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  作者: 火鳥 らひす
1章;柚
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【閑話】 真夜中とロージアと。

ロージアとユズの部屋には、並んで2つのベッドがあった。

そのベッドに、それぞれ入ってからもう何時間かたっただろうか?

寝るために電気を落とした、真っ暗な部屋の中で、ロージアの目は、見開かれていた。

いろいろな理由で、眠れないのだ。


ユズは、もう眠ったかな?

そう思い、寝返りを打つと、ロージアは柚のベッドの方に身体を向けた。

寝息が聞こえてこないから、わからなかった。

寝る前のユズはとても不安そうで、それだけならきっと眠れてない。

けど、朝はもの凄く早かったし、王都までの道のり。はっきりいって女の子の足ではそうとう疲れたはずだった。

それに、夜市場の繁盛ぶり。

きっと不安はあっても、疲れと眠気が勝っている。


でも、

「ユズ……。」

消え入るような声で、ロージアは柚を呼んでみたが、返事はなかった。

やはり、疲れて寝てしまったのだ。

ユズが、悩んでいて眠れていなかったら。

ロージアは、話を聞いてあげるつもりだった。


ユズが眠れているのならよかった。

ロージアはそう思ったが、けれど自分は眠れそうになかった。


もう、慣れたと思っていたのに……。

そう思い、ロージアは柚を背にするために、もう一度寝返りを打った。

ユズと、二人っきりの空間に、ロージアの心臓は、ドキドキと、一向にその鼓動を正常に戻してくれない。

こんなことは、ユズと出会った最初の夜以来だった。

あの夜も、自分の家に女の子がいるという現実に、舞い上がり興奮し、ロージアは寝ることができなかったのだ。

あれからロージアは、柚と一緒に暮らすために、ひとつの部屋に、柚と二人っきりで居るということに、慣れたと思っていた。

けれど、自分の家で無いということが、ロージアの気持ちを煽るようだった。

なんともそわそわとして、一向に眠れる気配がないのだ。


そこでロージアは、もう一つの心配ごとに集中した。

ロージアたちの隣の部屋は、ジルの取った一人部屋だった。

しかし、ロージアたちが、就寝してから、もうだいぶ経つと思うが、ロージアたちが部屋に入ってから、隣の部屋にはずっと、人の気配がないのだ。


ジルはまだ、部屋に帰って来ていない。

こんな遅くまで、どこに行っているのか?

どこかで飲んでいるのなら、それはただのロージアの取り越し苦労で、それでよかった。

けれど、ロージアの中を、ジルの言葉が掠めた。

「―――ちょっと金持ちのおばさんたちの相手をしているだけ。―――」

本当のことなのだろうか?

「―――汚いと思った?―――」

思うわけがない。

それが真実なら、ジルのことが心配だとは思う。


こんど、問い詰めなくっちゃな……。


ロージアは、それからしばらく、ふわふわと浅い眠りを漂い、明け方、やっと寝付いた。

意識のぞっと奥の方で、何かの物音を聞いたような気がした。



今更ですが、異世界には漢字表記が存在しません。


なので、ロージアやジルは 柚 を ユズ と呼びます。


なので、ロージアたちの思考の中でも、 柚 が ユズ になります。

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