83.魔法具の手紙の書き方。
撃沈したまま夕食を終えました。ええ、私は恥ずかしい噂が出ていると聞いてダメージ大で瀕死でしたよ……。
ちなみに夕食はソーセージはなしです。アレは朝食用にしてもらいました。だって私の中ではソーセージは朝食なのだ。いや、フランクフルトだから夜でもいいのか? でも久しぶりのソーセージはやっぱり朝に食べたい。
料理人達にはあんなに時間を取って申し訳なかったけれど。夕食までかなり忙しかったのではなかろうか?
でもきちんと野菜たっぷりトマトスープに野菜のドレッシング和え、クージェのハーブ焼き、ジャガイモのグラタンが出てきました。おいしかった。
最近はもうレシピと作り方さえ書いてやれば大丈夫じゃない? って感じだよね。
あ、でも泡だて器が出来た時はやっぱスフレチーズケーキに挑戦かな? 泡だて器でメレンゲにするのも大変だけど、料理人達ならきっと大丈夫だ! なんせフォークでやり遂げたんだからね。
さて、ご飯を終えるとエルが魔法具の手紙のやり方を教えてくれるというので再びサロンへ。
夕方にエルに抱き着いた後、ダナにダメですよと静かに怒られた。いいじゃないか、私はまだ子供だもん。イケメンに抱き着いてもセクハラにもならないんだぞ? いや、そんなつもりはないけれど。人肌が恋しいんだもん。
ハヴェルは今日はお客様枠でいるけれど、明日からは使用人枠になりますと宣言し、とりあえず明日からテオドルについてツィブルカの現状を把握するそうです。確かにそれをしてもらえると助かるよね。
今日はとりあえず一緒に行動しているので、サロンにも一緒に来てます。
「じゃ、魔法具の手紙の書き方を教える。俺が王都に行っている時に何かあれば飛ばしてよこすように」
「はーい。……というか何かあった時だけ?」
「…………別になくてもいいけど、すぐ返事を返せるかは分からないぞ?」
「はーい」
そっかー……電話とかないもんねー。せめて電話があればなー。もしくは転移陣、転移門、とかそういう転移系の。さすがに転移に関してはうまくいったとしても魔力の消費がとんでもない事になるんだろうな、という想像はつくので口には出さない。
でも電話位ならいけそうじゃない? だって手紙が飛んでいくんだもん。音が飛んでいってもおかしくないよね?
「エル、ちょっと待て。リーディア様はまだ八歳だろう? 魔法なんて早いだろ! 危険だ!」
ハヴェルが止めにかかった。……そんな危ないんだ?
「ディアは問題ない。全く。全然」
エルが遠い目をして棒読みで言った。
「俺が書いた手紙の魔法陣を多めに渡しておく」
「ありがとー」
エルが魔法陣の書かれている紙を二〇枚位と、小さな魔石を同じ数出して渡してくれた。
ホントいつもただじゃないのにいっぱい使ってくれてありがとうございます。いつか何かでお礼しないとね!
「見た事があったから分かるだろうけれど、陣の真ん中には行き先、つまり相手の名前を書く。あとこっちには自分の名前。裏に伝えたい事だ。で、コツは相手の名前を書く時、魔力を込める時に相手の事を考える事」
「同名の人がいるかもしれないもんね」
「まぁ、それを考えると名前の書き込みはいらないんじゃないか? とも思うけどな」
「相手に魔力なくても届くの?」
「魔力がない人はいないから大丈夫だ。送る方は大体は魔力の多い貴族が使う道具だしな。それに高価だ」
あ、やっぱ高いんだ。うわー。
「試しに飛ばしてみろ」
高価だ、と言っているのに試しに飛ばしてみろなんて言うエルがマジ親切すぎる。追加で一枚と小さい魔石、羽ペンとインクを出してくれた。
「じゃあ、ちょっとエル離れてて!」
エルがふっと笑って椅子から立ちドアの近くまで移動する。私はエルから借りたペンとインクで教わった通りに書いて、裏に王都には気を付けて行ってきてね、と書く。
魔石に軽く魔力を通し手紙に置くと魔法陣が浮かんでひゅっとエルの所に飛んで行った。
「よし、大丈夫だな」
エルが手紙を受け取って向かい側に戻ってきた。
「そのペンとインクもディア用にしていい」
「え!? いいの!? 本当!?」
「ただし! 余計な事には絶対使うな! いいな! もし使ったらもう魔法は教えない」
「はい! しません! エルの手紙だけにします! あ、でも今ならいい?」
「あ?」
何する気だ? とエルがまたも怪訝な表情をする。
だってやっぱり手紙だと不便なんだもん! しかも魔法具の手紙ちっさいし! 本当に要件しか書けなさそうなんだもん。
「エル! ちょ、ちょっと!」
ハヴェルがぽんぽんと会話する私とエルの間に入ってきた。
「な、なんで、そんな普通に……」
え? なんかハヴェルがすっごい慌ててるんですけど? そんなに普通じゃない事? あ、エルも最初は頭抱えてたね、そういえば……。
なんか最近はエルは当然の様に魔法を使わせてくれていたけど。
「だからディアは問題がないって言っただろ」
「いやいや! そういう問題じゃないよね!?」
「この位なら全然問題ない。問題あるのはほんっとうに、問題だらけだからな」
……そこを言い切られても……。私的には全然問題はないんですよ。ええ。




