五十四話 戦闘も長期間続けばダレるだけだし
ノレンへ振るわれた2体目のローブの剛腕は、紙一重で躱され地面に大きなくぼみを作った。
「さすがの転生者様ってとこかぁ?だが甘ぇぜテメェ!」
お返しとばかりにノレンの40口径マグナムが火を噴く瞬間、嫌な予感のしたノレンは横へ飛び、今までいた地点へ弾が跳ね返ってきた。
「反射能力がテメェの技ってかぁ!?めんどくせぇ!」
こうなると発砲は無意味であり、ノレンの膂力ではどうにもならないものとなる。かつてアニメ化も果たした某小説で、攻撃が当たる瞬間に腕を引っ込めることで対策を果たしたものもあったが、そんな器用な真似をノレンが出来る訳もない。
こうなると、残る希望は桐生院の能力にかかっているが、しかしそれも本人が戦闘による殺生を拒んでいるためあまり期待はできないという現状。はっきり言って詰みに近かった。
煽り戦いという手札を切った手前、会話というフィールドに落とし込むことはほぼ不可能。かといってこのまま戦っても勝ち目はほぼゼロ。どうしたものかとノレンが悩んでいると、道路に一台の軽自動車が止まったのが見えた。車体の色からして間違いない、正一郎の車だ。
「おい桐生院!一時撤退だ!」
「でも信徒たちが!」
「馬鹿が!どう考えてもこいつらの狙いはオレらだろうが!」
ノレンが拳銃の矛先を2体目のローブの人間から、最初にいたローブの人間へ向けたことで生まれた一瞬の空白を有効に使い、桐生院の手を取ってノレンはその場から刹那の間だけ先頭から離脱できた。
何事かを車の中から叫ぶ正一郎をガン無視し、そのまま後部座席のドアを乱暴に開けて桐生院を放り込み自分も飛び乗ってからノレンは叫ぶ。
「出せぇぇぇぇ!!」
一方の正一郎は、訳が分からない状況にいきなり突っ込んだせいで一瞬反応が遅れた。それを隙と見た2体目のローブの人物が突っ込んでくる。間一髪でアクセルを踏み込むことに成功した正一郎は、車体から1センチずれる形で追跡者の攻撃を振り切ることに成功した。
「ついて早々なんなんだアイツらは!」
「オレが知るかよ!おい桐生院!何か知ってんなら全部吐け!」
「私にもわかりませんよぉ!」
もはや絶叫に近い言い合いの中で、後ろから続く轟音に全員が耳を澄ます。続いてノレンがゆっくり首を後ろに見遣れば、そこにいたのは反射能力をフルに使って追跡を開始した2体目のローブの人物であった。
「もっと!もっと早く運転できませんかぁ!?」
「出来るか!山道だぞ!フルスロットル出したら俺らが死ぬわ!」
軽自動車の悲しき性質、高さがあって短いが故にドリフト走行に適さないというものと、正一郎の拙いドライビングテクニックが合わさって、ギリギリの逃走劇が繰り広げられることとなった。
つづら折りになった山道を、ギリギリのスピードで降りていく正一郎の軽自動車に、付かず離れずの距離で追ってくる2体目のローブの人物。あわや激突もやむを得ないかとなった時に
「どりゃあぁ!」
救世主はやってきた。渾身のタックルをまともに食らって、2体目のローブの人物は崖のように切り立った壁へ激突する。どうやら来るとわかった方向にしか展開できないタイプの反射能力者のようであった。
「太陽!助かった!」
「おい正一郎!車止めろ!アイツ仕留められるぞ!」
ノレンの言葉に急ブレーキをかけると、ノレンが車から飛び出した。
「流石ヒーローだな!遅れてやってくるところとかマジで流石だわ!」
ノレンの皮肉たっぷりの言葉は
「恐縮です!とりあえずアイツを伸してしまえばいいんですね!」
正一郎には称賛の意味で伝わった。そういう意味じゃ、まぁいっか。とノレンは切り替え、残弾を確認すると素早くリロード、40口径マグナムの弾数を補充して太陽の横へと並び立つ。
「んじゃまぁ、アイツを完全に無力化すっか」
「はい!ノレンさんも付いてきてください!」
そうして、第3ラウンドへと展開は流れていく。
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