってやるよォ!!












殺伐とした基礎訓練が終わった後、再び道場に戻ってきたぼくは、みんな一緒に試験を受けたあの部屋へ来ていた。


「今日は予約が空いてたから筋力トレーニングもやるぞ。 、、ああ、アレクは初めてだったな。まぁお前も分かってる通り、私達獣人は種族によって得意な分野が大きく別れている。熊のお前はパワータイプで猫系は瞬発力自慢みたいな感じにな。だから器具使えるときは2つか3つに別れ得意分野を伸ばすメニューをやってるんだ。あとでまた合流するから今だけだけどな」


 そう説明を受け確かにと納得。そりゃ体格からして違うし別の方がためになるよね。

 というか姉さんもみんなも切り替え早くない?さっきの剣幕はどこに?こ、これが普通なのか?

 説明を受けてから始まったのは試験でもやった重量押しだ。だがここで新たな事実が判明。ススのパワーが思ったよりすごかったのだ。他にも象や牛の子もぼくと同等以上のパワーがあった。


「ドラァァァ!!」

「いいよゲニウス!まだいける!もう少しだ!」

「お前ならやれるよ!」

「もうひと踏ん張りだ!」


 汗だくになりながら全力で押してるをみんなで応援する。さっきの基礎訓練の時とは別種の"熱"を感じる光景に少し気後れしながらぼくも必死に声を上げた。というかこの訓練みんなの方がすごい積極的だね!?良いことだけど!


「ナイスファイト!凄かったよ!」

「おうっありがとなアレク!やっぱ鍛えるのは楽しいな!じゃあ次はお前がやってみるか!」

「お、おうっやってやらぁ!なんでもこい!!」

「いいじゃねえか、頑張れよ後輩共~」


 、、少々ヤケも入りながら、ゲニウスが譲ってくれた場所にスタンバイ。ぼくも訓練に勤しみ、その後何種類かのトレーニングを終える頃には全身の筋肉がビキビキいっていた。

 キツイ、、







最後の訓練はみんな集まっての組み手や武術の訓練だった。


「時間もおしてんだ、しっかりやれよお前ら!」

『はいっ!』


 エレノア姉さんの指示で最初は型の訓練から始まった。重心移動や足運び、受け身とかの基礎を中心にやっていき、中でも受け身や防御は重要だからと吹っ飛ばされては起き上がるを繰り返した。基礎訓練よろしく、エレノア姉さんにみんな仲良く吹っ飛ばされながら。


「ほらさっさと起き上がれ!構え方は教えたろ!」

「グホォ!?や、やってるだろ!」

「甘ぇんだよ脇閉めろぉ!もっと腰も落として軸を安定させんだよ!」


 あいかわず容赦がない、、。向こうでは他の班の師匠達___狼のガイ兄さんとキロスさんが同じように指導していた。


「俺が後ろ向いてたからって油断すんじゃねぇ!しっかり相手見ろぉ!」

「っばぁい!」


「ほらほら~早く起きないと追撃食らっちゃうぞ~。それじゃトドメさしてくださいって言ってるようなものだぞ~」

「うっをっ!」

「うぇぇ!?」


 狼のお兄さん___ガイさんは後ろ向いててもどんな体勢からでも打撃を繰り出す柔軟すぎる戦いかたをしてる。

 キロスさんは穏やかな顔と口調で雰囲気は優しそうなんだけど、首から下は全然穏やかじゃない。ギャップがすごい。素早い身のこなしで何人もの間をスルスルと移動し死角から一撃を決めてくる。


 「ほらボーッとしてないで集中しろぉ!」

「グっ!?、、ごほっごほっ、、ばいっ!」


 ッッ、、、!   ふ、不意打ちの足払いで背中から倒れると息できなくなるな!気を引き締めないとこれはヤバい!

 胸を抑え、なんとか上体を起こしていると、狼のガイさんが他の子を転ばせながらアドバイスをくれた。


「アレクはもっと足に力込めろ!足は肩幅より広げんだよ!」

「はいっ!」

「熊だからって腕力に頼るばかりだと二重の意味で足元掬われるぞぉ!」

「グフゥっ!?、う、わかりましたぁ!」



 受け身と防御の訓練が終わると次はお互いペアをつくっての組み手の時間に。ぼくはまだ最初なのでキロスさんに相手をしてもらうことになった。


「昨日ぶりだなアレク~。頑張ってるか~?」

「はいっなんとかやれてます!」

「それは良かった~。じゃ構えてな~。さっき教えたようにどっしり構えるんだぞ~」


 その言葉に従い足を開いて拳を軽く握り構えをとる。さっき言われたように、押されても体が揺れなくなるようなイメージで下半身を意識して構えるとキロスさんは一つ頷いた。


「翠気を扱う感覚は固定化で分かってるだろ~?それと似た感じで手足以外にも翠気を行き渡らせれば肉体をより強化できるんだ~。例えば組み手の試験での最後の一撃。あの時は無意識にできてたぞ~。必要な箇所必要な時に力を込めることができればより長く戦えるようになるから、制御の訓練頑張ろうな~」

 

 そう言って始まるキロスさんとの組み手。教えられた構えと翠気で身体強化することを意識して攻撃するが、この感覚がいまいち掴めない。


「うをっ!?」

「あ~、最初はそうなるよな~」


 踏み込む時に足に力と翠気を入れ、素早くキロスさんに近づこうとしたけど身体強化にならず固定化をしてしまいつんのめる。 難しいなこれ!


「まぁこれはひたすら練習するしかないからな~。今は何度失敗してもいいから、とにかくやってみろ~」

「はいっ!」


 その後、体術に集中すると身体強化が自分に牙をむき、身体強化に集中すると棒立ちになってボコボコにされのスパイラル。今日はこの流れからは抜け出すことができなかった。先はまだまだ長そうだということを、全身の痛みと共に強く実感した一日だった。

 










訓練が終わり空が赤身を帯びてきた頃、ぼくたちは汗の処理をしてからある部屋に移動していた。


「ねぇリオン、これからはなにするの?」

「次は術式紙の下処理っていう、まぁ簡単な仕事さ。翠気術を使うために必要で、そこまで難しくないんだけど翠気への耐性が低い人間じゃ大抵酔っちゃうから、術士の卵や僕たちにとっては割りの良い仕事なんだ。時間はあまりかからないから、テキパキやって早く夕食にしようじゃないか」

「確かに、タダで面倒見てもらう訳にもいかないしね。ぼくにもやり方教えてよ」

「おうっそれなら俺が教えてやるよ。まずはこのフチがギザギザの薬草と翠石って石を砕いて粉末にしたものを水に溶かすんだ」


 そう言ってカルフは棚に干してある薬草の束と粉末の入った瓶を取り出し、大きな四角のバットに水を入れ溶かしていく。


「薬草をすりつぶして、と。粉末はスプーン二杯で、水は容器の半分くらいまでな。んで次に固定化の要領で翠気を少し流しながら混ぜる。青空みたいな色になったらこの術式が刻まれた紙を浸して、後は乾かしたら完成だ!ちゃんと説明できてたかリオン?」

「ああ、ちゃんとできてたよ。それで、できた術式紙に翠気を込めたり血を媒介にしたりすると術が発動して、風や火を起こしたりできるんだ。これをつくった人は天才だよ。まぁ僕もいずれ偉業を成して尊敬されるようになるだろうけどね!」

「う、うん。でもホントにすごいねこれ。世界は広いなぁ」


 そう言われ、嗅覚の試験をした時空気を閉じ込めてた模様の書かれた紙を思い出す。こうやってつくられてたんだ。


「す、翠気の量とか紙を浸すタイミングとかがちょっと難しいけど、低級術式紙だしアルクくんならすぐ慣れるよ。頑張ってっ」

「ありがとうスス。じゃあさっそくやってみるよ!」


 そしてやってみたけど、これが微妙に難しい。ススに言われた紙を浸すタイミングが合わなくて苔色や夕空のような色になっちゃう。そうなると薬効は飛んじゃって術が発動しないらしい。


「い、色が変わり始めたら一旦ストップして、ちょっとずつ翠気をこめるようにしたらど、どうかな?」


 ススたちにアドバイスをもらいながら挑戦すること五枚目。ついにぼくは成功した!


「ど、どう?できた!?」

「ああ、これなら大丈夫だ。はやかったな。なんとか今日中にできるようになったじゃねぇか」


 ぼくが四苦八苦しながら五枚やってる間に、カルフは隣で十枚目を完成させていた。ぼくにアドバイスしながらなのに早くない?まだ先は長いなぁ。

 それからしばらくすると片付けが始まった。今日はこれで終わりらしく、ググーと伸びをする。伸びのついでに見渡せば、他のみんなも続々と出来上がっているみたいだ。


「ふー終わった!飯だぁ!」

「お前今日は洗濯当番だろ。さっさと行ってこいよ」

「あーそうだった。ヤート変わってくれないか?」

「やだよめんどくさい」


 その会話に出てきた夕飯の言葉に反応しお腹が鳴る。そしてようやく長い1日が終わり、夕飯にありつけたのだった。







一日が終わり部屋に帰ってきた時、ぼくは急に力が抜けてベッドに飛び込んで大きく息を吐いた。


「お疲れさんアルク。どうだったよ?」

「疲れたぁ、、こんなに動いたのは久々だよ」

「初日から脱落せずついてくるなんて凄いじゃないか。恥ずかしながら僕がはじめて訓練した時はヘロヘロになって心折れそうになってしまったんだ。アルクならすぐ慣れるさ」


 リオンにそう言われ、これが誰しもが通る道だとわかり一安心。みんな苦もなくこなせてたら自信やら何やらが砕け散ってた気がする。今ですら割とヒビが入ってるし、、

 ぼく、大したことなかったんだなぁ、、


「ほんとうに凄かったね、アルク君。ぼくなんかすぐ抜かされちゃいそう」

「そんなことないよ。ススだって訓練しっかりやってたし、なんならパワーはトップクラスだったじゃん。みんなに早く追い付けるようもっと頑張らないと」


 筋力トレーニングの時、ススは誰よりも重い物を動かしていて少しギャップに驚いた。いつかぼくもあんな風になりたい。ほんの少しだけついていけるか不安になったけど、、いややれる、ぼくは強くなる!そう思うことが大事だ!うん!


「ふっ、それくらいで驚いてたら大変だぜ?」

「えっ、なに?ススになにか秘密でもあるの?」

「うっ、ち、ちょっと活発になるだけだもん、、」

「え?え?どうゆうこと?」






「そういえば薄々感じてたけど、ここホントに大きいし設備が整ってるね。町ってこんなものなの?」

「いや、この町の軍備は他と比べてもかなりの大きさだよ。なにせ魔獣や魔物の住む森が近くにあるからね。それと獣人国からも人が流れてくる。多分、獣人と仲良くしてるこの国のなかでも一番獣人の割合が多いんじゃないかい?」

「へぇ、それでぼくらに合う訓練施設もたくさんあるのかぁ」

「そうだね、獣人にとっては王都よりいい環境だと思うし、人間の知恵も含めた新しい強さを求めるなら獣人国さえ上回るはずさ。お陰で存分に高みを目指せるってものだよ」


 すごいすごいとは思ってたが、予想より恵まれたところで訓練できるらしい。やっぱりここなら、もし魔獣がやってきても百や二百くらい余裕で返り討ちにできそうだ。村とは人数も設備も鍛え方も違うから安心して訓練できる。マワリーさんに話をつけてくれたお父さんには感謝しないと。

 お父さん、今なにしてるかなぁ。王都でなにやってるんだろ。




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