⑦ 今夜の酒は、やけに甘い
パラミに続いてメロイと一晩を過ごした後、ゆっくり休んでから一度クレスの書店へ行くことにした。
結局、昨日は丸一日ランダと会っていないので、一応様子を見ておこうと思ったわけだ。
気掛かりだったことも実際に起きたわけだし、魔法の習得についての進捗状況も気にはなる。
「よう、調子はどうだ?」
「あ、ジャックー。見ての通り、今日もガラガラだよー」
「いや、店が繁盛してるかを聞きたかったわけじゃないんだが」
相変わらずカウンターでゴロゴロしてるエルフの変人に話しかけてみたが、反応も似たようなものだ。
「あぁ…ランランの魔法のこと?」
「は? ランラン…?」
「うん。ランダちゃんだから、ランラン」
「あぁ、そう…」
面倒だから深くは追及しないことにした。
一方、その妙な呼び名を付けられたランダはそのカウンターの片隅で静かに本を読んでいた。
おそらく、クレスが引っ張り出してきたのであろう椅子に座って真剣に目を通している。
「彼女すごいねー。適性のある属性の基礎魔法はもうほとんど使えるようになったよ」
「ほう、それなら意外と早く済みそうだな」
ランダは護身術として教えた体術はもちろん、夜伽も覚えが早かったので元々コツを掴むのが上手いのだろう。
「ランランのセンスが良いのかなー。それとも、教える人が上手だからかなぁー? ジャックはどう思う?」
「まあ、その二択だったら間違いなく前者だろうな」
「えぇー? なぁにそれぇ? 間違いなくっていうのが特にヒドーイ」
こんなふざけた言動をしているが、こいつはこれでも一流の魔法使いだ。
しかし、天才肌の魔法使いであり、一般人のレベルに合わせて教えることができず感覚的なことしか言わないので、教える立場には向いていないのだ。
人並み以上の知識を得ているというのに、事細かに教えるのが面倒という理由で全て説明を省いてしまうのだから救いが無い。
「…? あ、ジャック様!」
「おっと。やっと気づいたかと思えば、またいきなりだな」
本から目を離して顔を上げたランダが俺を視界にとらえると、突如立ち上がって抱き着いてきた。
ほんの一日二日離れていただけなのに、まるで感動の再会とでも言わんばかりだ。
とはいえ、この温もりやこの感覚…しっくりくるのはなぜだろうか。
「スンスン…、違う女の匂いがします…」
「あぁ、ここ二日他の女と寝てたからな」
「あちゃー」
一切悪びれずに事実を話すと、クレスは自らの顔に手を当てていた。
「…すみませんでした、ジャック様。魔法の修行中だとはいえ、私がお相手を務められなかったせいでご不便をおかけしてしまい――」
「え? そっち?」
「え? どっちでしょう?」
ランダとクレスはお互いに相手の顔を見合って不思議そうな顔をしている。
「いやいや、普通自分をほっぽり出して他の女とイチャコラしてたら怒るとこでしょ?」
「とんでもありません! 私がジャック様の女性関係に口を出すなど…滅相もありません」
「うわぁ…」
クレスは何とも形容しがたい表情を浮かべてランダを見ていた。
「ジャック…この子、確か従者って言ってたけど…一体どんな教育――いや、調教をしたらこうなるんだい?」
「さあな、俺にもわからん」
ここまで従順な女はこれまでもそういなかった。
だから、これは彼女の資質もしくは性格としか言いようがない。
だが、理由はどうあれ、俺がどこに行って誰を抱いたからといちいち文句を言うような女より余程マシなのは確かだ。
彼女の言動が間違っていないことを示すためにも、頭を撫でるくらいのことはしてやってもいいだろう。
「あ…んふふっ、ジャックさまぁ…」
指通りの滑らかな直毛はいつ触っても心地良く、妙に癖になる。
上目遣いで見つめるランダも満更ではなさそうだ。
「あのさぁー、…さすがにイチャつくなら余所でやってくれないかな?」
「へぇ、お前でもそういうの気にするんだな」
「そりゃするよ。わちしを何だと思ってるのさー」
こいつもランダがいることで少しは退屈が紛れたんだろう。
いつもよりどことなく元気な気がする。
「あー、そんなことより――」
「そんなこととはまた酷いなー」
横槍が入っても気にせず話を続けた。
「魔法の習得は上手くいってるようだな」
「はい、ジャック様のおかげです」
「露骨に話逸らしたし、何でジャックのおかげなのかも意味わかんないよ…」
確かに、そこは不貞腐れているクレスの言うとおりだ。
「その調子なら問題は無さそうだが、あまり無茶をするなよ。魔力を使い果たして宿まで帰るのも一苦労では、妙な輩に襲われても対処ができなくなる」
「はい、お心遣いありがとうございます。実際、一昨日の夜も帰り道に賊と遭遇しましたが、特に問題なく対処しましたので大丈夫です。むしろ、宿代が浮きました」
あっけらかんと言ってのけるランダが少し逞しくなったように見えたが、言っている傍から立て続けに事が起きているのは問題だ。
「そうか…、ならいい。だが、戦闘面ではお前はまだまだ未熟だ。あまり自分のチカラを過信しすぎるなよ」
「はい。その言葉、心に深く刻んでおきます」
「物騒だねー。わちしも気を付けないとー」
「そうだな。お前を狙うような奇特な奴がお前以上に強いことがあるのなら…だけどな」
「それって褒めてるの? けなしてるの?」
「さぁ、どうだろうな」
世の中にはいろんなやつがいるので、クレス相手に異常な興奮をするやつも大陸中を探せばいるんだろう。
「それで、あの…ジャック様。今夜はご一緒できそうですか?」
「うーん、まだわからんな。この後パラミの店に行くつもりなんだが、そっちでも昨日不当に女へ迫る奴がいて見せしめに追っ払ったばかりだ。懲りないバカがまた騒ぎ出すとも限らんし、帰ったとしてもちょっと遅くなるぞ」
「構いません。いつまでもお待ちしています」
「いや、先に寝ていいぞ。お前、ここんところ大して寝てないだろう?」
目の下に薄っすら隈ができているので、きっと言われなくとも遅くまで待っていたのだろうと推測できる。
「それは…そうですけど…」
「お前が今するべきは魔法の勉強だ。ちゃんと覚える為にもしっかり寝ておけ」
「はい…わかりました…」
「ジャックならそう言いつつ、今夜にも相手させてそうだけどねー」
「そうだな、否定はしない」
「ふふっ、楽しみにしてますね」
「いや、だから寝ろって」
「堂々巡りってやつだー。どうどうー!」
ランダは基本的に物分かりが良いんだが、偶にこういうことがあったりする。
同日、夕方。俺は今日も美人巨乳店主が営むフェキュリスへ向かった。
薄暗くなってきた街の中でも爛々と明かりが輝き、欲望を煽るように誘っている。
そんな店に一人堂々と足を踏み入れると、愛想のいい女が出迎えてくれた。
「あ、お客さーん、今日も来てくれたんですね~。いつもの席空いてますよー、ご案内しますね~」
「あ、あぁ…」
今朝ぶりに会ったメロイの接客態度は今までとまるで違っていた。
昨日までは一応客として接してはいても、全くチップもくれず店主と話しているだけの男に対して相応の距離感と態度を保っていたはずだ。
しかし、これはなんだ。
いつも席まで付き添うようなこともせず、ましてや自分から率先して腕を組んで自慢の胸を押し当ててくるなどあり得なかったのに。
「ん? どうかしました?」
「いや、それはこっちのセリフだ」
今までの態度を改め殊勝な行いに努め始めた――なんて話では無いのはわかる。
むしろ、距離感が明らかに近くてベタベタしているこの感じは、金回りのいいお得意様に接する態度と同じだ。
「もう、言ったじゃないですか。あなただけの特別サービス、しちゃいますよって」
「あぁ…、そういえば…」
自慢の胸をひけらかすように自ら胸元を少しはだけて見せつけてくる姿を見れば、その真意も覗けるというもの。
銅貨の一枚も貢いでないのに、こうも手のひらを返すような態度の豹変っぷりまでしてしまうほど好転してしまうと、足繁く通って貢いでいる男どもがバカらしく思えて仕方ない。
しかし、一夜にして俺が掴んでしまったモノを確かめるように彼女の豊満な身体に触っても、振り払われることもなくすんなりと受け入れられてしまった。
「あんっ…、ふふっ…分かってもらえました?」
「あぁ、これは…なかなか愉快だな」
お互いに不敵な笑みを浮かべたところで一旦手を離すと、カウンターの奥から店主も顔を覗かせる。
「あらあら、うちの看板娘をたった一晩で堕としてしまうなんて…困りますねぇ」
言葉とは裏腹に、彼女は余裕の笑みを浮かべていた。
「とてもそうは見えないな…」
まるで、こうなることくらい予想できていたといわんばかりの笑みだ。
「もう、店長…今は私が接客してるんですから」
「はいはい、わかりました」
「じゃあ、お客さん。ご注文お決まりでしたらどうぞ?」
いつもなら適当にパラミに任せて注文するところだが、今日は横からのメロイの圧がすごい。
横目で見ても期待を孕んだ目でこちらを見つめているのが何となくわかる。
「そうだな…。じゃあ、まずは…酒と女で」
「はーい、喜んで~」
彼女の期待に応えられたのかは分からないが、その表情を見ている限りハズレではなさそうだ。
注文を通した彼女はそのまま立ち去ろうとせず、パラミからボトルを受け取って俺の前ににじり寄った。
「こういうお酒の嗜み方はどうでしょう?」
自らの胸を片腕で抱き寄せてただでさえ深い谷間をより強調すると、空いていた方の手で栓の開いたボトルから酒を注ぎ始めた。
すると、透き通った酒がゆらゆらと波打ちながら彼女の胸の三角州にため池を作り、これ以上ないほど魅惑的なジョッキを演出した。
「くくっ…。なるほど、悪くない」
「そうでしょう? どうぞ遠慮なさらず、召し上がれ」
誘うように微笑む彼女の言葉を鵜呑みにして、俺は彼女の胸へと顔を埋めた。
普段から酒の味などろくにわからない俺であっても、これが過去一番美味い酒であったと確信できる。
柔らかく受け止めてくれる彼女の肌が頬に優しく伝わる中で、喉を通った酒が身体を熱くさせる。
「あぁんっ、もう、そんなに慌てなくても…まだおかわりもありますよ?」
彼女の誘いに乗り、さらに調子にも乗って酒の注がれた器を自分の手でも支えると、張りのある弾力が返ってくる。
「あぁっ、ダメっ、溢れちゃいます…っ」
如何に深い谷間であっても、左右から地震が起きればそこに収まり切れずに溢れてしまう。
丸い肌を滴り落ちる雫さえも惜しんで舐め取っていくうちに、布の下に隠れていた突起にまで触れてしまうのも致し方ないことだ。
ついでに、そこも舐め回してみると、柔らかな肌と違って確かに硬さを帯びていた。
どうやら、興奮していたのは俺だけではなかったらしい。
「あ…、あぁ…ジャックさん……」
バツの悪そうな彼女は頬を上気させたまま、うわ言のようにそう囁いた。
谷間の酒が無くなり、また注いでくれるのかと待っていると、今度は自ら酒を口に含んで顔を近づけてくる。
「んっ、ちゅぅ…ちゅっ、ちゅぅ、ちゅうぅ……」
もはや、どちらが酒に酔っているかわからないくらいの行動を移してきたが、口移しで飲まされる酒もまた悪いものではない。
彼女の暴走とも呼べる行いはそれだけにとどまらず、俺の身体を跨いで上に乗ってくると、身体を密着させるように押し付けてきた。
少し重さこそ感じるが、柔らかくしなやかな彼女の温もりをしかと感じられる。
なるほど。これがこの店の看板娘が使う客を落とすテクニックなのだと思い知らされた。
だが、長いキスを交わした後に見えた彼女の熱っぽい視線を目の当たりにした時、それが演技ではないと思い込まされそうになってしまった。
「んっふふ…どうですか、お味は?」
「随分と甘ったるい酒だ」
皮肉を言っても未だ彼女は離れようともせず、それどころかそっと抱き着いてくるくらいだ。
「あらあら、本当に仲良しになったものね」
カウンター越しに眺めているパラミは余裕の笑みから半ば呆れたような表情へと変わっていた。
ここまでしても女としての嫉妬を欠片も見せず、ただ店主として参っているというような雰囲気だった。
「仲が良すぎて、お客さんが減らなければいいんだけど…」
「そうだな。他の客もいるんだ、あまり見せつけるようなことをしてると――」
「大丈夫。むしろ、見せつければ良いんですよ。たっぷりチップを弾めば、こんなことまでしてもらえるって思わせるように」
悪戯に笑う小悪魔はなんてことないように言ってのけた。
「で、実際こんなことまでするのか?」
「しませんよ、あなた以外には。まあ、樽いっぱいの金貨でも積まれればわかりませんけど?」
「えげつねえな…」
「そうですか? それより…もうすっかり硬くなってるじゃないですか」
「さっきから俺の上で誘ってる女がいるからな」
「んふふっ、このままシちゃましょうか?」
「おい、そういう時は上に連れてくもんじゃなかったのか?」
「あれ? 知りませんでした? 店内でもこっそりしてる時はありますよ? もちろん、本番まではしませんけど」
「はぁ…そこまでしてたのか」
「はい、私に限らずですけど。そういう趣味の人もいますから」
いつもパラミくらいしか気に留めてなかったから、他の客たちのことなど知りもしなかった。
「それで、どうします?」
まただ。
また期待を孕んだ熱っぽい視線で俺を見つめてくる。
「追加で注文いいか? 適当におすすめを頼む」
「はーい、承りました。にひっ」
こいつが特別サービスとして“なんでもする”と言うのなら、その言葉に嘘が無いか確かめてやろう。
彼女はスカートの中に手を入れると、慣れた手つきで隠されていたモノを取り出した。
窮屈な場所から解放されたとはいえ、周りからは彼女のスカートに隠れて何も見えないだろう。
それをいいことに彼女は身体を擦り付けて男の興奮を誘ってくる。
敏感な肌から滑らかな布地の感触と彼女の温もりが伝わってくる中で、自慢の膨らみも押し付けてこられては身体の一部が強張ったままなのも仕方ない。
「んふふっ、触ってもいいですよ? ていうか、昨夜みたいにいっぱい触ってください…」
「全く、困った女だな」
他の男もいる中で俺だけが甘美な体験をできているというのは優越感を覚えるが、一方で見られて興奮するような趣味があるわけではない。
しかし、人間の欲望というのは度し難いものだ。
彼女が男を求めるように、俺も彼女の膨らみを無造作に揉みしだいて女を求める。
いくら食べても、どれだけ女を啜っても、数多の命を奪っても――癒えない渇きが彼女を求め、彼女の柔らかな肌はそれを受け止めようとしていた。
「このくらいじゃ、物足りないですよね…? 他のお客さんにはここでこれ以上のことしないんですけど、あなたは“特別”だから…」
そう言って彼女は少しだけ腰を浮かせると、他の誰からもわからないように俺を自らのナカへと導いた。
「んっ、んぅっ! やっぱり…おっきい…」
「そういうお前は、この仕事をしてるわりには締まりが良いな。小柄だからか?」
「ん? それって、嫌味ですか?」
「いいや、褒めてるんだ」
「そう? なら、いっか。んっ、ふふっ、内緒でするの…ドキドキしちゃう」
「変な性癖に目覚めて付き合わすなよ?」
「あぁんっ、イジワルぅ」
緩くも無くすっかり濡れそぼった彼女から熱烈の歓迎を受ければ、男なら誰だって気持ち良く感じるだろう。
しかも、彼女は自ら腰を振って快感を煽り、男に奉仕している。
その姿を見れば、普段他の男どもに媚びを売っていることすら頭から消えかけて、メロイのことで頭の中をいっぱいにされてしまいそうだ。
こんな体験ができるのなら、実際に大金を積むやつがいるのも頷ける。
「あんっ、やだぁ、硬いの奥まで当たって…気持ちいい」
それに加えて耳元で彼女の悩ましい声が炸裂するのだから、男の欲望はますます膨らんでしまう一方だ。
押し当ててくる身体を再び揉みしだいても、お互いの興奮を助長させるだけ。
「んんぅ、ダメぇ…腰、止まんないよぉ…」
すっかりその気になって蕩けた表情を見せるメロイにまたも唇を奪われながら、自分もそんな痴態を晒さないように平然とした顔を崩さぬよう努めた。
びしょ濡れの彼女と身体を打ち付け合う水音が周囲にも聞こえているのではないかと思って見渡すが、幸い今日は特に客が少なく近くに他の客はいないので多少は大丈夫だろう。
ココレーたち他の女給そっちのけでこちらを食い入るように見ている男もいるが、あれはただ単に金の無いメロイのファンが嫉妬半分憧れ半分で視線を向けているだけとみた。
「あんっ、もうっ…こんな時に、どこ見てるの? 今は…私だけ見て…んっちゅぅ…」
彼女の極上に甘く心地良い特別サービスによって、脳まで甘く痺れてしまいそうだ。
昨夜の情熱的に求める姿すら思い起こされ、またあの快感を欲してしまう。
メロイの動きに合わせて彼女の奥まで突き上げるように腰をさりげなく動かし始めると、彼女の甘く悩ましい声がさらに声色高く変わった。
「んんぅっ! やだっ、私までイっちゃいそう…!」
「我慢しなくていいぞ。女も感じてると分かった方が男も喜ぶものだ」
「うんっ! じゃあ、お願い…私のことギュってして。ギュって抱き締めて…ギュってされながら、一緒にイキたいの…っ!」
「あぁ。さあ、イけ。俺ももうイク…!」
特別サービスを受けてこんなことになっているというのに、最後は向こうからおねだりしてくるという展開に思うところはあれど、さして難しい要求でもなければ望むところだったので素直に応じた。
「あふんっ、嬉しい…! あぁっ、イっちゃいそう…。イクイクっ! お店でイっちゃうぅぅ…!!」
彼女をギュッと抱き締めながら、急激に締め付けを増す彼女のナカへ燻っていた欲望を盛大に吐き出した。
ビックンビクン身体を震わせる彼女がどこかへ飛んで行ってしまわないように抱き締め続けていたが、これだけ派手にイっているとさすがに他の客にもバレるのではないかと一抹の不安が過ぎった。
だが、当の本人は真っ白な男の欲望を全てその身で受け止め、その快感に打ち震えるばかりで周りのことなどまるで見えていないようだった。
「んっ…ちゅっ、ちゅぅ…んっ、んんぅ…ちゅぅぅ…」
人目も憚らずまた唇を求めてきた彼女の瞳にはもう俺しか映っていない。
今の彼女は上客にサービスする女給ではなく、昨夜と同じただ男を求めるだけの女だ。
「やっぱり、我慢できません…。今度は二人っきりでしっぽりと続きをしましょう?」
甘い誘惑を囁く彼女は男を逃すまいと、耳にまで攻撃を仕掛けてきた。
耳たぶを甘噛みしたり、耳穴にまで舌をねじ込んで舐めてくる。
これがこそばゆいことこの上ない。
けれども、彼女の誘いはこちらとしても望むところだ。
「分かったから、さっさと移動するぞ」
「えへっ、入れたままですか?」
「バカなこと言うな。それはさすがにバレる」
「ですよねー。ささっ、イキましょう」
慣れた手つきでスカートに覆い隠された男をしまうと、何事も無かったかのように俺の上から降りて手を引いてきた。
メロイは何か言いたそうな店主の返事も聞こうともしないまま、一言断るだけで足早に裏手へ向かう。
「ああ…、メロイちゃーん…」
「さっきのすごかったな。あんなメロイちゃん見たことないぞ」
「でも、エッチだ…」
「いったい…いくら払えば、あんなことまでしてくれるんだ…?」
遠くで何か言っている客どもを無視し、平然を装う彼女の微細に震える脚から白濁液が垂れてきているのを俺は見逃さなかった。
明るく賑やかな店内を抜けて裏手に出ると、静かな夜の帳が二人を迎え入れた。
そして、その暗がりに乗じて彼女は自らのスカートをめくりあげ、無防備にも尻を向けてきた。
「ごめんなさい、ジャックさん。私…もう我慢できなくて…」
「仕方ないやつだな」
まだ白く泡立った彼女の体液で汚れたままの自身を取り出すと、そのままくぱぁと広げられた彼女の元へ送り出す。
「やったぁ…。また、繋がれたぁ…ジャックさん大好き」
「そうかい。とりあえず、上まで行くぞ」
「はぁい」
しれっと彼女の大きな膨らみをはだけさせ、直にその肌を揉みながら店の2階へと上がっていく。
もちろん、時折深く突き上げるように彼女をせっついて遊ぶのも忘れずに。
普段の何倍もの時間をかけて階段を上りきると、二人の体液が階段や廊下に滴り落ちることも構わず手近な部屋に移動する。
窓から差し込む月明りで照らされた薄暗い部屋の中、明かりもつけずに敷いてあった布団へと雪崩れ込んだ。
耳を澄ませると遠くに街の喧騒が聞こえる中、唯一近くに感じるのはメロイだけ。
彼女の温もり、匂い、柔らかさ。そして、男を包み込む刺激的な快感。
「ここならもう我慢も遠慮もいりません。いっぱい楽しみましょう?」
幻想的に映る彼女の肢体を前にして、もう躊躇う理由も無い。
俺は自分の行動を以て彼女の言葉の返事とする。
結局、メロイのおかげもあって注文通り酒と女を愉しむことができたのだった。




