第三章 ダストバレの街 Ⅰ
〈第三章 ダストバレの街 Ⅰ 〉
食卓に座り、スンケルが料理皿をテーブルに持ってきた。良い匂いが漂ってきた。
何やら、野菜やお肉のようなものが盛り付けされていた。それにオニオンスープのような汁物に、ホカホカしたコーンフレークのような主食が出された。
はやり飲み物は苔茶に限る。
「料理上手なんですか?」スコットは思わず尋ねた。
「長年ここに住んでたら、そのうち慣れるもんだよ。だが、料理に正解はない。
料理は作るのではなく、発見するものなんだ。だから‥‥‥そうだな俺は好きだな」
スコットにはスンケルがたくましく思った。
料理を頂きながら、スコットは自分の事情やエルシアの世界のことを知っている限り悉く教えてもらった。どうやらこのエルシアの国は膨大な広さの国らしい。
スコットには知らない事ばかりで漠然としていた。
これからどうやって生きていけばいいのか‥‥‥。
スンケルも地上の大草原のことは知っていた。なぜあそこに人が誰もいないかって?
そんなの生きて行く術がないからに決まってる——そうスンケルは言った。
だが、どうやら国王も地上開拓を狙っているらしく、国王は、国民に一ヶ月につき
十六ロッカで地上に家を建てる事を許可した。ただし一階建てのみに限る。
下手に高さ制限を解除したら、地上に国を作ってしまう恐れがあるからだろう。
理由がどうであれ、とにかく十六ロッカは安すぎる。
因みにカークスはこの国の紙幣の通貨であり、エルシア通貨では、価値の高い順に
二十五ロッカ(銀貨)、十ロッカ(銅貨)、五ロッカ(鉛貨)、一ロッカ(炭貨)が使われている。五十クルート(金貨)は価値が高く、一部の上流階級の間でしか流通していないようだ。クルート二枚で一カークスと交換できる。カークス紙幣には
何やら宮殿が絵書かれている。
だが、先ほどスンケルが言っていた『サーファビル島 金塊騒動』で多くの金が
流出し、最近では金の価値が下がり、庶民でも金貨が手に入るようになっているらしい。それにしても、なぜ地上にあのような草原が広がっているのか、なぜ地上が存在するのかも、専門家でも手上げで、謎に包まれているらしい。
夕食を終え、就寝の準備をしていた所スンケルが濡れたタオルのようなものを
持って来た。
「これで体中をふけ」スコットはスンケルにタオルを渡され、下着一枚に
なり、体中を湿ったタオルで拭いた。これは異臭を消すためのであり、この世界では風呂に入る伝統がないため、就寝前に消臭薬付きタオルで、体を拭いて寝ることが習慣となっている。二階へ行き、毛布に包んで横になった。
窓から吹く風が二人の体をすり抜けていった。




