last Memory
全てが終わり安緒に就く一同、
その安緒は果たして全ての者に対してか…
それとも大海原に沈むダイヤの事か…
2月の寒い冬、ここは北海道…あたりは雪で銀世界であった…
そんな中、真琴と涼はある場所を探していた…
「おい、地図はあってるのか?」
リュックを背負った真琴が涼にそう尋ねる。
「大体の位置は把握してるし時間も大丈夫だ、あと少しだ…」
携帯を片手に同じくリュックを背負った涼はそう答える。
涼の携帯にはアニメイムという場所の住所の地図と現在地、そして現在時間、2月18日10:12と表示されていた。
「俺たちの聖地、アニメイム!あそこには同志たちと普段は絶対手にすることのできないグッズがたくさんあるのだ!行くぞ!R!」
真琴は疲れ切った顔ではあるがそれでもというまでの覚悟を持った意思を示し涼に宣言する。
「勿論だ!この時のためにあらゆる課金を我慢し…そして金欠に苦しんだ…故に絶対行くぞ!俺たちの聖地へ!」
涼もまた、真琴と同じようにしてアニメイムに向かった。
清武と清子はタクシーを使ってどこかへ向かっていた…
「とりあえずテレビ塔までで頼みます」
清武はタクシーの運転手にそう言う。
「いやーそれにしても大変でしたね、聞いてみたらうちのグループの問題に少し巻き込まれたんだって?」
タクシーの運転手は冗談じみた口調でそう言う、タクシーに貼られているシールには杏芽條グループと書かれていた。
「はい、まぁ…大変ではありましたけどなかなかいい経験にはなりました」
清武はそう言いながら景色を見ていた。
「そりゃまぁ秘密組織に狙われるなんて経験はただの学生じゃなかなかないからな!はっはっは!」
タクシーの運転手はそう笑いながら信号で車を止める。
(あ…やっぱり杏芽條の人間でも一般には霊関係のことは知らないんだ…)
清子はそう思いながら信号を見ていた…
「ほら、あそこがテレビ塔だぞ。お代はささやかがけどグループから出るから払わなくていいよ、そういえばお二人さんはどこか行く予定でも?」
タクシーの運転手はそう言いながらテレビ塔の歩道付近に車を停車させる…すると
「勿論…」
「アニメイムです☆」
清武と清子は交互にそう言いながら学生服を脱ぎ、如何にもアニメやゲームが好きそうな服装にチェンジしていた。
「あ…はあ…せっかくだし飲食店とかもまわってくださいよ、ジンギスカンとかおすす…」
タクシーの運転手はそう続けようとするが清武と清子はすでに車を降りて、アニメイムへ向かっていった…
未理恵はまだダイヤモンド・タイタの自室に居た。
「お嬢様、俊でございます」
俊が部屋の前でそう言う。
「いいですよ、お入りなさい…」
未理恵がそう言うと俊は部屋の扉を開け、入る。
「お嬢様は行かれないのですか?」
俊がそう尋ねる。
「私は…対策したとはいえ幾多の世界で失敗し続けたと聞きました…今回奇跡的に成功したとはいえ他の世界の私はどんな感情で…皆さんはどんな気分でいるのだろうと…それを考えると乗り気になれませんので…」
未理恵が少し悲観的な顔をしながらそう言うと何時から居たのか江利奈が腕を組んで壁にもたれかかり、言う。
「そんなことで悩んでどうすんのよ、未理恵らしくもないわね…いい?他の世界の私たちがどうなろうと今ここにいる私たちには見ることは不可能だしましてや恨まれることもないわ、いつもの未理恵なら分かるでしょ?それに、やっとあの黒コートのループ地獄から解放されたらしいし今楽しまなくてどうすんの?」
未理恵は江利奈のその言葉を聞き…それでも言う。
「ですが私たちだけ楽しんだとしても彼等は…消えていったあの華原さんは…」
すると俊が言う。
「お嬢様、深くお考えになるのも良いですが息抜きも必要でございますよ、それに…」
俊は優しい笑顔を浮かべて言う。
「あの華原さんも、きっと前向きになられているのではと、私は思っております。どんな話にも落ちがあります、彼が本当に別の世界から来たというなら消えれば元の世界に戻るのも必然…今考えるべきは、私たちの世界を他の世界よりどれだけ楽しい世界にするかということです。」
未理恵はそれを聞くと自分の右手を開いて見て言う。
「そうですね…こんなことを考えていても解答は永遠に得られません…大切なのは、今を楽しむこと…ですね…」
江利奈もちょっと恥ずかしそうになるのを隠すような口調で言う。
「そ、その通りよ。分かってるじゃないの、じゃあ行くわよ、一応この辺にある心霊スポットを探しておいて良かったわ、俊?一応だけどみんなに場所は伝えてある?」
俊は先ほどとは違う悪意のある笑顔で言う。
「ぷっくくく…はい、集合場所は住所でマップも送ってあります。勿論、心霊スポットとは伝えておりません…」
その悪意ある笑顔に江利奈はマジか…と言わんばかりの顔をしていた。
「フフッ、分かりました。少し考えすぎだったかもしれません、では部活を始めましょう」
未理恵が安心した顔でそう言うと俊はやれやれといった表情をし、江利奈はやっと元に戻ったかといった表情をして、三人は部屋を出た。
11:06、それは華原真琴の右手にある携帯に表示されている時間であった…
「ようやく着いたな…長い…実に長い旅路だった。」
真琴はそう言いながら携帯を仕舞い上を向く。
「あぁ、とても長く辛い地獄を乗り越え、ようやく俺たちは此処へたどり着いたのだ!」
涼がそう言いながら上を向く。
『この理想郷に!』
真琴と涼はとても達成感のある顔をしていた…すると…
「清子、それじゃレモンブックスもほらのあなも回ったし本日の目玉のアニメイムに行くか!」
真琴と涼は恐る恐る声がする方角を見てみる、そこには妹と楽しそうにゆったりとアニメグッズ店を回り、おおよそ5万円ぐらいするようなグッズが入った大きな袋を両手に持っている清武がいた。
「お、マテリアル、流石にもう回り終わったのか?特に何も手にしてないけど買うものなかったのか?それにRも…」
清武がそう何気なく尋ねると涼と真琴は顔を強張らせて言う。
「いいよなぁ?お前たちは、さぞやお金持ちだから買えるもの全部買えてぇ?」
真琴がそう言うと清武が困った顔をして何かを取り出し答える。
「ど、どうしたんだ?マテリアル?それにRまで…お前らもしかして歩いてここまで来たのか!?なんでこれ使ってないの?杏芽條グループのこの旅行限り使い放題のグリーンカード」
すると真琴と涼は真顔で自らのバックを漁り始め、そして未理恵の特別券と書かれた封筒を見つけ出し、同時に開き中にあるメモとグリーンカードを取り出す。
メモ:おはようございます、先日の事件、大変ご苦労様でした。それのお詫びとしては何ですがささやかなものの杏芽條グループのこの旅行限り使い放題のグリーンカードを支給致します、ネットおよび金券の使用の限度額は100万円とさせておりますが北海道内のあらゆるお買い物、アトラクションに対しては限度なしとなっております。どれだけお使いになられても実質は使い放題ですのでお金の心配なく旅行をお楽しみください。
杏芽條未理恵より
真琴と涼はしばらくメモを眺めた後、お互いに目を見合わせ、そして上を見上げる。
「なぁ、R…」
「なんだマテリアル…」
「俺たち、わざわざ歩いてここまで来なくてもよかったんじゃないか…」
「そうだな…これもそれもお前が朝この封筒を開けない方が身の為だと言ったからだぞ…」
「俺は…」
真琴と涼は交互に話し合いそして真琴が涼の顔を見て言う。
「俺は悪くねぇ!悪いのは杏芽條のお嬢さんだ!こんな封筒だから予定が潰されるのかと思って…」
涼はそれを聞くと優しい声掛けで真琴の肩に手を置き言う。
「あぁ、もういいんだ、お前のグリーンカードの50万を俺の携帯に貢いでくれれば丸く収まるんだ、さぁマテリアル、とっととそれを渡すんだ」
それを聞いた真琴は逆に怒り言う。
「戯け!お前も気づいてなかったじゃねぇか!そもそも予定がつぶれても嫌だしって言い出したのおまえだろ!」
涼も反論する。
「嫌な予感と言い出したのはマテリアル、お前ではなかったか?そもそもその一言がなければ俺は封筒に手をかけていた、だから50万…」
真琴もそれに対して反論する。
「旅行日数は多いだろ!なら一日ぐらい潰れてもいいって開けるのがRではないのか!」
清武と清子はその不毛な言い争いを見て言う。
「兄さん、人って大金を目にしたらあんなに性格が変わるものなのね」
「妹よ、あれは見てはいけない、さぁここはあのカードに任せて先に行こう。」
すると後ろの方から聞きなれた声がする。
「あ、蒼井さんに華原くんに久留くん?なにしてるの?」
そこには香崎優美と親子のように手を繋いでゆっくり歩く真琴の母と永子が居た。
「何してるの真琴?喧嘩はやめなさい」
真琴の母はそう言うが…
「五月蠅い!これは俺のゲームの運命の生死をかけた喧嘩なんだ!例え親が反対したとしても引き下がるわけにはいかねえ!」
真琴はまるで追いつめられた愚者のような形相でそう言い、涼との反論のし合いに戻る…
「これ…ほっといたほうが…いい」
ついに永子にまで愛想をつかされてしまった…すると清武が挨拶する。
「あ、あの、マテ…華原とはおおおお世話になっております!あ、蒼井清武です、こっちは妹の清子です!」
そういえば清武はあまり話さない人とのコミュニケーションがかなり下手なのである…
「こちらこそお世話になっております、挨拶がちゃんとできるなんて凄いね、」
すると優美は楽しそうに真琴の母に説明する。
「そうそう、ここが華原君の行きたがってるアニメグッズの専門店なんです、永子ちゃんも入ってみる?」
すると永子は真琴の母の顔を見て聞く。
「…いい?」
すると真琴の母は言う。
「ええよー今日はこの魔法のカードもあるし、遠慮せず行きましょ。蒼井さんはもう入った?」
清武は頑張って答える。
「えと、今から入ろうと…思ってたところです!良ければご一緒させてもらえますか!?」
すると清子が小声で言う。
「兄さん、難しそうなら私が言うけど…」
清武は小声で返す。
「大丈夫だ、問題ない。」
すると永子が引っ張る形で清武たちはアニメイムへ入って階段を上って行く…すると優美が言う。
「あれ?華原くんたちは来ないの?」
すると清子が呆れた顔をして言う。
「あれは多分…あと30分はするだろうしほっといた方が…」
一同は下を見る…
「だから!俺じゃなくどう考えてもお前が悪い!」
「いや、お前の不注意、無駄な言動が!」
一同:(あれは確かにダメだ)
アルカは霧子と、そしてA-16…いや、まだ名前のない紫色の髪の少女と三人で街を歩いていた…
少女はまるで霧子の子供のように霧子の背中に乗ってスヤスヤと寝ている。
「さて、連れてきたのはいいのだが…名前を今日中に決めないとまずいな…戸籍なども作らないとだからな…」
そんな何気ない普通のことを言い出すアルカに対して霧子は少しクスッとして笑う。
「クスッ…アルカさんがそんなことを言うなんて珍しいですね…つい1ヶ月前はもう死に時みたいなことを言ってましたし。」
するとアルカは霧子の背中の少女の頭をなでて言う。
「存外俺もしぶといものでな…ついにはこの娘を育てようと思っているのだからな、まぁこの娘を育てるとなると親がいないといけない、そしてこれは俺の罪だから俺が面倒を見るのが通りだ。つまり何が言いたいことがあるのだが…えと…その…」
するとアルカは懐から何かを取り出す…それは小さな箱だった
「俺の嫁になってはくれないか?」
それはアルカからのプロポーズであった…箱の中にあったのはダイヤの指輪…そして裏にはローマ字でアステントと書かれていた、
「それは…その…結婚してくれということですか?」
霧子は少し動揺しながら聞く…するとアルカは本気で答える。
「その通りだ、俺はこの娘の親として、そして霧子、あなたを一人の女性として、何もしがらみなどなく愛したい。断ってもらっても構わない、これは俺の問題でもある訳で…」
霧子は指輪を奪うように受け取り、そして優しくキスをする。
「答えは最初から決まっていました、いえ、あなたが黒い華原真琴と対峙していた時からずっとあなたが好きでした…」
すると霧子の背中に乗っている少女が寝起きの声で言う。
「霧子…?おなかすいた…」
その言葉を聞き、二人は笑う。
「そうだな、まずは名前を決めようか、今日1日使ってな…」
アルカと霧子は少女の名前を考えながら、少女はそんな二人を見ながら楽しそうに買ってもらったクレープを食べながら街を歩いていく…
その後、真琴と涼は13:20ほどまで言い争いを続けたあと、アニメイムの店内を堪能した蒼井家の兄弟と真琴の母、永子、優美を見るなり冷静になってとてつもない勢いでグッズを求め走り出した…アルカと霧子、そしてまだ名前の決まってない少女はそれこそ真の親子のように、お互いにお互いを分かり合おうと楽しそうに名前を考えていた…そして江利奈と未理恵と俊はゆったりと街を見ながら優雅に俊の運転で目的地へ向かっていた…霊学部の集合時間は約16:30だ
16:28少し街からは離れている場所にある、古びた学校の校門前に未理恵、俊、江利奈は居た。
「来られませんね…やはり私が街へお迎えに参りましょうか?」
俊がそう冗談じみた声で言うと未理恵が自分のきらびやかな高性能な携帯を取り出して言う。
「あら?確か皆様の携帯にはGPSをつけていたはずですよ?そしてここ、彼らは来ていますね?」
すると俊はやれやれと言った表情をし言う。
「いやーばれてましたか…毎回毎回、心霊スポットばかり来ていると私も恐怖心を抱いてですね…」
すると江利奈が目を細めて言う。
「たーっくどの口が言うんだか、心霊スポットを出たらいつも憑いてきた悪霊ぶった切りまくってるしスポット内でも単独行動は勿論楽しみながら探索する癖に…」
すると俊はわざと演技をし、面倒だから行きたくないことを遠回しに伝える。
「いやはや、こう何度も同じように上手く行くとは分かりませんし、それに私…霊に対しての体制がもう人並み以下で!あぁ、腰痛がしますね。」
すると未理恵が携帯をいじりながら言う。
「あら、俊。いいんですか?ついてこないというならそれ相応の対処を致しますが?」
提示したのは杏芽條のホームページの管理画面、そして何時撮ったのか分からない俊の変顔の画像だった…
「勿論これは一部です、あなたがこれを壊そうなどというなら構いませんが私の手から今離れる、または壊されただけで使用人たちの集めた秘蔵コレクションが…」
すると俊は諦める。
「やれやれ、私の負けですね。その様子ではあらゆるところにバックアップされているようでしょうし下手をすると私の存在が消されかねませんしね、おや?一同が来たようですよ?」
タクシーに乗って来た真琴、涼、優美がタクシーから降りてくる…
「やっぱりこうなったか…たわけ…」
真琴が一言呟く…すると涼が言う。
「少しくらい構わんと思うが?だって使い放題カードで買い放題だったし」
涼がそう言うと真琴は魔ぁ仕方ないという表情をする、少しはやる気があるようだ…
「部長さん…整理はついたんですか?」
不安そうに優美が尋ねると未理恵は答える。
「はい、別の世界を考えても意味がありませんし何より今を楽しむということを第一に考えておりますし、では俊、本題の発表を…」
すると先ほどまでめんどくさそうな顔をしていた俊が両手を一回だけ合わせ叩き、説明を始める。
「今回は我々霊学部独断活動ではありません、杏芽條グループと連携している白善という霊専門の教授直々の依頼でございます、勿論我が校の校長にも正式な手続きがされております、という訳ですので部費向上や宣伝になると思います。依頼内容は怪奇現象に対する早急な対応と解決、出来るなら根本の霊磁場の消失でございます、問題解決後はゲームセンター施設及びお化け屋敷に改装する予定でございます。以上でございます、」
説明が終わり俊が校門を開ける。
「では先頭は私が行かせてもらいます、皆様、くれぐれもいい思い出作りになるようにお願いしますよ?」
次に江利奈が前に出る。
「じゃあ私も行くとしますか、昔っから連れまわされてるから慣れっこだし!それと男性陣?女の子をちゃんと守っちゃってね?」
次に涼が行く。
「悪いが俺はなんもできねえぞ、まぁ物理なら何とかなるが。」
次に未理恵がペットボトルと紙を取り出して言う。
「それでは行きましょう皆様、霊紙と聖水の準備も万全です!」
優美は真琴に手を出して言う。
「実はね、私みんなに黙ってたんだけど…前の世界の記憶が少し思い出せたの、だから言わせて。助けてくれてありがとう。そしてこれは今の私から、守り抜けて心を開いてくれて良かった…じゃあ楽しもうよ!華原くん!」
そして華原真琴はその一歩を踏み出す。
「俺はもう、ループも傍観者にもならない…なるつもりもない、だから…これからも宜しく頼む。存分に楽しませてくれよ!」
一同は、何気ないが少しおかしな日常を堪能しながら、旅行を楽しんで行く…
ここは何処だろう…そう思うのは自室で机にうつむせで寝起きた真琴だった…
テレビでは海難事故のニュースがしていた…
ニュースキャスター1:はい、杏芽條グループの最高級客船ダイヤモンド・タイタの修学旅行生を乗せた旅行中に起きた不幸な海難事故での犠牲者は乗員乗客150人中約60名となった模様です。
ニュースキャスター2:貸し切り中だったとはいえ海難事故はいつおこるかわかりませんねぇ…まぁ一番痛いのは杏芽條子息の未理恵様の御逝去ですね、グループの中核をなしていた人物ですし…
「…そうだったな…未理恵、死んだんだっけ…」
真琴は悲痛な声でそう呟く…手にしているのは近くにあったマイナスドライバー…
「…死のうと思ってたのか。俺は…」
すると後ろから声がする。
…真琴…私は…死んでしまった…
その声に対し何の迷いもなく真琴は答える。
「あぁそうだな、死んでしまった」
…でもあなたは願った…絶望の中…あなたの思いは多くの世界を作った…
真琴は高らかに笑いながら答える。
「そうだったな。俺はあの影と一体になったんだっけ…作ったというよりは壊したんじゃないか、ハッハハ
!」
…でも真琴は…真琴の望む希望の世界を…見つけられましたね…
真琴はその言葉を聞くと後ろを振り向く。そこに居たのは…
「輪廻…永子…」
永子は言う。
「あなたの世界には絶望しかなかったかもしれない…でもそれはあなたに限ったことではない…あなたが助けた香崎優美も嘆いて悲しんでいる、私ももうすぐ消えてしまうし…」
消えつつある永子を見た真琴は手に取っていたドライバーを捨て、立ち上がる…
「俺は、どうすればいい?」
永子は指さし言う。
「あなたが、導くの。さて、もう一つ言って行くよ」
永子は後ろを向き、ゆっくり歩きながら言う。
「お前が助けた彼女、心も助けてやれ。ついでに他も救ってやれ。」
そう言うと、まるで幻想に還るように、永子は歩きながら消えた…
真琴は見届けるとすぐに部屋を飛び出し涙を流しながら走り出した…目指したのはあの部室…
(…そうだな、間違っていたのは俺だった。何もかかわりを持とうとせず、ただ傍観者を続けてきた俺だった。苦しいのは俺だけではない…俺も皆も、いや、人間は生きている限り苦しむのだ、誰であれ後悔はする、だが本当にしなきゃいけないのは!自分がしなきゃいけないのは!)
息切れた真琴は部室のドアの前に立っていた。
「俺が…苦しんだ上に他人の苦しみを分かち合うことなんだ!」
ドアを開ける、そこには部室の定位置で俯いて静かに泣く優美と顔には出さないが一筋の涙は確かに流れて外を見る俊が居た…テレビにはアイドルヱリの引退宣言、そして部長の座っていた席におかれた涼の退部届…
(俺が…この絶望を変えるんだ!)
「優美!俺は!」
その声に俊は真琴の方を向き、優美は涙を拭き始める。
「君の…君たちの苦しみをもっと知りたい!」
その一言が…この世界の華原真琴の
これからの呪いとなり、そして
意味となった…
END
大変遅くなりましたがようやく完結です。
ループと傍観者の現実、如何でしたでしょうか?
不満に思われた方も多くおられると思いますが私なりに努力を重ねた結果でございます。楽しんでもらえれば幸いなのですが…
それでは私事は置いて力を入れた所を紹介させてもらいます。
最終回に対してはかなり力を入れさせてもらいました。
ずっとループを繰り返してきた永子は当初の予定では記憶が戻る設定だったのですが本編では記憶は戻りません、永子は最後は愛着のついた真琴の母親と一緒で言葉は少ないけれども楽しんでいるんです。では重要な真琴は主人公なのにこいつなんもしてねーじゃんと思う方もいるかもしれませんがちゃんとやっています。本編中ループが行われる原点となった世界の描写が少々ありますね、これと比較すると明らかにやる気が違います。因みに黒華原真琴、つまりA-14が最初の世界の真琴を取り込んだ姿の攻撃方法なのですが大体は霊紙を使った霊術を使います、これはアルカ・アステントの研究所から歪曲移動で消える描写にて説明できます、この能力があるということはあらゆる文献を読み漁ることができることを指します、ですが霊力が強すぎて対策をされた場所には入れないんです。
そこで蒼井家の遺産です、あの文献はいくらでも読み漁れますし呪術についても、一度使えば理解可能です。あとはループを煽ればいいだけなんですし
ドライバーについては今回にてお分かりいただけると思いますがこれは自殺に選んだ道具です、前回で黒真琴が倒されたときに永子と一体化したのがA-14です、そのまま元の世界へ戻り最終回の最後に出てきたのが倒された真琴です、設定ではあの後海に落ち、偶然近くを通りかかったボートに拾われ一命をとりとめたのですが…まぁ描写できませんでしたね(笑)
とまぁ長々紹介してきましたが結局当人たちはループを行ったことはほとんど覚えてません。
傍観者というのは主人公の事です。ループ前もループ後も自分からは動きたくないところから分かり、そして現実…これはその事柄よりも受け入れるか否定するかという意味合いです。最後は受け入れるといった内容ですが最初は否定をしていましたよね。
とまぁ長々と書きましたが結局見方にもよります。さて、それではそろそろお別れとなります。いろいろと伏線も残していますが一応はこれで終えます。
それではまた、どこかでお会いしましょう。
PS、ちなみに再来週から続編予定なのです☆




