20、つけま職人ユズ。
「きゃっ!!?」
窯に火がくべられ、室内は最大限に熱気のような熱さが籠っていた。
オレンジに熱されたコテに近づきすぎた柚の前髪が、ジュっと音を立てて縮れた。
「大丈夫?」
すぐにロージアから声が掛り、柚は頷いた。
「気を付けて、ユズは結構熱中しやすいタイプなんだね。コテで火傷すると、跡が残っちゃうから。」
ロージアはそう言いながら、柚の側に行くと、柚の額が何ともないか確かめた。
ロージアの指先に触れられて、縮れた柚の前髪の先が、はらりと落ちた。
「あっ、大丈夫だよ。 ホント熱中しちゃった。すっごくハマるね。私も職人肌なのかなあ?」
ロージアに触れられて、なんだかどきどきしてしまう。
柚は、それをごまかすかのようにそう言った。
いざ、つけまつ毛を作るとなると、それは緻密な作業だった。
ジルは、本当にいろいろな長さにカーボンをカットしてくれていて、その中に他のとは違う、少し平べったくて、眺めのものがあった。
ジルはそれを土台にしたらいい。と、言っていただけあって、それをベースに長さの違うカーボンをセットして、ロージアの太い針金のようなコテで溶接していく。
そうすると、柚のこうありたいと思うつけまつ毛が出来上がっていく。
「そうだなあ、ユズはセンスあるよね。」
ロージアも、そう言うとにっこり笑った。
「たださあ。 本当に火傷だけは気を付けて。 女の子が顔に傷なんて大変だよ。」
そう言って、ロージアが柚の額に触れると、そこがまるで心臓だとでもいうかのように、どくどくと鼓動するのだった。




