第三章 ダストバレの街 Ⅲ
〈第三章 ダストバレの街 Ⅲ 〉
「スンケルでいいよ。この街から出たことはない。生まれてから一度もな」
「ご両親は?」スンケルは興味津々に尋ねた。
「死んだよ。十二年前に‥‥‥俺が十五歳の頃だ。」
スコットは気まずくなった。
「そう‥‥‥だったんですか。すいません! 辛い過去を思い出させてしまって」
スコットは毛布を払ってスンケルの方を見て謝った。
「いいよ。二人とも忙しくて、あんま関わりなかったからさ。思い出が少ないん
だよ!父は軍人でほとんど寮生活だった。母は医者で朝早く都会街へ行っていた。
母さんが医者なら少しは俺にも優れた頭脳が欲しかったもんだ。だが戦時中、母さんは医療研究室で仕事をしている際、空爆で命を落とした‥‥‥」
「‥‥‥それって戦争があったってことですか?」スコットがまた尋ねた。
スンケルは毛布を被り眠りについた。スコットは今言った発言を撤回したいと
後悔した。
二人はそのまま静かな眠りについた。
翌日の朝、ムネパレットがスンケルの家にやってきた。街は何やら賑わっていた。
「おはよう二人とも! スンケル昨日は助かったよ。俺が不器用なばかりに‥‥‥」
「いえ、楽しい夜を過ごしましたよ」スンケルが言った。
「そりゃあ、何よりだ」ムネパレットはご機嫌だった。
「ところでスコット、今日からお前の仕事が決まったぞ! 朝めしを食ったら
出発じゃ」
「本当ですか」スコットは静かに言った。
昨日の夜のスンケルとの会話を思い出してしまい、気持ちが晴れなかった。
スコットはスンケルの方をしれっと見つめた。
「良かったじゃないかスコット! 頑張ってこいよ!」スンケルがスコットの肩を
押した。
スンケルの明るい表情を見て、スコットは元気を少し取り戻した。
朝食を済まし、ムネパレットから貰った二十ロッカを布財布に入れ、水とタオルと替えのシャツをスンケルに借りた手提げカバンに詰めて準備を整えた。
ムネパレットが迎えの馬車に乗ってスンケルの家の前まで来た。
「じいさん、今日はやけに機嫌が良いな。何かあったのか?」スンケルが尋ねた。




