↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蔦  作者: 火鳥 らひす
1章;柚
23/45

22、告白は突然やってくる。

「おっ! ユズちゃんかわいいね。 やっぱりそういうかわいらしい服装の方がユズちゃんらしいよ。」


翌日の早朝、顔を見せるなり、ジルは早朝とは思わせないテンションでそう言った。

「ありがとう、ジル。 気にかけてくれたみたいで。」

にっこり笑って、そう答える柚に、ロージアは2人の後ろから、複雑な心境で、2人を見守っていた。


「うん。 だってオレ、ユズちゃん大好きだから。

ねえ、ユズちゃん。オレと結婚しない? 今度はオレ、結構本気だよ。

こないだは、社交辞令。 でも今回は、……あきらめようと思ったんだけど、考えれば考えるほど頭の中はユズちゃんで。

オレ、そうとうユズちゃんが好きみたい。

だから、今回は本気だ。

ユズちゃん。 オレと結婚してください。」

ジルはそう言うと、柚をギュッと抱きしめた。


「えっ?」

それがあまりにも突然で、柚の頭の中は真っ白になり、どういうことなのか、柚には理解できなくて、ジルを拒むことさえできなかった。


「ジルっ!! ユズが困ってる。」

代わりに、ロージアがそう言って、ジルから柚を引き離そうとしたが、それをジルに拒まれた。

「ロージっ、いくらおまえ相手でもオレは今回は引かないよ。

それに、ユズちゃんが拒否してないのに、ロージにオレたちを引き裂く権利はないよね?」

ジルはそう言うと、更にギュッと柚の身体を抱きしめた。

ジルに抱きしめられた柚の身体が、ジルのサラサラの長い髪に飲み込まれていく。それが、ロージアの胸に何かを突き刺した。


が、抱きしめられた柚の身体はふるふると震えていて、柚の表情は、困惑を張り付けたまま固まっていた。


ジルは、とても背が高い。ロージアと比べても、きっと10cmは高い。

スタイルも良くて、おせいじにも、ロージアが比べ物にならないくらいおしゃれだし、その腰まである長い髪は、女性が羨むほど美しい。

肌もとても白いし、顔は……、目が大きくて、ちょっと目元が中性的なところ以外は普通だけど、性格はおもしろいし、よく気が付く。

こうして、ちょっと強引なところも、奥手の柚には足りないことで、はっきり言って悪いところなんてどこにもない。


けど……、突然そんなこと言われても……。ユズはそう思った。

だから、

「ごめんなさい……。」

柚はそう言うと、緩んだジルの腕を解いた。


それを見て、ロージアはホッと胸をなでおろしたのだが、

「ユズちゃん。 ……元いた世界に、好きな人いた?」

ジルにそう言われ、柚はドキッとして、目を見開いてしまった。


―――好きな人。 ……尚くん。―――

柚はそう思い、目をぎゅっと瞑った。

「……いたんだ。 やっぱり。 好きな人、恋人? 結婚は、……してない、よね?」

ジルのその声も、わずかに震えていた。


―――尚くん……。―――

間違いなく好きだった。

けれど、その想いを伝えることができなくて……、結局彼が選んだのは、柚の親友の美耶子。美耶子はジルのように、杼の打ち所のない、しかも美人。

想いを伝えられなくて、伝えられない状態になってしまい。ユズの心には、ずっともやもやとしたわだかまりがあった。

挙句の果てが、この世界だ。

戻れなければ、どうすることもできない。戻ったって……

柚の心の奥の、小さな棘が疼いた。


よくわからないよ。

柚はそう思うと、ジルを見て、ちらりとロージアを見た。

ロージアの顔が歪んでいて、そのことが、チクリと柚の胸を刺した。


尚くんと同じ顔のロージア。

異世界人のロージア。

それはジルも一緒で、柚の中で、2人が異世界人だということが、それ以上関わりたくない大きな壁だった。

柚にやさしい2人は、今まで出会った誰よりも温かい。


戻るかもしれない、戻れないかもしれない。

そのどちらもが悲しいなら、きっと柚は元の世界に戻りたいのだ。


「恋人じゃないの。 ……ずっと片想い。」

柚はそう言った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。