八十一話 デートの定義なんてあいまいだし
「うっうひっうひひひひひ」
カイナが凄く下非た声で笑う。人生初デートで浮かれまくっているのだ。そんなんでよく房中術とか言えたなと正一郎(暫定)が思う中、転生者対策課のデートは進行していった。
実のところ、元の世界においては凄く微妙なバランスで持っていたのだ。異性より仕事な正一郎。男性のことがうっすら嫌いなノレン。楽しい事なら大好きだけど異性のこととかいまいちわからない太陽。奥手な由美。この四人だからこそ今まで間違いとかそういうことが起こっていなかったのだ。
それが全て逆転してしまうと、今までの前提が崩れる。太陽はそこを認識していなかった。異性より仕事な正一郎(暫定)。女性のことはすべて好きだけど童貞特有のすかし感で何とか保っていたカイナ。楽しい事なら大好きだけど異性のこととかいまいちわからない太陽。奥手だけどそういったイベントには颯爽と食いつく由美(暫定)。ここから性的には怒涛の爛れ方を醸し出していく。
まずカイナと由美(暫定)が共同戦線を組み、目線のみの合図で目当てのターゲットーこの場合カイナは太陽、由美(暫定)は正一郎(暫定)―と二人きりの状況を作るべく画策する。
「なあ陽菜ちゃん。こっちに新しい戦隊もののロボが出たってよ」
「ええ!?ちょっと見に行きたいですね!」
「み、皆川さん。新しいコスメとか必要じゃないですか?最近そんな話を聞いたんですけど」
「ああ、確かに乳液が少なくなってきたな……悪いね、宝来くん」
こうしてまんまと分断することに成功した二人が、どういう手に出るかは各々の判断に任せることになるとして、ともかくカイナは有頂天になっていた。
(陽菜ちゃんと二人でデート。いやー。モテる男はつらいって言うか、こんなビッグチャンスが訪れるとは思わなかった!ワタシの全ての能力を駆使して、今回で落とし切る!)
凄い邪なことを考えるカイナとは裏腹に、太陽の心は凄く明るく小躍りするほどのものであった。
(いやぁ、まさかノレンさんの男性バージョンが僕と同じ趣味をしていたとは思いもよりませんでしたよ!うまい具合に桐生院さんから意識をそらせましたし、これは大金星と言っても過言ではないんでしょうね!)
お互いの意識が交錯する中、話は更なる突飛な方向へ加速していく。




