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第二章 迷いの国 Ⅰ
〈第二章 迷いの国 Ⅰ 〉
「こんなに気持ちの良い空は生まれて初めてだ」スコットは目を閉じて
涼しそうな顔をしながらスコットは言った。
しばらくしてスコットは目を開けた。
緑の草原の周りには二十メートルおきくらいに小さな丸い一軒家が
ポツンと沢山そびえ立っていた。
壁は薄く汚れた白色のレンガで、屋根は錆びた橙色の瓦をしていた。
どの家も同じような作りばかりだ。スコットは不思議に思った。
なぜ一階建の家しかないんだろう。とても人が住んでいるようには見えない。
そもそもドアがついていなかった。中は真っ暗な様子だ。
妙なことに人の声もしないし、物干し竿すらない。
ただただ風がスコットの体を通り抜けるだけだった。
一体なんのための家なのだろう。
スコットは歩き出した。少し周りを探検して見ることにする。
湖すら見えない。目先にはどこまでも緑が広がっている。
スコットはまた歩き出した。——すると‥‥‥。
「おぉい! そこのアンタ! どこへ行くってんだい?」
スコットはビクッとした。ゆっくり後ろを振り返ると——
薄く汚れたニット帽のようなものを被った顔中ひげに覆われた男が立っていた。




