日記32 やわらかい
「…」
なに…なんか…聞こえる…人の声…?
「……」
…もう少しで…聞こえるけど……これは聞きたくないな。
「ピピピピッ! ピピピピッ!」
……あ、アラームか…
「…ん…んん……」
あれ…なんか、やわらかい壁があるような…
「ピピピピッ! ピピピピッ!」
「…うるせぇ…」
とりあえず、アラームを止めよう。朝から気分が悪くなる…
「ピピピピッ! ピピ」
お…止まったか。じゃあ、起きるか…
「……り…」
あれ…瑠璃の声が聞こえたような…
「………り……りんく…ん……」
「…るりのこえが…なんで?」
「…り…りんくん…あの……」
胸辺りから声が…え?
「わた…私……なにか…悪いこと…したかなぁ……?」
「…え?」
瑠璃が俺のベッドにいる…そして、俺は瑠璃をおおってる……?
「…瑠璃、なんで俺のベッドにいるんだ?」
「え…あの……え…??」
「家に戻らなかったのか?」
「え…え……え………???」
「…え? なにか変なこと言った?」
いや…まあ、俺もこの状況に困惑してるんだけど。なんでこうなってるのか訊きたいし…怖い夢でも見たのか?
「…あの……えっと……えっとぉ…………!」
え…目がうるんでる。これ…もしかして、俺がやった?
「る…瑠璃、え? えっと、とりあえず離れるぞ」
ベッドから出よう。瑠璃も落ち着けると思うし…俺も落ち着ける。
「それで……」
…いや、もうなにからツッコんでいいかわからん…!
「…朝ご飯、食べる?」
「…う…うん…たべ…たい…です……」
〜ちょっとして〜
「母さん、おはよう」
「あら、鷹凛、おはよう」
「あの…おはよう…ございます……」
「…あ、そうだったわね。瑠璃ちゃん、おはよう」
ん? なに、あの言い方…?
「母さん…もしかして、瑠璃が俺のベッドにいたの知ってる?」
「ええ、知ってるわよ」
なんでぇ…余計に混乱するんだけど…
「だって、瑠璃ちゃんがなかなかおりてこないのよ。心配になって部屋をのぞいたら…ねぇ?」
「そうだったんだ…」
じゃあ、瑠璃は家に帰ってないのか…まあ、外着のままだしな。
「あの…」
「ん? どうした、瑠璃?」
「えっと……は…はずかしいから……もう…いい…かな………?」
「お…おぉ…わかった…」
母さんに見られてそんなに恥ずかしいのか…?
俺の服をつかんで顔を赤らめてるし……変なの。
「母さん。朝ご飯を瑠璃の分もいいかな?」
「いいわよ〜。ほら、顔を洗ってきな」
「わかった」
「は…はぁい…」




