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信濃の修羅〜現代人の俺、存在しないハズの真田の三男坊として転生す〜  作者: ギュネイ山本
第四章【出会いと別れ…。源四郎、『剣聖』と出会うの段】

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24/40

其之四

――早朝――

――内城、源四郎達の居室――

「…んん。起きろ、又七郎ぉ〜。」

「ンぉ?もう朝か、ふぁあああ。」

義久よりあてがわれた居室にて目を覚ます二人。

早速布団を畳み着替える(ちなみにこの【布団畳み】、自衛隊式ベットメイキングよろしくしっかり角を揃える云々と源四郎がこだわり、それにつき合わされる又七郎は当初面食らっていたが今では手慣れたものでササッとやれる)

「この布団の畳み方一つもこだわるの、はじめはそいな事ばこだわって意味あるんか?なんて思うちょったが…いざやってみると【決まったところに決まったもんば置いてある】ちうのは動きやすくてええの!」バサッ

又七郎が布団を畳みながら言う。

「そうだろ?これがお師さんの言う【常在戦場】、俺に言わせれば【有事即応】に繋がんのよ。さて、畳み終わったんなら【空挺体操】しに行くぞ?」スッ

「おぅ。」スッ

そう言って二人は居室を後にする…

――内城広場――

「おいっちにっ…っと。又七郎、準備運動済んだかぁ?」

「おぉ。」

「よし。じゃ…【跳躍】、用意ッ!」

「イチ!ニィ!」

又七郎が【空挺体操】の一番最初、【跳躍】の準備姿勢(スキージャンプの踏み切り姿勢をイメージしてもらえるとわかり易い)をし、それに向かい合い源四郎も同じ姿勢をとる。

そして…

「始めッ!」

「「イチッ!ニッ!サンッ!【イチッ】!」」

膝を曲げ伸ばし腕を力一杯振り反動をつけて跳ぶ。

これを【四拍】のリズムでこなす二人。

そうして【16回(※ちなみにこの回数は空挺団の新隊員が新隊員後期教育終盤にこなすような回数、すなわちキツい)】、こなすと続いて…

「【うずくまりと背伸び】、用意ッ!」

「「イチ!ニィ!」」

足を肩幅に開き脇を締めたバンザイの姿勢を取る二人。

「始めぇ!」

「「イチッ!ニッ!サンッ!【イチッ】!」」

そしてまた腕を力一杯振り【またのぞき】の姿勢になるまで上体を曲げる二人(腕は股の下を通す)

「おい又七郎ぉ!ちゃんと頭が股下まで入ってないぞ!?今の数えねぇかんな!もっかい!!」

「うひぃ〜…」

「うひぃじゃねぇ!返事ッ!!」

「おぅ!」

そんなこんなで身体を動かしてると…

「おはよう二人とも。おぉ相変わらず…くーてーたいそう?なるもんやっとるのか。なかなか鍛錬になりそうな動きよ、感心感心♫」

「おはようさん源四郎ぉ!」

「おはようございます若ぁ!」

蔵人佐と門下の家臣たちがやって来る。

「おはようございます、お師さん!皆様!!」

「おはようさん!!」

元気良く挨拶する二人。

更に少し遅れて…

「おはようございます若!それに源四郎ぉ!」

「おぅ!おはようさん【藤兵衛】!」

「おはようございます【藤兵衛】様!」

二人が挨拶する【藤兵衛】と呼ばれたこの男…

この薩摩のタイ捨流門弟筆頭、後に【示現流】を興す【東郷重位】その人である。

「朝から精が出ますな二人とも!なれば我らも走り込みの支度よ!皆の者、源四郎より教わった【準備運動】、怠るなよ!」 

「「「「「はっ!!」」」」」

そうして二人の【空挺体操】が終わるのを【準備運動】をして待ったのち…

「総員、整列ッ!!」

「「「「「応っ!」」」」」

源四郎を列外、又七郎を【旗手(持つのはもちろん丸に十字の旗、しかも結構重い)】とし三列縦隊(横三列の縦長の列)に並ぶ門下生たち!

「ではゆくぞ皆のもの!源四郎!!」

「はい!駆け足、進めぇ!!」ダッ

そうして始まる駆け(ランニング)

更に!

「【歩調】ぉ〜…数ぇ!」ザッザッ

「「「「「イチニッサンシ!イチニッサンシ!」」」」」ザッザッ

源四郎の号令の元はじまる【歩調】の掛け声!

これははじめ又七郎とだけやっていたのだが…

「なかなか気合の入るかけ声よ!我ら門弟一同も付き合おうぞ!」との藤兵衛の鶴の一声で門弟みんなでやることに。

はじめは恥ずかしがっていた家臣達(門下生達)も今やしっかり声出しをするまでに。

そして掛け声は更にヒートアップ!

「【連続歩調】ぉおおおおお…数ぇ!」ザッザッ

「「「「「イチぃ!!」」」」」ザッザッ

「そーれ!」ザッザッ

「「「「「ニィ!!」」」」」ザッザッ

「そーれ!」ザッザッ

「「「「「サンッ!!」」」」」ザッザッ

「そーれ!」ザッザッ

「「「「「シッ!!」」」」」ザッザッ

「そーれ!」ザッザッ

「イチッ!」ザッザッ

「「「「「あ゛い(はい)!!」」」」」ザッザッ

「ニッ!」ザッザッ

「「「「「あ゛い(はい)!!」」」」」ザッザッ

「サンッ!」ザッザッ

「「「「「あ゛い(はい)!!」」」」」ザッザッ

「シッ!」ザッザッ

「「「「「あ゛い(はい)!!」」」」」ザッザッ

「「「「「イチニッサンシ!!イチニッサンシ!!」」」」」ザッザッ

内城下にこだまするかけ声、そして足音。

だがそれに目くじらを立てる者はいない。

むしろ「今日も精が出るなお武家様方♫」、「頑張ってねぇ〜!」と声援まで送られる。

この朝の駆け足はあっという間に【薩摩の日常】に溶け込んでいったのである…

――壱刻後――

――内城、一室――

「妙、おかわり♫」ガツガツ

「んぁ。妙ちゃん、俺も♫」ガツガツ

「はいはい。ほんとに朝からよく食べるねアンタたち。」

走り込みが終わると皆揃って朝餉。

これは源四郎が蔵人佐に「お師さん!これは門下生たちの【和合】にも一役買いますゆえ!」と詰め寄り決まった事で朝と昼は門下生みんな城の厨で飯を出してもらえる事に(義久も了承済)

これには門下生達も大喜び。

「しっかし美味い飯ですな!!」

「おうよ!流石は若が見初めたおごじょじゃ!!」

「だとよ又七郎?」

「ほぉか♫」

嫁たる妙を褒められ少し嬉しそうな又七郎。

そんな二人に藤兵衛が声をかける。

「若、源四郎。よろしいか?」

「んぉ?」

「どうなされました藤兵衛様?」

「今しがたお師さんとも話したのだが…若と源四郎がやっている【空挺体操】なる飛んだり跳ねたり、それがしら門下生にも教えて貰えませぬか?」

「…ほほう♪」キラリ

「い゛っ!?」

源四郎の目の奥が光る。

反面又七郎は引きつった表情を見せる。

「(お、おいはもう一通り動作そのものば覚えたが…そこへこやつらば加われば………また【反省】ばせねばならんくなる!)」タラー

又七郎の心配もごもっとも。

読者諸兄も覚えているだろう…かつて又七郎が【空挺体操】覚えたての頃、準備姿勢を間違えた際(連帯責任として)源四郎共々やっていた【反省(腕立て伏せorかがみ跳躍ことジャンピングスクワット)】。

それが十中八九、帰ってくるのである。

なぜなら動作(流れ)を教えたところですぐに間違えずに出来る(準備姿勢を取れる)人間ばかりではないからである。

※ちなみに現在の空挺団ではこのような全体での連帯責任としての【反省】はなく、間違えたり正しい動作が出来てなかった隊員個人に対して行われる【錬成(その間他の隊員は準備姿勢等で待機)】が主流らしい※

「なんだ又七郎ぉ?俺と共に1年、毎日【空挺体操】やって来たオメェがまた【反省】やらなきゃなんないのは嫌ってかぁ???」ニヤニヤ

そんな又七郎の心の内を読んだ源四郎は嫌味ったらしい笑いを以て言う。

対する又七郎は…

「…あ゛?おはんおいともう一年はつきおうたるにまだおいって人間ば分からんとか?やらいでか!!」

「(おーおー、言いよったな。 にしし♫)その言葉、忘れんなよぉケケケ。」

売り言葉に買い言葉。

又七郎から「しっかり【反省】もやる(意訳)」との言質をとりほくそ笑む源四郎。

そこへ藤兵衛が言う。

「はっはっは!まっこと源四郎、おはんは若ばノセるのがうまかのぉ!たっはっは!」

「えぇ藤兵衛様♪ふっふっふ。」

「んぉ?なんじゃ?どーいう意味じゃ二人とも??」

「はぁ〜。まったくうちの旦那様は…」

見事又七郎の手綱を取る源四郎に感服する藤兵衛、それに笑顔で答える源四郎、何が何だかな又七郎。

それを下げ膳ついでに見ていた妙はそんな主人(まだ祝言は挙げてないが)に頭を抱えるのであった。

――朝餉後――

――内城広場――

「【四呼称腕立て】、用意ッ!」

「「「「「!」」」」」ザッ 

源四郎の号令がかかり気をつけの姿勢をとる家臣達。

「えぇか!『ニィ』の時ちゃんと前ば向かんと数かぞえてもらえんど!よかか!?」

「「「「「応!」」」」」

「ふふふ、よき鍛錬を持ってきてくれたものよ。しっかり伝授頼むぞ、源四郎♫」

そうして蔵人佐も見ている中、急遽行われる源四郎、又七郎による【空挺体操】の伝授!

「よし!皆様よろしぃですなぁ?では…はじめッ!」

「「「「「イチッ!ニッ!サンッ!【イチッ】!」」」」」バッバッバッバ!

四拍のリズムで気をつけ→手をついてしゃがむ(イチ)→両足を後方に蹴り出し腕立て伏せの姿勢を取る(二)→またしゃがんだ姿勢(サン)→気をつけに戻る(これで1セット完了)を繰り返す門下生たち。

等間隔に並んだ門下生達の間を歩きながら源四郎と又七郎が激を飛ばす!

「ケツを上げてはへの字になっては駄目ですぞぉ!数えませんからなぁ!!」

「おぅさっき言うたばかりじゃろうて!『ニィ』の時は前ば見んか、前ば!」

これには歴戦の島津家家臣も(いざやってみてのキツさも相まって)タジタジ。

「(そ、そうは言うけどよぉ〜…)ハァハァ…」

「(なんで若も源四郎もこんなキツい動きばケロっとやれるんじゃ!?)ハァハァ…」

早くも息が上がりだす家臣達。

が、藤兵衛は違った!

「イチッ!ニッ!サンッ!【ニィ】!」バッバッバッバ!

鮮やかかつ節度ある乱れなき動きで【四呼称腕立て伏せ】をこなす!

これにはさしもの又七郎、源四郎も舌を巻く!!

「おお!ええど藤兵衛ぇ!流石門弟筆頭じゃあ!」

「いいですぞ藤兵衛様♫その調子その調子!」

「はい若!それがしも門弟筆頭として源四郎に背中を見せねばなりませぬゆえ!【サンッ】!」

そんな藤兵衛の姿を見て他の家臣たちにも火がつく!

「(ぬぉおおお!藤兵衛様に続けぇえ!)イチッ!ニッ!サンッ!【ニィ】!」バッバッバッバ!

「(こなくそおおおおお!)イチッ!ニッ!サンッ!【サンッ】!」

「かっかっか!皆一様に気合を漲らせよったわ♪良きかな良きかな。」

蔵人佐もご満悦である。

こうして【四呼称腕立て伏せ】が終わると続いて…

「【えびけり】、用意ッ!」

「「「「「イッチ!ニィ!」」」」」バッバ!

腕立て伏せの姿勢をとる家臣たち。

「膝やヘソをつけてはなりませぬぞぉ!」

「準備姿勢からしてキツかろうが気合ば入れろよおはんらぁ!」

再び源四郎と又七郎が家臣たちを見て回る。

先ほどの【四呼称腕立て伏せ】など一部を除き【準備姿勢】をとる動作に於いては【全員の姿勢が揃うまで動作を開始しない】と言うのが【空挺体操】実施時の【鉄の(ルール)】である。

「よぅし!では…はじめっ!」

「「「「「イチッ!ニッ!サンッ!【イチッ】!」」」」」

源四郎の号令の元、今度は揃えた足を海老のように腰がへの字になるまでリズムよく前後させる。

「両足をへその下くらいまで持ってくるんじゃぞぉ…そこ!膝を曲げるな!!」

米軍のドリルサージェント、さながらハー●マン軍曹のように怒声を飛ばす又七郎。

「へっ!様になってるじゃねぇか又七郎!!」

「当たり前よ!おいもゆくゆくは将としておやっどんや叔父御殿から兵を預かる身!これくらい出来んでどうすっとじゃ!!」

家臣たちを見回りながら言葉を交わす二人。

だが実際に【えびけり】をやってる家臣からすればたまったモンではない。

「(こ、こいつら!ちゃんと数かぞえてんだろうな!?)ハァハァ…」

「(いやかぞえてない!絶対にかぞえてないって!!)ハァハァ…」

腹の底でそんなことを考えながら息も絶え絶えに【えびけり】をする家臣たち。

そんな家臣たちの目から光が失われるのを見逃さない源四郎!

「どうされましたかな皆様?すこし【死んだ魚の目】になってますぞ?………【目の輝き】不十分!もう三回追加ぁ!!!!」

「「「「「(おめぇは鬼かぁああああ!)」」」」」

家臣たちが腹の底で断末魔をあげるもなんのその!

源四郎の【超】厳しいシゴキはこうして昼まで続いたのであった…

――昼餉時――

――内城一室――

「うひぃ〜…」

「ち、力が入らん…」

家臣たちが這々の体で昼飯を喰いに集まってくる。

が!ここでも源四郎の鬼の所業が炸裂!!

「何をぼさっとされてますか!はよ盆を持ってきて下され!!」

「ほうじゃあ!はよせぇ!!!」

「若?それにげんし………ってなんじゃ!?飯が!!」

仰天する家臣たち!

なんと源四郎と又七郎の傍にはタライに山盛りの飯が!

「ほうけとらんとはよ椀ば貸さんか!!」バッ

そうして先頭にならんだ家臣の飯碗をふんだくる又七郎。

そして…

「おはんはまだまだ身体細かの!こんくらいじゃ!」ドバッ

これでもか!と言うほど山盛りに飯碗にゴハンをよそう又七郎!!

「んな!?」

あっけに取られる家臣。

それを尻目に源四郎もゴハンを盛る!

「あ〜…このくらいですかな♫」

「いっ!?」

又七郎に負けじとこれまた盛るに盛る!

「「「「「(どんだけ食わせる気だよ!?)」」」」」

戦慄する家臣たち。

そして当の源四郎と又七郎も山盛りにゴハンを盛ると…

「食事時間…五分(ごぶ)(約七分)!頂きます!」がッ

「頂きます!」がッ

そう言うなりゴハンをかっ込み出す二人!

「「「「「ご、五分ぅううう!?」」」」」

唖然とする家臣達。

そんな家臣たちに二人は言う。

「ほらほら皆様方!早う食べないと!!」ガツガツ

「おうよ!はよ食わんか!」ガツガツ

「し、しかし若!?」

「こんだけの量を五分で!?何の意味が!?」

「………【常在戦場】の心構えを養うが為、です。」スッ

あっという間に山盛りのゴハンを平らげた源四郎が言う。

実際のところは自衛隊レンジャー伝統の【食いしばき(苛烈なタイ捨流の稽古に耐える身体つくり及び精神的、肉体的限界状況を意図的に作り出しそれへの耐性をつけることを目的としたもの)】である…が、それを家臣達に説く訳にもいかないので取り敢えずタイ捨流の【教義】たる【常在戦場】になぞらえた、つまり()()()()な訳だが………これが意外と効いた!!

「「「「「なるほど!流石は真田の三男坊よ、飯一つとってもお師さんの意思をくもうとは!なれば!!」」」」」ガツガツ

「…おぉ?」

そうしてガツガツとゴハンを喰らい出す家臣たち。

当の源四郎はまさかここまでハッタリが効くとは思っていなかったのかキョトンとする。

そんな源四郎に又七郎が耳打ちし問う。

「…源四郎、さっきのは間違いなくハッタリじゃろ?ええんか、こいにノセてもうて。」ボソッ

「いいんだよ!【鰯の頭も信心から】っていうだろ?信じ込ませときゃいいんだって。ほら、藤兵衛様に聞こえたらどーすんだよ?」ボソボソッ

「???」ガツガツ

そんな二人の密談を尻目に藤兵衛はじめ家臣たちも源四郎、又七郎もかくや…な驚異的スピードで食べ進め…

――昼餉()()――

――内城広場――

「行くど源四郎おおおおお!たりゃああああ!」バシッ!

「なんの!おりゃあああああ!」ベシッ!

昼餉を取り終えた直後、早速かかり稽古に取り掛かる源四郎以下門下生(家臣)。

元気よく飛んで跳ねて撃ち合う源四郎、又七郎を尻目に…

「うぇっぷ…。」

「おっぷ……。」

腹がはち切れんばかりにゴハンを詰め込んだ手前、家臣たちの動きは鈍い。

それは門弟筆頭たる藤兵衛も例外ではなく…

「ぬ、ぬぅううう…」

いささか動きが鈍い。

「(あ〜…俗に言う【血糖値スパイク】かな?確かに血管の損傷等リスクは伴うが……【それを超えた所にあるモン】を掴まねぇとこの戦国の世は生き残れねぇよ!!)ほらほら皆様ぁ!動きが鈍いですぞ!?そんなことで薩摩隼人(さつまへご)が名乗れますか!気合を入れて下され!!」我ッ!

「そうじゃっどおはんらぁ!!そんな程度でへこたれとったら薩摩隼人(さつまへご)ん名折れぞ!?さぁ撃ち込んで来んかぁ!」ガッ!

そんなこんなで撃ち込み合いながらも他の家臣達に激を飛ばす源四郎、又七郎。

年若い二人に激を飛ばされ奮起する家臣たち。

「…くっ!言うてくれるなげんしろ………おおおお。」ペシッ

「こ、こなく………おおおぅ」パシッ

が…やはり身体は正直である、撃ち込む袋竹刀に全く力が入らない家臣たち。

果ては…

「おゔぇえええええええええええええええええ………」ゲロゲロゲロ

「ゔぶぇえええええええええええええええええ………」ゲロゲロゲロ

(こんなこともあろうかと源四郎が予め用意していた)木桶に吐き出してしまう者も。

「っつかぁあ!だらしないのぉおはんら!」ガシッ!

「ホントですぞ?そんなことでは戦場で首を取るつもりが逆に取られますぞ!!!」バシッ!

…鉄の胃袋でも持っているのだろうか?

ケロッとして稽古を続ける二人。

「な、なんのこれしき!来い、源四郎ぉ!」バッ!

そんな中一人気を吐く藤兵衛。

源四郎に申し合いを仕掛ける!!

「おっ!流石は藤兵衛様!!なれば行きますぞ!てりゃあああああああ!」バシッ!

「くっやりよ………ぬぅう、今度は【眠気】が」カクッ

人の生理現象の残酷さとでも言おうか、腹がこなれてくると今度は各人を猛烈なる【眠気】が襲う!!

さしもの藤兵衛もそれに抗うのは至難の業!!

「隙ありぃ!」バシィーーーーーーン!!

「ぬぉっ!?」

その隙を逃さない源四郎の一撃にたまらず袋竹刀を弾き飛ばされる藤兵衛。

「な、なぁ…ととと、藤兵衛様がぁ〜………」

「何をほうけちょるか!ちぇりあああああ!」バシィーーーーーン!

「っでぇ!?」

そんな様子に気を取られる家臣に容赦ない一撃をぶちかます又七郎。

エゲツなさ、ここに極まれり。

「かっかっか!皆のもの、入門して間もない源四郎と又七郎に遅れをとって如何する?修行が足りぬぞ!!」

蔵人佐からも激が飛ぶ。

こうしてタイ捨流の厳しい、本当に厳しい鍛錬は続き…

――夕刻――

「では本日の鍛錬はここまで。おぬしら、今日習ったこと…特に【空挺体操】をゆめゆめ忘れるでないぞ?それではたまの。」

「「「「「ありがとうございました!」」」」」スッ

一日の稽古が終わり礼をする一同。

「さて皆様…風呂と参りましょうぞ♫」

「「「「「応っ!」」」」」

そうして一同は…内城近くのほど近く、城山の【温泉】へ。

――城山の温泉――

「ふぃ〜…」

「えぇ湯加減じゃのぉ〜…」

湯に浸かりのんびりする源四郎と又七郎。

家臣たちもこの時ばかりはゆっくりと湯に浸かり疲れを癒す。

「しっかし源四郎の持ってきたこの真っ黒い【石鹸(竹炭石鹸)】ちうモノ、よく汚れも匂いも取れてよかモノじゃな!」

「そうじゃそうじゃ!こやつなど源四郎が来るまでかかぁに『臭え!寄るな!!』などと邪見にされとったに…最近やや子出来たんよなぁ?」ニヤニヤ

「お、おおおお、おはん!そいをそんな若と源四郎の前で…」

ハハハハハ!

どっと笑いが起こる湯屋。

「しかし良かとか源四郎?」

湯に浸かりながら藤兵衛が問う。

「へ?何がですか藤兵衛様??」

「なぁに【空挺体操】にしろこの【石鹸】にしろ…真田の門外不出ばものなのではなかとか思ってな。」

「あ〜…そんな御大層なものではございませぬよ♫」

「なればよかとじゃが…」

「ちうより源四郎…心配すべきはおはんじゃのうて…おはんの一番上の兄貴じゃなかとか??」

ここでかねてから源三郎のことを聞き及んでいた又七郎が問うも…

「んぁ?兄上??でーじでーじ。堅物を絵に描いたような人だぞ?今ごろしっかり俺が各地で売り込んだ【鴨】だの【石鹸】だので潤った小県の帳簿とにらめっこしてるって♫」

悪びれることもなく兄源三郎の事を語る源四郎。

ちなみに実際その頃、当の源三郎はと言うと…

――小県――

――真田屋敷――

「さ、三十郎おおおお!安土方面の【石鹸】の儲け、計算は終わったかぁあ!?」

「ま、まだでございまする源三郎様ぁ!!」

「く、くそぉお源四郎めが…各地で【石鹸】だの【鴨】だのを売り込み小県を潤すのは良いが………俺の苦労をなんと心得とるんだあやつめはああああああ!」

とまぁこんな感じで鬼のような量の帳簿を前に従兄弟の矢沢三十郎とてんてこ舞いしてるのであった…

哀れ源三郎。

彼の【苦労人】としての遍歴はいわば【弟(源四郎)の尻拭い】から始まったのであった…

――話は戻って薩摩――

――城山の温泉――

「でそっからが酷いんですようちの兄上は?全く持って堅物!スカポンタン!スットコドッコイ!お前の母ちゃんデベソ!なんですから!!」

「いやいやいやいやいや!源四郎、おはんは兄貴達と同腹じゃろうて!自分の御母堂貶してどうすっとじゃ!?」

「あ。」

かくして始まった源四郎の源三郎ディスりは最高潮に達していた。

「ははは!言うてやるんじゃなかとな源四郎。おはんがこうして薩摩ば来てのびのびやれるとはそのスカポンタン?なる兄上、源三郎殿ばおかげぞ?」

「う。」

そうして藤兵衛に窘められる源四郎。

藤兵衛は更に続ける。

「しかし仲良きことは良きことと言うが…ふふっ、真田の家はまっことよき【絆】を紡ぎし家よな。口ではそうも兄を貶しているが…おはんが源三郎殿を信じ切っておるのが言葉の端々から分かるぞ源四郎。」

「そうでござりまするか藤兵衛様…」スッ

そうして源四郎は遠く小県とつながっている夜空を見あげ想う。

「(父上、母上、ばっちゃま、兄上、兄様、兄者、姉上、おこう姉さま………そしてみお。俺は薩摩で頑張ってるからな)」

「さぁて源四郎!そろそろ上がって…城ば戻って【柔軟】ばやろうぞ!はよせんと…皆茹で上がってしまうぞ!」

「おっ!?そうだそうだ」ザバッ

又七郎から言われハッとして風呂から上がる源四郎。

そしてしばし後…

――内城広場――

「いてててててててて!?」

「あだだだだだただだ!?」

「ほらほら息をとめてはいけませぬ!」ぎちぎち

「しっかり呼吸しながら【筋】ば伸ばすとぞ!」ぎちぎち

「「「「「いっでええええええ!?」」」」」

風呂上がり、急ぎ内城へ戻り広場へむしろを敷き【柔軟】を行う家臣たちと源四郎、又七郎。

相当身体が硬いのか心得のある二人が監修しゆっくり負荷をかけさせて各所の筋を伸ばすもその硬いこと硬いこと!

そんな中でも藤兵衛はやはり違った。

「………。」スゥーハァー

しっかりと時間をかけゆっくり大きく呼吸しながら各部を伸ばす。

その姿に触発された家臣たちも…

「「「「「…………。」」」」」スゥーハァー

皆痛がってたのもどこへやら。

皆静かに【股割り】に【肩甲骨はがし】勤しむ。

「(よしよし。これで疲労回復や怪我予防に繋がるだけでなく足腰の粘りや驚異的可動域も手にはいるぞ、うんうん♫)………♫」スゥーハァー

そうして一人胸中で首尾よく事が運ぶ事を喜びつつ源四郎もまた静かに柔軟に勤しむ。

天正9年、秋も近づく薩摩の地。

源四郎は着実に力を蓄え技術を磨いていた。

来年…天正10年の来たる【武田家滅亡】、そしてそこから三月と経たずに訪れる【本能寺の変】。

更に【天正壬午の乱】。

まもなく真田家は未曾有の危機に晒されるのである。

「(ぶっちゃけ【家ごと薩摩に来ちゃう】、これが出来たらどんだけ楽かとは考えたけど………それは出来ねぇしやりたくねぇな)…。」スゥーハァー

柔軟をしつつ物思いにふける源四郎。

「(父上に矢沢のじーちゃん…頼綱じいは絶対に小県手放すなんて有り得ないし。何より俺もじっちゃまが十年にも及ぶ執念で小県取り返したって話聞いたらやりたくない。なにより…そうなったら小県は北条か徳川のモンだ、それだけは断固拒否だ!!)………。」スゥーハァー 

「(そんで………それじゃあみおの【剣】となれって信長公からの【命】を果たせねえ。なんたって…それやったらただの【負け犬】だからなぁ!)………」スゥーハァー

一人腹の底で決意を新たにする源四郎。

刻一刻と迫る激動の【天正10年】。

果たして源四郎はその荒波を乗り越え…

みおの【妖刀・魔剣】として力を発揮することが出来るのだろうか?

そして物語は新たなる局面へ!


――第四章、完――






















…薩摩は順調にブートキャンプ化が進んでおります( ・`ω・´)

さて次回…

いよいよ時は移ろい【天正10年】となる予定!

刻一刻と迫る【島津家との別れ】!

次回を刮目して待て!

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