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最初の世界Ⅱ

傍観をすることは責任を軽く負うよりもずっと罪深い

そして傍観者でありながら不器用に手を出す事も又、

罪深い…

では傍観者とは罪なのか…

…バン!

「悪いな、銃ぐらいはゲームでよく撃ってるんでな…まぁ実銃を撃ったのは初めてだが当たって良かった」

銃声の主は真琴だった、近くには自転車が転がっている…恐らくすぐに自転車で追いかけたのだろう…

「ぬぐぁ!…己、貴様!銃刀法も知らないのか!」

アルカは真琴に撃たれた右肩を抑えながらそう叫ぶ。勿論右手に持っていた銃は撃たれた時に落としてしまっている。

「念の為に未理恵の使用人が殴った時に落ちた銃を拾っていて正解だったな、銃刀法?それはお前らもじゃないのか?ましてや事故を起こして瀕死の状態の人間に銃を撃とうとすること自体殺人未遂だと思うが?」

アルカの顔は怒りに満ちていた…そしてそれゆえに気づかなかった…未理恵がアルカの落とした銃を向けていたことに…

「クソ!やはり霧子は傍に置いておくべきだったか!…悪いが作戦を不意にはしたくない!俺は帰らせてもらう!」

そう言うとアルカは永子を乗せていたアルカの車へ走り出す。

「…責任っていうのは簡単には背負えないってのが少しでも分かったか?まったく、こんな時くらい家でゲームしてたかったわ!」

そう言うと真琴はアルカの車のタイヤに向けて銃を放つ。

…バン!バン!バン!

アルカの車は今の状態では走れなくなった…するとアルカは立ち止まり言う。

「…そうだ!お前はただの一般人だ…なら焦ることなどないじゃないか!」

アルカは懐からナイフを取り出す。

「やべ…縦断切れてるなこの銃…」

真琴はそう言いながら銃の弾を確認するが撃てる弾丸は残っていない…アルカはその隙をついてナイフを持ち走って来る…あと数メートルしか距離が離れていない…

「死ね!華原真琴ォォ!!」

目の前にアルカが接近した次の瞬間!

…バシ!

「やれやれ…怪我をしておられるのにまだ無駄に足掻くおつもりで?」

俊だった…アルカのナイフを持った左腕を俊が掴み止めたのだ…

「馬鹿な!?霧子が向かったはず!?」

アルカが驚きの表情と怒りを隠せずにそう質問すると俊は未理恵の方を一瞬だけ見てアルカを睨みつけながら言う。

「この霧崎俊…あの程度の人数で本当に足止めできるとお思いでしたか?…いえ、確かにあなたがお嬢様に構わず永子様を連れ去っておられたらこのように私が介入する余地などなかったかもしれませんが…貴方様は…お嬢様を殺そうとなされた…恐らく今お嬢様が持っておられる銃と貴方様の右肩の怪我、そして華原様が持っている銃…それらを把握すれば大体の状況の予測がつきます…貴方様は…お嬢様…いえ、我が主に銃をお向けになられましたな?お嬢様に大怪我を負わせたのはこの霧崎俊の不徳の致すところですが…貴方様が殺意を持って向けられた銃は、とても許せるものではありませんよ?…華原様!今のうちに永子様を!おそらくもうじき先ほどの仲間がきます!早く!」

そう言うと俊はアルカの身動きを封じアルカの左手からナイフを落とさせる。そして空いている手で携帯で警察に連絡する。

「すみません、交通事故です。今すぐ現在発信地までお願いします。怪我人がいますので救急車もお願いします」

真琴はアルカの車から眠っている永子を車から出しすぐに近くの物陰にパッと見ではわからないように隠れさせる。すると三台程の車がこちらに向かってくる音がする…霧子達だ…

「アルカ様!?己霧崎俊!」

…バン!

霧子はすぐに車から降りて俊に銃を撃つが俊は身軽にそれをかわす…と同時にアルカの拘束が外れてしまう…

「霧子!警察を呼ばれた!私の車はタイヤを銃で壊されている!操縦は無理だが引きずって逃げることぐらいはできるはずだ!直ぐにここを離れる!今回の本作戦は失敗だ!急げ!」

霧子はアルカからその話を聞くとすぐに指示を出しアルカと車の回収作業を一分で終えた…すると後ろからサイレンの音がする…俊が呼んだ警察だ…

「時間がありません!直ぐにこの地点を離脱します!…霧崎俊…次はお前もろとも殺すからな…」

そう言い残すと霧子は車に飛び乗り姿を消した…


真琴は一人で部屋の中にいた…カレンダーには2月9日までバツがついている…と言う事は10日だ…部屋は真っ暗でパソコンの明かりとテレビの明かり、そして充電器が接続されている携帯の光しか差していなかった。

「もうあの事故から10日が経つのか…未理恵は一応俊に任せて俺はすぐ家に帰ったがまさか輪廻永子を襲撃した地点の足跡一つ残していないことには驚いた…そうだな、俺は今とてもやばい状況にいることを理解しているし前々から引き篭りたかったからあの事故以来、学校へもどこへも行ってない…まぁDAINEで大体の情報は分かるしそこまで問題にはしてないむしろゲームばかりできてアニメ見放題で歓喜な限りだ…」

真琴はそう独り言を呟き終えると窓の外を見る。

「雪か、それもボタン雪…あいつらは責任を負うことの意味を理解しただろうか…」

『さぁ、私はそれより君の今の心情が知りたいものだ、人の子…いや、実験体の同位体。』

真琴はゆっくりと後ろを振り向き言う。

「お前が黒幕だな、杏芽條の執事…いや、お嬢様の面倒見がいい霧崎俊から聞いた。猫のクローン実験、オッドアイとその特性…」


これは回想…警察がサイレンを鳴らし近づいてアルカ達が一目散に逃げていくときのことだ…

「華原様、華原様に打ち明けたいことがございます。」

俊がそう言うと真琴は尋ねる。

「なんだ?…また面倒事なら他にしてくれ、これでも俺は暇じゃねぇんだ…」

俊は真琴をしっかりと見て言う。

「これは私とお嬢様、そして一部の杏芽條家の人間しか知らないことになります。華原様には関係ないでしょう…知ることで危険があることも承知しております…ですが、お嬢様が一番信頼されておられるのは華原様なのです。何年も私はお嬢様とご一緒してきましたがお嬢様が貴方様と話しているのを見て、私は確信しました。お嬢様は今、恋をされておられると…その相手が華原様であると…ですので貴方様には、知っておいてもらいたいのです…杏芽條家が犯した、一つの罪を…」

真琴はその様子を見るととても断れるような空気ではないことを察し…答えた…

「…分かった、だがもうすぐ警察が来る…制限時間はそれまでだ、いいな?」

俊は小さくお辞儀をすると話し始める…

「杏芽條家とアステント家では20年も前の話になりますが猫を使ったクローン実験を行なっていました…杏芽條家が技術を、そしてアステント家が資金を、互いに協力して一体の個体からおおよそ6体のクローンを作り上げ…培養基を使い3ヶ月という短時間でオリジナルと同じ大きさにまで成長させておりました。ですがこの実験はただの実験では御座いませんでした…杏芽條家はアステント家の見えない場所で生成中のクローンにとても濃い霊力を流し込んでおられ、それを行った3体の個体に片目が赤いオッドアイと、蒼いオッドアイ、そして紫色のオッドアイを持つクローンが創られました。性質的には赤はとても怒りやすく時々空間に同化するように消えては自由に現れました。」

すると真琴は質問する。

「…ちょっと待て、今の話を統合して考えると輪廻永子はクローンってことになるんじゃないか?」

俊は答える。

「如何にも、永子様は蒼いオッドアイの猫に似ております。性格はおっとりして寂しがり屋でのんびり屋、そして時々先の未来を知っているような身のこなしをしておりました…恐らく、時間遡行を行っていたのでしょう…」

すると真琴はある疑問に気づく。

「ちょっと待て、猫の話はわかったがとなると永子のオリジナルは誰なんだ?元がなければクローンなんて…」

すると俊は懐よりDNA鑑定書を取り出す…そして宣言する…

「はい、私達はそれを考えまず調べやすい方々から永子様のDNAとの関係性を調べました。そしてこれは驚くべき事実にして意外過ぎた結果…」


そして場面は戻り真琴の部屋に…真琴はその影…いや、

周りから悪意しか感じない永子と瓜二つの少女に言う。

「輪廻永子のDNAは、俺と異性という事以外、俺と100%医学上一致していた。お前は今同位体といったな?このことは俺と杏芽條のお嬢さんと執事しか知らないはずだ。なぜお前が知っている?そしてこの部屋には鍵がされていたはずだ。お前がどこから入ったのかも知りたいところだ…黒い永子…」

するとはっきりと姿を現した永子と瓜二つの…いや、永子の姉にあたるA-14は自己紹介をする。

「初めまして…私はアルカモデル14…いや、悪意の結晶体と名乗った方が良いかな?人の子よ」

真琴は冷静に目を見て言う。

「お前の目、赤いな…それにこの悪意…てことは悪霊の霊力をかなり使って作られたクローンか、」

A-14は笑いながら言う。

「クスクスクスクス…そうだ、アルカモデル15のことだけどもう能力は使えないよ?」

真琴は尋ねる。

「何故だ?」

A-14は答える。

「アルカにある注射をうたれたの。それは何か分かる?」

真琴はそんな言葉程度には動じなかった…むしろ続けろと言わんばかりの顔をしていた。

「あれね、高濃度の聖水。濃度が低ければ別に注射されたりしてもただの水と変わりないんだけど濃度が高く霊能力者に直接注射すると一定の間その者の霊能力を使えなくすることができなくなるの。勿論見ることもね…あの濃度だと私が見積もってみてあと7日は効力があると思うよ。まぁ、それまでに私は華原真琴、お前が絶望するシナリオを考えるつもりなんだけどね…」

真琴は呆れた顔をして言う。

「何を言い出すかと思えば俺の絶望?どうしてそんなものを見たいんだ?」

A-14は答える。

「…お前の悪意は少し異質だ…自分のことしか考えていないはずなのに時折善意にも似た異質なオーラが見て取れる…そんなお前が完全に悪意に飲み込まれた時、お前はどんな異質な感情を見せるのかが見てみたい…そしてそれを引き出す手っ取り早い方法が絶望だ。理由はこんなところだ。」

すると真琴はA-14を指差して言う。

「全然話が上がらなかったが、お前は生みの親のアルカの絶望は見たいとは思わないのか?それ以外にも永子や未理恵とかの…まさか!?」

A-14はニヤリと顔を歪ませて言う。

「アルカの絶望なんかいつでも見れるし動機もハッキリしてる。他の人たちもね…杏芽條未理恵に関しては君が見せてくれたじゃないか、いや、今も見せてくれ続けている。こんなにありがたいことはないよ…絶望させたい相手が絶望させているなんて…人の子よ、あと7日後には何があると思う?」

真琴はカレンダーをチラ見して答える。

「修学旅行…だが…何をする気だ?」

A-14は真琴の部屋の出口の扉まで歩いて行くと答える。

「私は何もする気はないよ、アルカは聖水の濃度の調整も万が一のためにしているはずだ。何がどう動くのかは…私にはわからないよ。じゃあね、人の子華原真琴…いやDNAのお義兄さん…クスクス。いい旅行にしようね。」

A-14がそう言うと真琴の部屋の出口の扉が空間ごと歪みそしてその歪みの中に溶けるようにA-14は消えた…

『あ、そうそう!私のことは黒永子でもA-14とでもお好きなように呼ぶといいよ!クスクス』

真琴はカレンダーの方を見る。

「修学旅行…か、未理恵は行くのだろうか…聞いてみるか…」

すると真琴は携帯を充電器から外しDAINEを開いて未理恵の個人トークの画面にした。

「…未理恵にかけても…おそらく返答はないだろう…ここは俊にかけるべきか…」

そう言うと俊の個人トークの画面にし電話をかける。

「…流石にかからないか…」

…プルルル…ブツ!

「もしもし、霧崎俊です。」

真琴は尋ねる。

「華原真琴だが…その…未理恵の様態はどうなってる?」

俊は答える。

「おやおや、華原様から電話とは珍しい…お嬢様ですか?お嬢様は私も驚いたのですが出血以外は御身体に関わることはなかったようです。あと3日もすれば完治ではございませんが学校に行ける程度までは回復すると思われます…ところで、華原様は何か変わったことはありますか?」

真琴はその言葉を聞いて先ほどのことを言おうとしたが…

「いや、別にこっちでは何もない。引き続き寛がさせてもらうつもりだ。という事は修学旅行には行くのか?」

俊は答える。

「はい、もちろんすでに準備は行われております。旅行に使われるのは例年は飛行機でしたが今年度に限り杏芽條グループが保有する豪華客船、ダイヤモンド・タイタを使い日数を2日増やした6日間旅行となります。勿論杏芽條家が勝手に決定したことですので料金については変動はありません。実はこれは去年の11月にお嬢様が勝手にお決めになられたことで学校側の説得も全てお嬢様一人で行われていたのですから感服する限りでございます…ぷっくくく…ところで、華原様は参加なさるのですか?」

真琴は答える。

「当たり前だ。」

(あのアルカモデルとやらもおそらくそこに現れるだろうしな…)

すると俊が言う。

「旅行品を揃えるために外出なさるのも良いですがくれぐれもお気をつけて…アルカ・アステントが狙っている可能性がございます…十分にご注意を…そして当日はこちらからお迎えにあがります…それでは…」


ここは個室の病室だ…かなりいい病院のようだ…

俊は電話を終了した。するとベットで横になっている未理恵が言う。

「真琴は大丈夫そうですか?」

すると俊は答える。

「はい。今のお嬢様に比べれば充分元気でございます。」

未理恵はクスっと笑う。

「このぐらいの怪我は別にそこまで重症ではありませんのに…」

すると俊は言う。

「華原様はどうやら修学旅行を楽しみにしておられるようですよ…どのようにかは存じませんが、ぷっくくく…」

未理恵は言う。

「責任を負うことの重大性、今回でよくわかりました…私は今後は皆さんという責任を負うということをもっと重く感じなければなりません」

すると俊は言う。

「そうですね、ですが責任とはそもそも考えるべきなのでしょうか?責任ばかりを重視した結果今回、お嬢様が悲劇に合われました。幸い軽傷で住んではおられますが一歩間違えれば亡くなっておられたかもしれません。責任を負う以前にお嬢様は投げやりな考え方を少し改めてもらわなければいくら私でもフォローしきれません…それに霊学部の皆様は恐らく責任を負わそうだなんて考えてはいないはずです。華原様もああはいっていますが私から見させてもらうとただのデレです。ぷっくくく…そう深く考える必要はありませんよ。それよりもお嬢様はまず、ご自分の御身体を療養してください。」

未理恵と俊は互いの顔を見合わせると少し笑った。


ダイヤモンド・タイタは杏芽條グループが管理する港に止まっており、整備やチェックが行われていた。

そして今は誰もいない暗い操縦室(ブリッジ)にA-14は立っていた。

『さて、それじゃあ始めようよ…不幸と絶望の宴を、そして君はどうするのかな?輪廻永子、いや、アルカモデル15、私の妹…クス、クスクス…アハハハハ!!!』

その不気味な笑い声に整備員が操縦室(ブリッジ)に入ってくるがそこには誰も居なかった…

永子?:おや、珍しいな。死者が出てくるとは…

律子:だって私の子供たちの出番が全然回ってこないんだもん!

黒真琴:死んだ扱いになっている俺に比べればまだマシじゃないか…俺はもう復帰すら怪しい…

永子?:そこ、そうやって生存フラグを立てるでない!

律子:来週こそは出番はあるんでしょうね!?

永子?:いや知らんぞ、私はただの…

黒真琴:では次回予告ー

永子?:おっと!忘れていた、ついに姿を現したA-14

律子:私の可愛い息子達は活躍するのかしら?

黒真琴:多分モブだろうな

律子:ンア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!

永子?:このままだと荒れるので次回へ続く!以上!

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