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  作者: 火鳥 らひす
1章;柚
35/45

33、異世界から落ちてきた巫女。

*美弥子の容姿の表現に食い違いがありました。


そのため、プロローグと1章、32話 の美弥子についての内容を


訂正しました。

ユリアを送り出し、ロージアが家の中に戻ると、そこには、不安そうな眼差しをロージアに向ける柚がいた。

一度中に戻ってきたロージアは、結納の品の入った木箱を持つと、またすぐに外へ行き、そうしてまた戻って来た時には手ぶら出し、その顔つきは神妙だ。

ロージアを訪ねて来た、城の使いのような青年の表情も神妙な面持ちだったのだ。

不安にならない方が不思議だった。


ロージアは、柚と目が合うと、やさしい笑みを作り、

「ユズ、伝えないといけないことがあるんだ。 少し長くなるかもしれないから、向うで話そう。」

そう言うと、仕事部屋から自室へと移った。


自室へと移ると、ロージアは、柚をソファーに座らせ、自分は、テーブルを挟んだ向かいに、板張りの床にそのまま座った。

「ロージア、さっきの人……。」

「城の使いだ。王室と、オレたち職人の間の使い。」

「やっぱり……。」

柚の顔は、更に不安が濃くなった。


それを見て、ロージアはにっこり笑った。

「ごめんユズ。 オレたちが険しい顔つきだったから不安にさせちゃったんだろ? けど、ユズが不安がることなんて、ちっともないんだ。」

そう言うと、ロージアはまた、柚を安心させるために、にっこり笑った。

「でも……。」

「あいつはいつもあんな顔してるんだよ。まあ、職業がら? それに、……あいつにとっては、まあ、オレにとってもちょっと大変な話だったけど、ユズにとっては朗報もあったよ。 うん。きっとそうだと思う。」

朗報と聞いて、柚の顔も明るくなった。

けど、

「ありがとう。 でも、先にロージアの大変な話を聞いとく。」

柚の気遣いに、ロージアは、苦笑いをすると、

「まあ、一緒なんだけどね。」

そう言うと、先程のユリアからの話を話し出した。



「……異世界人。」

「そうなんだ。ユリアから聞いた感じだと、服装も、オレが初めてユズに会った時の格好と同じのような気がするから、ユズの友達の可能性が高いんじゃないかと思って。」

ロージアの考えに、柚も頷いた。

きっと、柚たち学校指定の制服の可能性が高かった。

黒くて長い髪。大人びたスレンダー美人。 ……胸の話しはいいとして……。

もし、その落ちてきた異世界人が柚の友達だとしたら、きっとそれは 美耶子(みやこ) だ。

柚は、そう思った。


「たぶん、美耶子だと思う。 ねえ、ロージア。 私、その巫女に会うことって、できないかなあ?」

それには、ロージアは、残念そうに首を横に振った。

「まず無理だろうな。 それに……、巫女は王子との結婚が決まってる。いずれ、お妃様になるんだ。どう考えても会えるわけがないよ。」

「結婚!?」

「うん……。」

驚く柚に、さすがにロージアも言葉に詰まった。


「それって、その巫女が同意したっていうこと、……なんだよねえ?」

それにもロージアは、答えずらそうに、

「どうかなあ? あの王子、強引なところもあるし……、ごめん。そこまで詳しく聞いたわけじゃないから、分からないんだ。」


「……そう、だよね。」

柚は、気落ちしながらそう答えた。

それでもにっこりロージアに笑顔を向けると、

「教えてくれてありがとう。 ロージアは、結納品の作り直しで忙しいのに、……私に手伝えることなら、何でも言って。」

それには、ロージアもにっこり笑うと、

「ありがとう。 テーマは巫女と伝説の泉にしようと思うんだ。」

早くも、2人は新しい結納品の製作に取り掛かり始めた。


ただ、柚は心の中で、やっぱり落ちてきた巫女が美耶子でなければいい。

とか、やっぱり美耶子であって欲しい。

とか、複雑な心境だった。



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