七十九話 規定外のプロット入れられたらそりゃバグるし
桐生院から太陽が引きはがされてから九時間後、夜の九時に勾当台公園で一人待っているのは太陽である。桜も咲き終わり葉桜だけになったこの公園に佇んでいるのは彼、もとい彼女以外居ないまであったが、ともかく一人で佇んでいた。
正直言うと太陽にとって最後の希望とも言うべき存在が桐生院であったから、次の日の日の出までは待つ気でいた。時刻が十時を超え、来ないのではないかと太陽が不安に思ったその時、ようやく桐生院が姿を現した。
「あのぉ、探しましたよぉ。なんで入り口付近にいないんですかぁ?もっとわかりやすいところありましたよねぇ?」
実のところ桐生院は九時前くらいには勾当台公園についていた。もっと正確に言うと、勾当台公園の大通り入り口にて三十分くらい待っていたのである。しかし待てど暮らせど太陽が来ない。そのためもしかしたらと広い公園内をくまなく歩いて探した結果、ここは勾当台公園の敷地内なのかな?みたいな端っこで発見したのであった。
「どこを入り口にするかは僕が決めることですし、そもそも転生者なら他の人がどこにいるか探知で分かるようなもんじゃ無いですか?」
「探知苦手なんですよぉ……っとぉ、私が転生者ということを知っているということはぁ、結構深い知り合いの方ですねぇ?どなたなのか改めてお伺いしてもいいですかぁ?」
桐生院の言い訳に太陽はがっくりと項垂れ、仕方がないので一から説明することにした。
「まず最初に、僕は朝日太陽です」
「太陽さんー?……あぁ!あの太陽さんですか!随分可愛らしい見た目になりましたねぇ」
のんきな桐生院の言葉に少し苛立ちを覚えながらも、太陽は話を続ける。
「僕の見た目のことはどうでもいいんです。問題は、桐生院さんに貰った願いのお札の効果が全然切れないってことなんですよ!」
「願いのお札ぁ……いやぁ、アレはジョークグッズみたいなもので、効果なんて半日もすれば消えるはずですよぉ?」
それに一万円もかけさせたのかとも、世界を改変するものを一万円で売るんじゃないとも思った太陽であるが、しかしそれを飲み込んで次の言葉を探す。
「……それが、他の人の呪いによって固定されちゃったみたいなんですよ。どうにかして効果を打ち消したりできませんか?」
太陽の切実な願いにうーんと頭を捻った桐生院は、その場をぐるぐる回転しながら考え続け、そのままフェードアウトしようと歩みを進めた。
「逃がしませんよ!!あなただけが頼りなんですから!何か策はないんですか!?」
「だ、だってぇ、完全に想定外の仕様ですしぃ、私にできることがあるかどうかっていうかぁ」
「そこをなんとか!」
もはや涙を目に溜めながら懇願する形となった太陽に、気の毒そうな顔をした桐生院は更に頭を捻って
「…………一週間、一週間時間をください。私が今いる場所の住所も教えておきます。とりあえず、なんとかできるめどを付けますから、それまで辛抱してください」
と、なんとか言質を取ることに成功したのである。




