84.電話つくっちゃおー!
「で、何を作るつもりだ?」
エルは安定の音遮断の魔法を使いました。もう最近こればっかだね。ほいっとそんな物を使ってハヴェルは目を白黒している。
エルはそんなハヴェルに関わり合いたくないなら離れていろ、と言ったがハヴェルは魔法の範囲から出ていきはしませんでした。秘密共有仲間になってくれるって事でいいのかな?
「魔法陣を下さい! あと魔石を二個? いや、うーん……」
何か物に付与した方がいい? でもなー呼び出し音とか鳴らないよね? どうしたらいいかなー?
「ちょっと待って、考える」
声を伝えるんだから聞こえる範囲、っていうとやっぱ魔石かな? で、イヤリングにするとか? そしたらインカムみたいな感じにならないかな?
二つの魔石同士でしかやり取りは無理か……多数になっちゃったら回線が必要になるもんね。とりあえずエルとだけ繋がれればいいから、いっか。
二つを紐づけるには言葉をどうしたらいっかな? 親機と子機……対……ペア、対、かなー? いや、使用人指定を入れちゃえばいいんだ。私用、エル用で。
あとは……音の伝達、いや、会話の伝達か? それとも声の受信送信か? あと何かいる? 別に他に機能もいらないだろうし、声が聞こえればいいんだからいいよね?
「とりあえず魔石で。耳飾りにしたいんだけど出来る?」
ネックレスも作ってくれたエルだ。きっと出来るんだろうと期待する。
「耳飾り? 作れなくはないが……」
何故魔石で耳飾り? とエルが首を傾げる。
「魔法陣はそんなに大きくなくてもいいかも。あと魔石だけど、二つが対になっているような物ってある?」
「ないな。それなら一つを二つに割ったらどうだ?」
「え? 割れるの? 割っていいの?」
「問題はない。……普通は大きい方が値が張るからそんな馬鹿な事はしないが。魔石の大きさは? どれ位だ?」
「それは私は分からないよ」
私に聞かないで。
エルは細かい事を聞かずに魔石を数個取り出した。それを見てハヴェルが目を剥いている。
「この辺の魔石は綺麗に二つに割れる」
と出してくれた魔石の色を確認。人差し指の先位ある魔石で、色は黒と赤と黄色と緑があった。
「やっぱ黒でしょ!」
「黒は闇属性だよー」
ノアがくわっと欠伸しながら言った。
「は?」
「は?」
私とエルの声が重なり、二人でノアを見た。
「ほら、僕って闇の眷属で黒でしょ? 額の石も黒だし。だから黒の石は闇属性が強い魔石だよー」
「そうなの!?」
「そうなのか!?」
え? エル知らなかったの?
「という事は青は水属性が強いって事で黄色は光か……ああ、だから付与する時に反応しない事があるのか。水関係に恐らく火の属性である赤い魔石が反応しないだろうし……」
ぶつぶつとエルが考察を始めた。
「ノアー、音を伝えるのに闇属性は有効?」
「そうだねー。闇が合っているかもー。音を伝えるなんて聞いた事ないけどー」
「よし! エル、コレ割って!」
「ん? ああ」
エルがナイフを取り出すと、魔石を放り投げてナイフをひゅんと振るとすぱっと綺麗に真っ二つに石が割れた。
いや、だからなんでナイフでそんな簡単に切れるの? 割るなんて言ってたからトンテンカンとでもするのかと思ったらまさかの斬ったよ!
ま、いいや、エルだもんね。
エルはまだ魔石を見てぶつぶつ言っている。放っておいていいや、と魔法陣に言葉を書いていこう。魔石もペアだし多分いけるよね!
対、使用人指定、声の送信受信、で大丈夫? どう? うーん……対っていうのがなー。もし別な対が出来たらどうなっちゃう? 何かこの魔石限定で、ってないかなー。あー、あと通信を切る時はどうすればいいんだ? 常時垂れ流しはダメじゃんね! いや、送信受信だから送りたい受けたいって時に反応する事になるのか? うーん、分かんないなー。
あ、限定なのは番号付ければいいんじゃない? 電話番号みたいな! 対で同じ番号にしとけばいいんじゃない? 一番、とかにしとくか。一番対、声の送信受信、使用人指定はエル用、私用、でいっか。エル用にすればエル用になるんだよね? 私の守護の魔法陣も私にしか使えないようにしてあるってエルが言ってたし。多分指定してるって事だよね?
よし、じゃやってみよう! 失敗したらごめーん!
「あ、ちょっと待って。魔石の中に魔法陣入れるのってどうするの?」
今まで使ってきたのは魔法陣の上に魔石を乗せるんだった。
「いや、同じでいい。物には定着と入れるが、魔石に陣を入れたい場合は魔法陣の中に付与って入れろ」
おおう、先に教えてよー。慌てて付与、と書き足してから魔石に魔力を入れて魔法陣の上に置いた。うん、魔力半分も使わなかったね。
魔法陣が光って消えて、魔石がコロンと二つテーブルに転がっていた。
「出来たー! エル! ちょっとこっち持って耳の辺りに当てて!」
そして私はもう一つの私用の魔石を持って廊下に出た。
「エル? 聞こえる?」
『はぁっ!?』
わー! 成功じゃない? やったー! と喜んで部屋に駆け戻るとエルが私の頭を大きな手で鷲掴みした。
「な・に・を・つ・く・った!?」
「電話ですーーー」
電話って言っても通じないだろうけども。私とエルだけしか繋がらないという中途半端な電話だけれども。




