第一章 運命の男 II
〈第一章 運命の男 II 〉
「‥‥‥そうか」ハドソン社長が何か察したようだ。
そう話している時、後ろから小走りで誰かこちらに向かってきた。
「何を喋ってる! さっさと仕事に戻れ!」
その声は、あのうるさい上司しか考えらないとすぐ分かった。
「ハドソン社長! 大変ご無礼致しました」
「いや‥‥‥構わんよ」ハドソン社長は素っ気なく返事した。
スコットはすぐ仕事に戻った。
——しかし次の瞬間—まさかの事態が発生する‥‥‥。
金髪で小太りの小さな子供がアルミホイルに巻いたチキンを持って
走り回っていた。豚のようにも見えた。その時だ——
「っわぁ!」
眼鏡をかけた少年が走り回っていた子供と衝突し、丁度席が近かった
ハドソン社長のジャケットにジュースをこぼしてしまったのである。
金髪の子供は、ささっとどこかへ行ってしまった。
「ハドソン様! 大変申し訳ございません。」
スコットは仲介に入って眼鏡の少年を庇った。
そして眼鏡の少年の背中を後ろに押して帰るよう仕向けた。
眼鏡の少年は動揺するも去って行った。
彼は人混みを避けながらゆっくり、タンブラーグラスに入ったオレンジ
ジュースを持って自分の席に向かっている時に衝突したのだ。
何も悪くない彼を助けたいと思って出た咄嗟だ‥‥‥。
「おい! 貴方サービススタッフだろ! 寝ぼけてんのかぁ!」
ハドソン社長の秘書らしき人が大声で怒鳴った。彼はひょろっとしていて
黒縁の眼鏡をかけていて、冷淡な細い目をしていた。ハドソン社長も
手に負えないらしく黙って見ていた。何となく上司と似ていた。
誰もが彼の声に気付いたものの会話を続けていた。
他のサービススタッフも気付いていたが、見て見ぬ振りをして
食器を運んでいた。責任者の上司が急いで駆けつけた。




