日記39 できる長さ
「ぶぅわぁ〜!!!」
「泣きすぎ…」
声になってるのか? それもわからないぐらい泣いてるんだが。
「だっ…わ…ごめ…わはぁ〜〜…!!!」
「…あ〜……」
離れん…胸元からずっと泣き声が聞こえるんだけど…
「…ん?」
瑠璃の髪から知ってる匂いが…
「…瑠璃、シャンプーどれ使った?」
「…うぇ? え…っと……あの…手前の…」
「手前…」
それ、俺のだな。
「…奥の方に、瑠璃が使ってるシャンプーがあったんだけど…見えた?」
「…みえなかった…どれを使えばいいか、わからなかったから……」
「…母さんから連絡あった?」
「あったよ…だから、タオルとか用意できたの…」
「そっか」
なんでかな…俺の髪よりいい匂いがするんだが…
「…あれ? 瑠璃、ドライヤーは?」
「…りんくんがいないから、自分でやった」
「え…まじ?」
自分でやったのか…?
あの瑠璃が…
「すごいじゃん」
「…え…えへへぇ……ありがとぉ…!」
そっか…一人でもできるのか…
「…そっか……」
「…りんくん?」
「……瑠璃、もう泣きやんだみたいだな」
「え? う…うん!」
「じゃあ立って。ズボンのひもを締めるから」
「わかっ…え!?」
「え、なに?」
ウエスト全然違うけど、瑠璃が選んで着てるんだろ。なんで嫌がるんだ?
「えっと…自分で…でき……る……」
「…今、ズボンを手で支えながらいるのに?」
「こ…これは……」
「…ひもだして、あっち向いとくから」
「わ…わかった……」
てか…瑠璃が着てるやつ、どっちも俺のお気に入りなんだよな。
よく着てるし…手前にあるから着たのかな?
「だ…だしたよ…」
「うし、じゃあ締めるぞ」
「う…うん……」
「…瑠璃、パーカー少し上げて」
「へ!?」
「締めにくいから」
「わ…わかり…まし…た……」
…うわ、ほっそ。これ、ひもめっちゃ締めないといけな…
「…じゃ、じゃあ…締める…ぞ…」
「い…いいよ…」
…恥ずかしいから、なにも考えないようにしよう。腹まで布がないのは、たまたまだ。
「…キツくない?」
「だ…だいじょぶ…いいぐらい……」
「じゃあ、ここで結ぶぞ」
「うん…ありがと……」
うし…結んだ。
ひも…めっちゃ長いんだけど。
「もう下げていいよ。冷えるし」
「り…りんくん、ありがとう…ね…」
すそも…まくっとこう。
「…ズボンは、自分でなんとかできるものを選んでくれ」
「は…はひ……」
…疲れた。




