八十二話 細かいことにこだわると大局を見逃すし
「はっはーん。なるほどなるほど、変身アイテムとロボを一体化させることによって購買意欲を高めるんですねぇ」
「うんうん、そうだねぇ」
カイナは太陽の言葉に調子を合わせつつ、次の一手に思いを馳せる。
(この後は優雅にお茶すんだろ?んでうまい具合に外連れ出す。で、いい感じのとこでなんかこうスッとリード。で、告白、からのホテル!これは決まりましたわ!)
余りにも具体性がない上に一度目のデートで告白をしようとするあたりかなり童貞臭い上に18禁の漫画からしか恋愛を知らない愚か者の思考であった。そんなカイナとは対照的に、太陽は自身の行動のナイスさに酔いしれていた。
(最高僕!うまいこと桐生院さんから意識を話すことが出来ました!あとはなるべくノレンさん、あー、カイナさんでしたっけ?の言うことを聞いて、そのまま意識をこっちに持ってくれば勝ち確です!)
未だ男性になった同僚の名前に四苦八苦しつつも、カイナの引いた導線にまんまと引っ掛かっていることに気が付いていない太陽である。
「な、なぁ陽菜ちゃん。ちょっとのど乾かない?カフェにでも寄って何か飲んでいこうよ」
「いいですね!丁度喉が渇いていたんですよー!」
ぎこちないカイナのあからさますぎる誘いにも、これは作戦の内と言わんばかりに乗っていく太陽。とりあえずコーヒーでもと飲み物を頼み、せっかくだからとヴェンティをチョイス。ごくごく飲みながら次の一手も器用にいなしてやるぜと半ば思考放棄のような動きを見せる太陽であった。
「そうだ!ワタシも買いたいものがあるんだけど、ここには売ってなくてさぁ、ちょっと付き合ってくれないかなぁ」
「いいですよ!行きましょう行きましょう!」
太陽はほいほいとカイナのいつもからは考えられないほどのべたな口車にも乗っていく。それが最悪の行動になるとはこの時太陽は気づくことが出来なかった。
「……ぉぅ……」
太陽は今、非常な尿意に襲われていた。カイナが予想以上に歩いたこともあったが、原因は明らかにデカいコーヒーであることは明白である。
「か、カイナさん。ちょっと、休憩していきませんか?」
「休憩?いいけ、どっ!?」
太陽が休憩を提案した場所は、ラブなホテルの前であった。




