第52話 力、宿す
帝国暦1401年
―アオイの心の中―
きっとこの解答で合っているはずだ。
「お姉様が女神の日記に登場する女神様なんじゃないですか?」
「ふ〜ん。根拠は?」
「根拠は2つあります。1つ目はセンシティの中央広場にあったあの石像です。あんな石像、私がセンテリア皇国時代にはありませんでした。だから私はてっきり、センテリア皇国が滅びた後に作られたのかなって思ってました。けど、思い返してみるとあの石像のうち、一つは何処かで見たことがあったんです。気のせいかなって思ってましたがお姉様の顔を見て思い出しました。あの石像は私の戴冠式の日にセンテリア大聖堂の通路に置かれてあったんです。そして、その石像の前には女神の日記に登場する邪神の石像がありました。普通なら邪神の前にある石像は女神様のはずです。私もあの時は女神様の石像だと思いました。けど、よく見てみたらお姉様なんです。普通に考えておかしいんですよ。そんなこと普通ありえない。そんな事があり得るんだとしたらお姉様が女神様じゃなくちゃありえないことなんですよ。」
「それはたまたま女神様の石像が私に似ていただけじゃないの?」
「2つ目の理由を言う前に一つ質問します。お姉様は女神の日記をどれくらい知っていますか。」
「そんなこと、聞かなくても知ってるんじやないの」
「念のためです。」
「全部よ。女神の日記は何回も何十回も読み返したからね。」
「それじゃあ、質問です。女神の日記の中に登場する童話で、少女は最後どうなりましたか。」
「そんなの決まってるじゃない。この世界を救うために邪神と共に死んだのよ。」
「それがお姉様が女神様だと言っている一番の理由です。」
「どういうことなの?女神の日記で少女は確かに死んだはずよ。」
「庶民が手にする女神の日記では寿命を迎えて死んだ。城の書庫にある女神の日記ではセンテリア皇国を作り、死んだと書いてあります。私はこの女神の日記が教会によって改編された物だと長年疑ってきました。けど、今真実を聞けて安心しました。真実を教えていただいてありがとうございます。女神様。」
「許せない。私の作品を変えるなんて許せない。」
「そんなお姉様に一つだけ言っておきます。今の時代で女神の日記を知っているのは私と魔だけです。」
「どうして?」
「魔が女神の日記の存在を知っている者を殺していったからです。」
「それは本当なの?」
「はい。元々、魔に取り憑かれていた人には規則性があったんです。それは、女神の日記を知っていた人。今まで取り憑かれた人は魔王、ベーン、チャーリー九世、アイ、私です。魔王は女神の日記の事を知っていたはずですし、女神の日記の最後の一冊が置いてあったレーヌ帝国にいたチャーリー九世とベーンも知っていたはずです。アイには私が前にあの話を教えたことがあります。この様に魔は女神の日記を知っている人にだけ取り憑いているんです。」
言い終わった後のお姉様の表情は今までにないほど怒っていたが、私の視線を感じると笑顔に戻った。
「アオイ、手を出して。」
私が手を出すと、お姉様は私の手に触れた。すると、何か不思議な物が私の中を駆け抜けた感じがした。
「アオイ、今まで私が女神だということを黙っていてごめんね。私が女神だということを言ったらアオイが私の事をなんていうのか分からなくて、もしかしたら嫌われるかもしれないって思ったら言えなかった。」
そう言うとお姉様は深々と私に頭を下げた。
「お姉様、頭を上げてください。それよりもさっきの感触は何ですか。」
「それは私の力をあなたにあげたの。」
「お姉様の力を?」
「魔は光属性魔法でしか倒せない。それも神力と言われるような強力な光属性魔法でないといけない。だから私はあなたに力をあげたの。その力で魔を倒してきなさい。」
そう言うとお姉様の体から大量の光が漏れ出した。そして、暗黒の世界が晴れていった。
「お姉様、私はお姉様の事が一生大好きです。」
最後に私はそう言った。




