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第三章 ダストバレ区 Ⅳ

                    〈第三章 ダストバレ区 Ⅳ 〉

 「実はだな。俺の息子のバルマフが“官士”に合格したんじゃ!」

 ムネパレットは得意げに言った。

 「“官士”ってあの——“国家三官士“のことか?」

スンケルが目を疑うかのように言い放った。準備支度をしていたスコットも

耳を傾けた。

 「そうじゃ。国家三官士に決まっておろう」

 国家三官士は、国王に仕える三種類の国家資格の事である。

三種類とも難易度は異なっており、難易度の高い順に『神官』、『聖官』、『霊官』と並んでいる。試験は年に一回で、男女平等に受験することができ、受験者数は年々増えている。官士になれば、エルシア国の中心部であるエルシア地区に配属され、

住居は国家直属に与えられ、職を失う心配もなく、安泰して生活を送ることができる。神官は、国王の政務を補佐する役割があり、聖官では、国の防衛を統括し、

霊官は、国儀を執り行う。だが、地域によって試験の倍率は異なり、コールシナ区とダストバレ区では受験者の層が大きく異なっている。コールシナ区では一般学校の

卒業を満たしていれば、通常通り受験資格を得ることができるが、ダストバレ区では学校からの推薦が必要であり、成績上位の学生にしか受験資格が得れない。

 「バルマフはどこに配属されるんだ?」

 スンケルが興味津々に尋ねた。

 「息子は聖官に配属されることとなった。まさかこのダストバレ区から官士に

なれる人間が出てくるとは‥‥‥実に名誉なことだ」

 「バルマフは‥‥‥この街で一番凄いんだな。俺は‥‥‥」

 スンケルは後ろの花壇に腰掛けた。

スンケルとバルマフは同じ年で初等学校時代の友人であった。

その後バルマフは地元の学校には進学せず、名門中等学校に入学し、

バルマフは学業に励み、二人はそれきりとなった。

 「おい、なぜ落ち込む? 賢ければ良いって訳ではないだろ? 

何よりも大切なのは、生きててよかったと思える人生にする事が何よりもの

営みだ‥‥‥」

 スンケルは無意識に立ち上がり、鍬を取りに行った。

 「お待たせしました。そろそろ行きますか?」スコットが家から出てきた。

 「あぁ、すまん。すまん。話が長くなってしまった。準備は整ったな——」

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