第二章 迷いの国 Ⅶ
〈第二章 迷いの国 Ⅶ 〉
「言っておくが‥‥‥この事は誰にも喋るんじゃないぞ! 勿論じいさんにもだ!」 二人は頷いた。
——すると—二人は顔を近づけて地図を眺めた・・・。
その地図には、不思議な造形の大陸が描かれていた。
その中心核となるのは、円形の『内環大陸』である。広大な平原を抱き、北には
深い森、東には険しい山脈を蓄えたこの地は、外側を取り囲む内海によって
守られた。まさに世界の中心部といえる。
その内環をさらに囲むように、巨大な『外環大陸』が円環を描いている。
しかし、この環は完全な円ではない。東西南北の四箇所で大地は断絶し、外の海と
内の海を繋ぐ水路となっている。各断片はそれぞれ独自の立地を持ち、北には雪を
頂くような峻険な山々が連なり、東や南には豊かな森や荒野が広がっている。
二重の環のさらに外側、果てしなく広がる外海には、四つの島々が浮かんでいる。
北西の島は、龍の背びれのように波打つ山脈が走る、三日月形の島。
次に北東の島は、複雑な入り江を持ち、中心に高く険しい山を抱く、牙のような
形の小さな島。南西の島は、小さな付属島を従えた、盾のような平らな形状の島。
東の島は、他の島よりも細長く、南北に伸びる長大な山脈が壁のようにそびえる島。
これら四つの島は、中央の大陸を中心とした巨大な魔法陣の頂点に配されている
かのようである。
この平穏な海域の西には、巨大な竜が描かれていた。
水面から突き出した頭部は勇ましく、角が天を突き、その眼光は鋭い。
水面にうねる長い胴体は、この海そのものが意思を持ったかのような力強さを
感じさせる。
どうやらこの地図は、今いるエルシアの国の地図らしい・・・。
「これって・・・ひょっとしてエルシア国の地図?」
カローナがスンケルに小声で尋ねた。
「あぁ、絶対誰にも言うなよ! とある親戚に頼んでもらったんだ」
スコットには何がなんだかよく分からなかった。だが、かなり正確に
作られている事ははっきりした。この地図は手書きで描かれているそうだ。
「お前ら二人もよく聞いておけ! 生きていくには、このエルシアの事を
知らねぇんじゃ・・・後悔するぞ!」




