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  作者: 火鳥 らひす
2章;美弥子
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5、美弥子の危機。

「こないでって、言ってるでしょ。」


艶やかな金色の髪、エメラルドの瞳は優しそうでどこまでも澄んでいる。

目の前の男は優しそうに見えるのだが。


しかし、

「私の前へ落ちてきたその瞬間から、おまえは私のものだ。すべての決定権は、この私にあり、おまえが意見することはできない。」

その人物から発せられる言葉には、微塵の優しさも感じることはできなかった。


美耶子(みやこ) には、さっぱり理解ができていなかった。


さっきまで、(ゆず) と 千尋(ちひろ) と話しながら、確か学校から下校の途中だったはずなのだ。

今日の予定は、恋人の(なお) とのデート。


それが、気が付いたら水の中で全身びっしょり。

そのうえ、見ず知らずの男に唇を奪われたのだ。しかも、金色の髪、エメラルドの瞳の美形外人に。

尚とのキスに、いったい美耶子がどれほどの努力を用いたか。

何度と、それとない雰囲気を作ったり、アプローチをし、煽り、催促し、やっとのことでキスまで辿りつけた。

それなにに、目の前の男は、意図も簡単に美耶子の唇を奪っていったのだ。

そして今は、その先の危機に突入していた。

美耶子は、大きなベッドの上に、落とされていた。


「いやあ――っ! 来ないでっ。あんたなんか知らない。私を家に帰してよっ!」

美耶子がそう叫ぶと、目の前の男の美しい顔が、憐れむように苦笑した。

なんだか馬鹿にされた気分だった。

美耶子は、とっさに自分の周りのシーツに手を這わしたが、先ほど枕は男に投げつけてしまったので、もうなにも投げるものがなかった。

その間にも、来ないでと言っているのに、男は面白そうに、じりじりと美耶子との距離を、確実に詰めていた。


やだっ……、どうしよう。

どうにかしたいのに、何もアイディアは浮かばなかったし、美耶子の思いに反して、美耶子の身体は小さく震えだし、いうことを聞かなくなってきていた。

いうことを聞かない足は、小刻みに震えるばかりで、思うように動かない。

そんな片足の足首を、男は容赦なく掴むと、そのまま男の方へ、引きずるように引っ張ると、美耶子の脚を、大きく広げた。


「嫌あ――っ! やめてっ、離してっ、さわらないでっ!」

美耶子の身体は、この先を予感し、先ほどまでよりも震えを強くし、瞳からはぽろぽろと涙が零れ始めた。

そんな美耶子を、目の前の男は、見つめ、微笑んだ。


「止めることはできない。 おまえが私の前に落ちてくることを、私は物心つく前から望んでいたのだ。おまえを私のものにすることが、私の生涯の望みだったのだから、異世界の巫女よ。」

男はそう言うと、美耶子の上へ、重く圧し掛かった。




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