六十四話 仕込がかかるだけ威力は抜群だし
「っきゃあぁぁぁぁ!!!!!」
突然の、しかも強烈な一撃に、極際はたまらず悲鳴を上げ倒れる。桐生院は器用に錫杖をくるくると回し、地面に強く打ち付ける。
「諸業切劫六根清浄!」
桐生院の呪文と共に無数の呪符が彼女の服の裾から飛び出し、極際の目や腕に張り付いた。その隙をついて、桐生院は正一郎の体を回復魔法で復元させる。どんどん体の痛みが引いていく感覚に何か恐ろしい気持ちを抱いた正一郎であったが、そうとは知らない桐生院は得意げな顔をしていた。
「これにて全制圧完了です!でもあまり長い時間拘束できないので、今のうちに無力化を!」
得意げに正一郎とノレンへ笑いかける桐生院に、マジかお前といった顔で正一郎が片手で頭を抱える。
「なぁ桐生院さん、助けてもらった身としてなんだが、アンタちゃんと作戦聞いていたか?」
「へ?」
困惑する桐生院へ正一郎は洗脳対抗装置を投げつける。困惑しつつもそれを受け取り、やはり困惑しながらそれをかけた。
「全員が集合するまで、あと20分ってとこなんだけど、それまで持つか?」
「いや、持って1~2分ってところですけど……あの、私何かやっちゃいました?」
やらかしてはいないんだけど、ある意味やらかしているというか……と正一郎が苦悶の表情を浮かべているうちに、ノレンが桐生院へ声を声をかける。
「まぁ、アレだな、なんつーか、気が早かったな。よっしゃ、切り替えていこう!次頑張ればいいよ」
ノレンにしては何とも歯切れの悪い言葉だなと正一郎は思ったが、彼女なりに気を使ったのだろう。もしくは自分が桐生院のあずかり知らぬところで信者を放流したことに、多少なりとも罪悪感を覚えているのかもしれない。
いずれにせよ、状況は先ほどより少しだけ好転した。転生者が一人いるのといないのとではだいぶ違う。
やがて、最初に拘束したと思しき召喚術を使う転生者のコボルトが殺到し始めた。正一郎とノレンが銃撃を開始すると同時に、極際が笑いだす。
「ふふ、見えないけど聞こえるよー?ウリエルの拘束が解けたみたいだねー。次はルシフェルかなー。その次は私だねー。どんどん詰んでいくねー」
「はs!好きに言ってろよ!オレたちがどんだけつえぇか、見せてやれねぇのが残念だっ!」
そういってノレンはいきなり銃で極際の顎を撃ち抜いた。正一郎は何やってんだと驚いたが、使った銃はニューナンブ。即ち転生者には打撃程度の威力しか発揮しないものである。しかし打撃も効果的な所に打ち込まれれば人間という構造を取っている以上転生者と言えども気絶は免れない。哀れ極際は昏倒し、ぐったりと地面で伸びた。
「さて、これで直接攻撃は封じたな」
「お前さぁ、そういうのは事前に知らせるとか……まぁ、いいや。切り抜けるぞ」
「が、頑張ります!」
正一郎たちの耐久、第二幕が始まる。




